★キラキラ 第二仕舞章★
[アッくん■関わるよ]
作法なんて知らないって言ったら「お好きに飲んでください」と言われたから、とりあえずアッキーの真似をすることにした。
だけど、お好きに、と言うだけあって、正式な茶席とはまったく違うとすぐにわかった。
「あう、いいのよ、しろいのよ、なの」
アキラはアキの茶碗にミルクと砂糖を入れたんだもん。
それって、抹茶ミルクだよ・・・ね。
だから、僕もあんまり気にしないでおこうと決めた。
和菓子なんてどれも似た味だと思ってたのに、ここで出されたものは格別に美味しかった。
見た目も綺麗で華やかで、とても凝っている。
お茶についてはよくわからないけど、初めて飲んだ抹茶はとても美味しく感じた。
苦いんだけど、甘さの残る舌にはその苦さがとても合う。
「さて、無事初釜も終えたところで、そろそろアッくんの疑問にお答えいたしましょか」
「え、僕の・・・?」
お茶が終わって、一息ついたら、いきなり本題に入るみたいです。
「僕たちが、なぜ学校に行かなかったか、お知りになりたいのでしょう?」
「う、うん、そうだよ・・・心配はしてないけど、気にはなってたから」
「だよねー、ずっと連絡もしてなかったから、アッくん気にするよね」
「うん、・・・」
「その割りに先輩とラブラブなさっていたようですが・・・」
「なっ、なななな、どうしてっ!? なんでっ!?」
何を言うんだよ、いきなりっ!
確かに、確かにクリスマスも一緒にいたし、初詣も行ったけど、ちゃんと気にしてたよっ!
だいたい、どうして裕輔さんとすごしたことを知っているのっ!?
「東峰」
ボソッと、本当にボソッと聞こえるか聞こえないかの声でアッキーが教えてくれた。
会長ーーーー、なんでそんなこと教えるんですかっ!?
というか裕輔さん、どうして会長にわざわざ言うんですか、ああ、穴があったら入りたい・・・
「ふふ、情報源はさておき。ずっと来れなかったのは、披露目があったからです」
「披露目? それって、アキがやった・・・・・・」
「今回は、僕の披露目です」
ああ、そうなのか。
今まで隠してたって言ってたけど、今回のことで周知することになったんだね。
「最初の予定では、祖父である総代が倒れたあと、次代もおらず、そのまま半年後に祖父は死亡とするはずでした」
「そうなんだ・・・本当に終わらせるつもりだったんだ・・・」
それがアキラの決めたことだから、もちろん賛成するけど、長い歴史とかその重さとか色々考えたら、そのあっさりとしたところって、どうなの? とかちょっと思っちゃう。
でも、全てを終わらせるのが、永年の夢、だったんだもんね。
やっと終わらせられるんだ、それは過去の人たちにとっては、すごく喜ばしいことなのかもしれないね。
「ですが此度の件で、表の人間が煩いのです。面倒くさくなったので、正式に総代となることにしました。あ、もちろん顔は伏せてますけどね」
「面倒くさいって・・・はは、なんかアキラらしいかも」
「ふふ、はい」
いつも学校で見てた笑みを僕に向けてくれた。
「とりあえず全部片付いたし、これでまたアッくんとラブラブできるよー」
アーちゃんは、いつも通りの軽口でアキラの横で笑ってる。
「あはは、ラブラブはやだけど、片付いたなら良かった。また普通にできるってことだよね?」
「はい。・・・・・・アッくん・・・あなたは怒ってよろしいのですよ」
「え・・・?」
いきなり意味の分からないことを言われた。
「あなたと出会った翌日に、僕があなたに言ったこと・・・あれは慰めでも誤魔化しでもありません。全て本当のことなのです」
翌日・・・?
慌てて記憶を反芻してみる。
翌日というのはアーちゃんの部屋で、久々の安心感から昼まで寝てしまった日のことだよね。
何を言われたっけ・・・?
確か・・・・・・
「僕たちはあなたを見事に巻き込んでしまいました」
「なのよ、アキ、したのよ」
そうか、思い出した。
『僕たちの勝手な行動に君が巻き込まれたんです』
そう言って、僕に怒っていいと言ったアキラ。
「そ、そうか・・・な・・・?」
「アッくん・・・?」
「だって、結局姫宮くんが僕に関わる限り、瀬緒さんは同じことをしたと思うよ。だったら結局一緒だよ。ぎゃ、逆に、誰も助けてくれなくて、僕は・・・僕はいつか命を落としたかもしれない・・・・・・」
「アッくん・・・・・・あなたは忘れています。姫宮は最初に僕に会っているのです。姫宮があなたに関心を向けたのは、まぎれもなく僕のせいですよ」
あぁ、そういえばそうだったね。
彼は6歳のときに君に会っていたんだ、君のまったく与り知らぬとこで、君を見つけてしまってたんだよね。
そう考えてしまったら、確かに僕には関係のないところで、今回の騒動は起きてしまったのかもしれない。
でもね、でも、
「うん、そうかもしれない、確かに僕は巻き込まれたのかもしれない・・・でも、そんなの、最初のきっかけだけだよ・・・僕は、僕は結局自分で飛び込むことにしたんだもの」
何か言いたそうにしているアキラ、だけどそのまま僕の言葉を待ってくれている。
だからちゃんと伝えなきゃ。
僕が考えてることを、僕の言葉でちゃんと皆に伝えないといけないんだ。
「出会いのきっかけは姫宮くんだったけど、その後はちゃんと自分で判断して、君たちの側にいるって決めたんだもの。姫宮くんのおかげで君たちと出会えて感謝すらしたよ。そんな人間だよ、僕は。もし瀬緒さんが見つけたのが最初からアキラで、そのことで皆が僕と距離を取ったりしたら、僕は自分から君たちに関わっていったと断言できる。絶対に自分から、嵐に飛び込んだと言い切れるよ。だから、こんな僕は、もう巻き込まれなんて言えないよ。僕が自分勝手に自分で判断して、君たちに関わってるんだから、これはもう単なる自己責任だよ。ひょっとして皆は、自分たちのせいだなんて考えてるの? そんなの単なるナルシストだよ」
「アッくん、なの・・・ぐしっ・・・なのよ、いいのよ」
アキが涙ぐみながら、俯いてしまった。
アーちゃんは少し苦笑を浮かべてるように見える。
アッキーは珍しくも、口角を上げて、どうやら笑ってるみたい。
アキラは少し眉を寄せて・・・
「つっこみどころは多々ありますが・・・そうですね、事の経緯はどうあれ、あなたは自分で選択し、ここに居る・・・・・・」
多々って・・・思いをどう伝えていいのかわからなくて、かなり稚拙な言葉で語ったけど、多々って酷いなぁ。
だけど、そんな足りない言葉でも、皆は僕の気持ちを察してくれたんだよね。
「ふふ、ではナルシシズムの時間は終わりにいたします」
「う、うん」
ほら、やっぱりちゃんと分かってくれている。
僕が君たちの"せい"でここにいるんじゃないことを。
僕が自分の"ため"にここにいるということを。
だからね、怒るとか謝るとか、これはそんなレベルの話じゃないんだ。
だから、僕は、これから先も君たちに関わることを謝ったりしないからね。
作法なんて知らないって言ったら「お好きに飲んでください」と言われたから、とりあえずアッキーの真似をすることにした。
だけど、お好きに、と言うだけあって、正式な茶席とはまったく違うとすぐにわかった。
「あう、いいのよ、しろいのよ、なの」
アキラはアキの茶碗にミルクと砂糖を入れたんだもん。
それって、抹茶ミルクだよ・・・ね。
だから、僕もあんまり気にしないでおこうと決めた。
和菓子なんてどれも似た味だと思ってたのに、ここで出されたものは格別に美味しかった。
見た目も綺麗で華やかで、とても凝っている。
お茶についてはよくわからないけど、初めて飲んだ抹茶はとても美味しく感じた。
苦いんだけど、甘さの残る舌にはその苦さがとても合う。
「さて、無事初釜も終えたところで、そろそろアッくんの疑問にお答えいたしましょか」
「え、僕の・・・?」
お茶が終わって、一息ついたら、いきなり本題に入るみたいです。
「僕たちが、なぜ学校に行かなかったか、お知りになりたいのでしょう?」
「う、うん、そうだよ・・・心配はしてないけど、気にはなってたから」
「だよねー、ずっと連絡もしてなかったから、アッくん気にするよね」
「うん、・・・」
「その割りに先輩とラブラブなさっていたようですが・・・」
「なっ、なななな、どうしてっ!? なんでっ!?」
何を言うんだよ、いきなりっ!
確かに、確かにクリスマスも一緒にいたし、初詣も行ったけど、ちゃんと気にしてたよっ!
だいたい、どうして裕輔さんとすごしたことを知っているのっ!?
「東峰」
ボソッと、本当にボソッと聞こえるか聞こえないかの声でアッキーが教えてくれた。
会長ーーーー、なんでそんなこと教えるんですかっ!?
というか裕輔さん、どうして会長にわざわざ言うんですか、ああ、穴があったら入りたい・・・
「ふふ、情報源はさておき。ずっと来れなかったのは、披露目があったからです」
「披露目? それって、アキがやった・・・・・・」
「今回は、僕の披露目です」
ああ、そうなのか。
今まで隠してたって言ってたけど、今回のことで周知することになったんだね。
「最初の予定では、祖父である総代が倒れたあと、次代もおらず、そのまま半年後に祖父は死亡とするはずでした」
「そうなんだ・・・本当に終わらせるつもりだったんだ・・・」
それがアキラの決めたことだから、もちろん賛成するけど、長い歴史とかその重さとか色々考えたら、そのあっさりとしたところって、どうなの? とかちょっと思っちゃう。
でも、全てを終わらせるのが、永年の夢、だったんだもんね。
やっと終わらせられるんだ、それは過去の人たちにとっては、すごく喜ばしいことなのかもしれないね。
「ですが此度の件で、表の人間が煩いのです。面倒くさくなったので、正式に総代となることにしました。あ、もちろん顔は伏せてますけどね」
「面倒くさいって・・・はは、なんかアキラらしいかも」
「ふふ、はい」
いつも学校で見てた笑みを僕に向けてくれた。
「とりあえず全部片付いたし、これでまたアッくんとラブラブできるよー」
アーちゃんは、いつも通りの軽口でアキラの横で笑ってる。
「あはは、ラブラブはやだけど、片付いたなら良かった。また普通にできるってことだよね?」
「はい。・・・・・・アッくん・・・あなたは怒ってよろしいのですよ」
「え・・・?」
いきなり意味の分からないことを言われた。
「あなたと出会った翌日に、僕があなたに言ったこと・・・あれは慰めでも誤魔化しでもありません。全て本当のことなのです」
翌日・・・?
慌てて記憶を反芻してみる。
翌日というのはアーちゃんの部屋で、久々の安心感から昼まで寝てしまった日のことだよね。
何を言われたっけ・・・?
確か・・・・・・
「僕たちはあなたを見事に巻き込んでしまいました」
「なのよ、アキ、したのよ」
そうか、思い出した。
『僕たちの勝手な行動に君が巻き込まれたんです』
そう言って、僕に怒っていいと言ったアキラ。
「そ、そうか・・・な・・・?」
「アッくん・・・?」
「だって、結局姫宮くんが僕に関わる限り、瀬緒さんは同じことをしたと思うよ。だったら結局一緒だよ。ぎゃ、逆に、誰も助けてくれなくて、僕は・・・僕はいつか命を落としたかもしれない・・・・・・」
「アッくん・・・・・・あなたは忘れています。姫宮は最初に僕に会っているのです。姫宮があなたに関心を向けたのは、まぎれもなく僕のせいですよ」
あぁ、そういえばそうだったね。
彼は6歳のときに君に会っていたんだ、君のまったく与り知らぬとこで、君を見つけてしまってたんだよね。
そう考えてしまったら、確かに僕には関係のないところで、今回の騒動は起きてしまったのかもしれない。
でもね、でも、
「うん、そうかもしれない、確かに僕は巻き込まれたのかもしれない・・・でも、そんなの、最初のきっかけだけだよ・・・僕は、僕は結局自分で飛び込むことにしたんだもの」
何か言いたそうにしているアキラ、だけどそのまま僕の言葉を待ってくれている。
だからちゃんと伝えなきゃ。
僕が考えてることを、僕の言葉でちゃんと皆に伝えないといけないんだ。
「出会いのきっかけは姫宮くんだったけど、その後はちゃんと自分で判断して、君たちの側にいるって決めたんだもの。姫宮くんのおかげで君たちと出会えて感謝すらしたよ。そんな人間だよ、僕は。もし瀬緒さんが見つけたのが最初からアキラで、そのことで皆が僕と距離を取ったりしたら、僕は自分から君たちに関わっていったと断言できる。絶対に自分から、嵐に飛び込んだと言い切れるよ。だから、こんな僕は、もう巻き込まれなんて言えないよ。僕が自分勝手に自分で判断して、君たちに関わってるんだから、これはもう単なる自己責任だよ。ひょっとして皆は、自分たちのせいだなんて考えてるの? そんなの単なるナルシストだよ」
「アッくん、なの・・・ぐしっ・・・なのよ、いいのよ」
アキが涙ぐみながら、俯いてしまった。
アーちゃんは少し苦笑を浮かべてるように見える。
アッキーは珍しくも、口角を上げて、どうやら笑ってるみたい。
アキラは少し眉を寄せて・・・
「つっこみどころは多々ありますが・・・そうですね、事の経緯はどうあれ、あなたは自分で選択し、ここに居る・・・・・・」
多々って・・・思いをどう伝えていいのかわからなくて、かなり稚拙な言葉で語ったけど、多々って酷いなぁ。
だけど、そんな足りない言葉でも、皆は僕の気持ちを察してくれたんだよね。
「ふふ、ではナルシシズムの時間は終わりにいたします」
「う、うん」
ほら、やっぱりちゃんと分かってくれている。
僕が君たちの"せい"でここにいるんじゃないことを。
僕が自分の"ため"にここにいるということを。
だからね、怒るとか謝るとか、これはそんなレベルの話じゃないんだ。
だから、僕は、これから先も君たちに関わることを謝ったりしないからね。
