このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

★キラキラ 仕舞章番外★

[瀬緒■鏡の間3]


転校した瑠希愛から、信じられない話を聞かされた。
瑠希愛が、僕以外に興味を持たなかった、あの瑠希愛が、親友ができたと喜びの電話をしてきたからだ。
そして、名を聞いて、またもや驚愕した。

「さく兄、俺、親友ができたんだっ! アキラって言うんだっ!」

アキラ――まさか、まだ覚えていたのか・・・・・・?

それからは、瑠希愛との連絡を密にとるようにした。

「あいつらアキラを殴ってたんだっ! 絶対に謝らせるんだっ! でも、気付かなかった俺も悪いんだよなっ!」

「アキラがおかしくなったんだっ! 俺の側に居てくれないんだっ! 親衛隊に連れてかれてから、おかしくなったんだっ! さく兄、どうしよう、どうやったらアキラは俺と一緒に居てくれるんだっ!? 教えてくれよっ!」

瑠希愛を一旦戻らせて、じっくりと話しを聞いたほうがいいかもしれない。



瀬緒家を訪れた瑠希愛から、渡辺彬の話ばかりを聞かされた。
そして、衝撃の言葉。

「アキラは俺の親友なんだっ! 昔から決まってるんだっ!」

「瑠希愛、昔、彼と会ったのかい?」

「知らないっ! でも決まってるんだっ!」

僕の脳裏に閃光が走り抜けた。
だが、まだだ、まだ分からない。
これは、父に確認をとる必要がある。

父は意外なほど、簡単に教えてくれた。
あの時の少女は亡くなってはいないと。
奥院にて独り育つ直系を憐れに想い、総代が外へと逃がしたのだと。
これは、決して誰にも洩らしてはならないことだと、父に言われた。

鷺視本家では、男児も7歳までは女児として育てられる。
ならば、渡辺彬があの時の少女である可能性もある。

まるで飢えたように渡辺彬を求める瑠希愛。

なぜにそこまで激しく追い求めているのか・・・・・・?

ただの初恋の残影に縋っているにしては、この激情はただごとではない気がした。

そういえば、雪客は直系から顕れることが多いと聞いたことがある。

あの時の少女、いや、渡辺彬を雪客なのだと仮定してみた。

それならば、総代が雪客探しに消極的だった理由も納得がいく。

そしてこれほどまでに、瑠希愛が渡辺彬を恋い求めるわけも・・・・・・

タンカイ・・・・・・瑠希愛、お前は――貪塊だったんだね。

その二文字は、くっきりと僕に焼き付いた。

だが、まだ最後の確認をしなければ――

「瑠希愛、彬くんがいるなら、もう僕はいらないね」

「駄目だっ! さく兄は俺の兄ちゃんなんだからなっ! 俺、さく兄の言うことならなんでも聞くから、そんなこと言うなよっ!」

僕は、僕は――やはり、雪客だったのか。



瑠希愛に、諭すように教え込んだ。
大声を出すな、彬の話を聞きそれを叶えてやれ、暴力は駄目だ、そして先輩には敬意を払え、そうすれば誰も彬と瑠希愛の邪魔はしない。
瑠希愛には不可能なことばかりだ。

僕の言葉だからこそ、瑠希愛が守れるのだということを、確認しなければならない。
どれほどの執着を渡辺彬に寄せているのかも――

父にも全て打ち明けた。
先に生まれた雪客を蔑ろにし、後から生まれたモノに譲るなど許されない。
ましてや、総代の年齢を考えれば、既に記憶を渡され、次代となっている可能性が高いのだ。
だから、奪い返す。
いざというときは、父に協力してもらおう。

転校手続に多少時間がかかったが、僕は学園への転入を許された。

相変わらず、瑠希愛は彬のことばかり。
しかし、僕の言葉はちゃんと聞く。
当然だな。

そして、渡辺彬。
まったくもって、普通の少年。
成績も普通。
家も普通。
そんなどこにでもいる、平凡な少年。

どうやら彼は、普通に徹して生きたいようだ。
元々は、僕の予備として生まれてきたのだから、こんな世界に身を置くのは辛いのだろう。

しかし、彼の傍には、白儿と思しき奴がいる。
名前も顔もうろ覚えだが、おそらく護衛なのだろう。
たった一人の後継ならば、それも仕方ない。
しかし、真実そうではない。
本物の僕に気付かないとは、なんとも愚かなモノだ。
いずれ、きちんと罰を与えよう。
6/11ページ
スキ