★キラキラ 第一章★
[アーちゃん■言葉]
さて、あの猪突猛進の自己愛たっぷりKY宇宙人は、どうやら特別棟に目をつけたようだ。
おせー、おせーよ。
授業中に各教室へと乱入。
注意する教師たちに暴言を吐き、警備員に連れ出される、を繰り返し繰り返し、それでも見つからないアッくんに、自分の入れない場所に居るのではないかと、ようやっと思い至ったようだ。
役員がいるから棟に入ることはできるけど、さすがに昨夜のような暴挙に至れば、即、警備員出動だ。
まだまだ、アッくんには会わせないよ。
「今日はこの部屋から出ないほうが無難でしょうね」
そういって始まった勉強会。
7月には定期試験もあるから、アキとアッキーは勉強勉強。
アッくんは授業に出れなくて遅れた分を取り返すべくがんばっている。
俺はたまに向けられる質問に的確に答えていく。
首席と次席がいるんだから、がんばってね3人とも。
夕食はまたもやアッくんとアッキーがつくり、皆で食べて。
今日は全員でお泊りです。
早い時間に睡魔がやってきたアキが、
「ぅ、ぁぅ、ねるの、ねるのよ」
と欠伸まじりに就寝の挨拶。
さすがに全員分のベッドがないから、布団を出してきて、リビングに敷く。
ベッドはアッキーとアキに譲って、俺はアキラと布団。
アッくんはソファベッドね。
アキが寝たのを確認して、俺たちはガールズトークならぬ、ボーイズトークだ。
「アキラ、あの、ちょっと失礼なこと聞いていい?」
「はい、なんでもどうぞ。僕のわかる範囲でなら、お答えしますよ。あ、でもお答えできないものもあるので、それは許してくださいね。では、どうぞ」
「アキの、言葉なんだけど・・・」
「わからないからと言って、アッくんが落ち込むことはまったくないのですよ」
「あ、うん、それはアーちゃんに何度も言われたんだけど、でも、僕は・・・」
「アキがちゃんと話さないのはアキに問題があるからです。本来ならアキは普通に話せるのですから」
「えっ?」
「アキは小学4年生まで普通に話していたそうです。今のアキの状態はおそらく心因性のものです」
「だったら、心療内科とか」
「もちろん掛かったそうです。ですが結果は芳しくなかった、いえ余計酷くなったそうです。そしてアキは治療を拒みました。アキに別の医師を用意し、治療を受けさせようと周囲は躍起になったそうですけど、アキはそれら全ても拒否しました。未だに治療を受けるよう言ってくる方も居ます。僕に説得してくれとおっしゃっる方もいます。ですが、僕にとってはどうでも良いことなので、お断りしてます」
「・・・どうでもいい?」
「はい。アキはアキですから。普通に話そうが、何しようがアキはアキ。それ以上でもそれ以下でもありません。ただ、アキは自分の言葉を周囲に理解して貰えないのが普通だと思っています。話せないではなく、話さないのなら、それはアキ側に問題があるということです。その原因を取り除くか除かないかはアキが選択すべきこと。そして、アキは取り除かないと決めたのです。ですから、アキの言葉を理解できないことを謝罪されてもアキは困るだけなのです。自分の勝手で、相手に罪の意識を感じさせるのなら、アキはもう話さなくなります。ですから、わからないものはわからない、でいいんです。以前、アキに言葉を教えていってはどうかと言われたこともあります。アキが望むならそのようにいたしますが、望まないなら必要ありません。幸いアーちゃんもアッキーもアキの言葉をほぼ理解できます。僕にはアキが普通に話しているようにしか見えません。ですから他の方と会話するとき、橋渡しをします。必要ないというならいたしません。理解できるまで話せというなら、アキは何度でも話します。好きな方法をとればいいのです」
アキラの言葉にアッくんは真剣な表情で考え込んでいる。
俺たちのように、アキが悪いのだとばっさり割り切ることができないんだ。
自分が理解できないことが悪いと思ってしまうその考え。
うん、嫌いじゃないよ。
だけどね、アキの問題はアキ自身が解かなければならない。
俺たちはただそれを見守るだけなんだよ。
「う・・・ん、まだ良くわからない、けど、これはアキの、アキだけしか関わっちゃいけないこと、なんだね」
「はい。そうです」
「うん、でも、何か、僕にできることとかないのかな? あ、これはね、助けてもらった恩とかそんなんじゃないんだ。あ、もちろん気にするなって言われても、なかなかそうできないけど。あ、いや、そうじゃなくて、なんかアキにしたい・・・・・・と、と、もだちだから・・・・・・だから、アキだけじゃなくて、アキラにもアッキーにもアーちゃんにも、と、友達だから何かをしたい」
“友達”
俺たちはアッくんに一度も“友達”という言葉を使わなかった。
薄っぺらい“友達”理論に振り回されて傷ついた彼に、俺たちは“友達”だよなんて、言えるかい?
「ふふ、それはアッくん自身が悩んでみてください。いつか解決できるかもしれません。たとえ答えが出ても、これから先、何度も何度もその悩みはやってくると思います。ですが、友達の“せい”ではなく、友達の“ため”に思い悩む君の姿が、僕らにとっては一番嬉しいことです」
「・・・・・・」
アッくんはアキラの言葉を受け、目を潤ませて涙をぽろぽろと溢した。
アッキーが肩を抱き頭を撫でると、しがみついて、何度もありがとう、ありがとうと言いながら泣いた。
さて、あの猪突猛進の自己愛たっぷりKY宇宙人は、どうやら特別棟に目をつけたようだ。
おせー、おせーよ。
授業中に各教室へと乱入。
注意する教師たちに暴言を吐き、警備員に連れ出される、を繰り返し繰り返し、それでも見つからないアッくんに、自分の入れない場所に居るのではないかと、ようやっと思い至ったようだ。
役員がいるから棟に入ることはできるけど、さすがに昨夜のような暴挙に至れば、即、警備員出動だ。
まだまだ、アッくんには会わせないよ。
「今日はこの部屋から出ないほうが無難でしょうね」
そういって始まった勉強会。
7月には定期試験もあるから、アキとアッキーは勉強勉強。
アッくんは授業に出れなくて遅れた分を取り返すべくがんばっている。
俺はたまに向けられる質問に的確に答えていく。
首席と次席がいるんだから、がんばってね3人とも。
夕食はまたもやアッくんとアッキーがつくり、皆で食べて。
今日は全員でお泊りです。
早い時間に睡魔がやってきたアキが、
「ぅ、ぁぅ、ねるの、ねるのよ」
と欠伸まじりに就寝の挨拶。
さすがに全員分のベッドがないから、布団を出してきて、リビングに敷く。
ベッドはアッキーとアキに譲って、俺はアキラと布団。
アッくんはソファベッドね。
アキが寝たのを確認して、俺たちはガールズトークならぬ、ボーイズトークだ。
「アキラ、あの、ちょっと失礼なこと聞いていい?」
「はい、なんでもどうぞ。僕のわかる範囲でなら、お答えしますよ。あ、でもお答えできないものもあるので、それは許してくださいね。では、どうぞ」
「アキの、言葉なんだけど・・・」
「わからないからと言って、アッくんが落ち込むことはまったくないのですよ」
「あ、うん、それはアーちゃんに何度も言われたんだけど、でも、僕は・・・」
「アキがちゃんと話さないのはアキに問題があるからです。本来ならアキは普通に話せるのですから」
「えっ?」
「アキは小学4年生まで普通に話していたそうです。今のアキの状態はおそらく心因性のものです」
「だったら、心療内科とか」
「もちろん掛かったそうです。ですが結果は芳しくなかった、いえ余計酷くなったそうです。そしてアキは治療を拒みました。アキに別の医師を用意し、治療を受けさせようと周囲は躍起になったそうですけど、アキはそれら全ても拒否しました。未だに治療を受けるよう言ってくる方も居ます。僕に説得してくれとおっしゃっる方もいます。ですが、僕にとってはどうでも良いことなので、お断りしてます」
「・・・どうでもいい?」
「はい。アキはアキですから。普通に話そうが、何しようがアキはアキ。それ以上でもそれ以下でもありません。ただ、アキは自分の言葉を周囲に理解して貰えないのが普通だと思っています。話せないではなく、話さないのなら、それはアキ側に問題があるということです。その原因を取り除くか除かないかはアキが選択すべきこと。そして、アキは取り除かないと決めたのです。ですから、アキの言葉を理解できないことを謝罪されてもアキは困るだけなのです。自分の勝手で、相手に罪の意識を感じさせるのなら、アキはもう話さなくなります。ですから、わからないものはわからない、でいいんです。以前、アキに言葉を教えていってはどうかと言われたこともあります。アキが望むならそのようにいたしますが、望まないなら必要ありません。幸いアーちゃんもアッキーもアキの言葉をほぼ理解できます。僕にはアキが普通に話しているようにしか見えません。ですから他の方と会話するとき、橋渡しをします。必要ないというならいたしません。理解できるまで話せというなら、アキは何度でも話します。好きな方法をとればいいのです」
アキラの言葉にアッくんは真剣な表情で考え込んでいる。
俺たちのように、アキが悪いのだとばっさり割り切ることができないんだ。
自分が理解できないことが悪いと思ってしまうその考え。
うん、嫌いじゃないよ。
だけどね、アキの問題はアキ自身が解かなければならない。
俺たちはただそれを見守るだけなんだよ。
「う・・・ん、まだ良くわからない、けど、これはアキの、アキだけしか関わっちゃいけないこと、なんだね」
「はい。そうです」
「うん、でも、何か、僕にできることとかないのかな? あ、これはね、助けてもらった恩とかそんなんじゃないんだ。あ、もちろん気にするなって言われても、なかなかそうできないけど。あ、いや、そうじゃなくて、なんかアキにしたい・・・・・・と、と、もだちだから・・・・・・だから、アキだけじゃなくて、アキラにもアッキーにもアーちゃんにも、と、友達だから何かをしたい」
“友達”
俺たちはアッくんに一度も“友達”という言葉を使わなかった。
薄っぺらい“友達”理論に振り回されて傷ついた彼に、俺たちは“友達”だよなんて、言えるかい?
「ふふ、それはアッくん自身が悩んでみてください。いつか解決できるかもしれません。たとえ答えが出ても、これから先、何度も何度もその悩みはやってくると思います。ですが、友達の“せい”ではなく、友達の“ため”に思い悩む君の姿が、僕らにとっては一番嬉しいことです」
「・・・・・・」
アッくんはアキラの言葉を受け、目を潤ませて涙をぽろぽろと溢した。
アッキーが肩を抱き頭を撫でると、しがみついて、何度もありがとう、ありがとうと言いながら泣いた。
