★キラキラ 第二仕舞章★
[継埜守人■心の叫び]
「姫宮、黙れっ!」
「うがぁっ、ア、アキラッ、アキラ――俺のだっ、俺のっあああ、放せっ、アキラッ――!!」
貴様はもう雪客の言葉すら聴けないのか、聴かないのか、どっちだ。
「姫宮、黙れ」
雪客は先ほどよりも声を落とし、言い聞かせるように奴の瞳を視、そう命じた。
「あぁぁっ、ア、アキラッ、アキラッ、黙って欲しいんだなっ! そうしたら俺のもんになるんだなっ!! だったら黙っててやるぞっ!」
なんの反応も見せない雪客、しかし、貪塊はそれを肯定とでも受け取ったのか、大人しく口を閉じた。
時間の問題だろうが、まだ、人語を解してはいるようだ。
「姫宮、貴様は処分される、しかし、かつての同窓の輩である貴様に、温情を見せてやろう。選べ、このまま一片の苦痛なく、私に視取られながら逝くか・・・・・・私を・・・・・・アキラを、貪ったあとに・・・独り孤独に逝くか、貴様に選ばせてやる、さぁ、選べ」
「ア――ッ!? しゃ、しゃべっていいのかっ!? いいんだなっ! アキラッ、アキラ、俺のだ、俺のものなんだっ――――っ!!」
深く目を閉じた雪客。
止むことのない貪塊の絶叫。
これは、これが、奴の心からの叫び・・・なのだろう。
「相わかった・・・・・・貴様の返答しかと聴いた、では孤独に逝け。守人」
俺は黙って、頷く。
この寝室内での発言を、俺は許されてはいないからだ。
黙ったまま、雪客の手へと、黒いゴムの塊を2つ乗せる。
それを雪客は自らの手で、耳へと押し入れた。
そして俺は黒い長布で、雪客の目を耳ごと覆い、真の闇が訪れるよう何重にも何重にも巻きつけ、確りと固定させた。
止むことなく叫び続ける奴を、門音は寝台へと引きずり入れ、暴れないようまた拘束した。
目隠しを終え、俺は雪客の肌に纏った白い寝衣の帯をとる。
シュルと耳触りのよい音がした。
そして、解いた帯を腕にかけ、ゆっくりとその肌を晒させる。
「・・・・・・まだ・・・怒って、いますか?」
元より発言は許されていない、だが敢て俺は答えない、今の彼には音など届かないからだ。
一言も発することなく、主の手を己の掌へと乗せ、そのまま握り締める。
不敬にも、少しだけ力を込めた。
そして、貪塊へと差し出すために、獣蠢くその場所へと主を導いていった。
――墜ちた
先ほどまで東の名を呼び続けていた雪客が、とうとう気を失った。
だが、俺たちは止めない。
未だ雪客に貪りついているモノを、止めることはしない。
それが、総代からの命だったから。
寝台から離れた壁際。
俺と門音は暗闇の中で、身動ぎ一つせず日の出を待つ。
窓のない場所では確認はできないが、それは己の感覚を信じ任せるのみだ。
おそらく後、一刻、といったところか。
夜に行われるはずだった刑は、夜明けに執行される。
それまでは黙って主の様を見守ることが、今の俺たちの使命。
だから、只管 待つ。
己の求めていたモノの、その身を奪う行為に没頭する貪塊。
まさに獣のようなモノ。
しかし、俺は視た。
真の闇ではないが、かろうじて人の蠢きを確認できるこの灯りの下、遠く離れた寝台で、それでも俺には確かに視えた。
貪塊の、かつて姫宮と称したモノの流す、その涙を・・・・・・
「姫宮、黙れっ!」
「うがぁっ、ア、アキラッ、アキラ――俺のだっ、俺のっあああ、放せっ、アキラッ――!!」
貴様はもう雪客の言葉すら聴けないのか、聴かないのか、どっちだ。
「姫宮、黙れ」
雪客は先ほどよりも声を落とし、言い聞かせるように奴の瞳を視、そう命じた。
「あぁぁっ、ア、アキラッ、アキラッ、黙って欲しいんだなっ! そうしたら俺のもんになるんだなっ!! だったら黙っててやるぞっ!」
なんの反応も見せない雪客、しかし、貪塊はそれを肯定とでも受け取ったのか、大人しく口を閉じた。
時間の問題だろうが、まだ、人語を解してはいるようだ。
「姫宮、貴様は処分される、しかし、かつての同窓の輩である貴様に、温情を見せてやろう。選べ、このまま一片の苦痛なく、私に視取られながら逝くか・・・・・・私を・・・・・・アキラを、貪ったあとに・・・独り孤独に逝くか、貴様に選ばせてやる、さぁ、選べ」
「ア――ッ!? しゃ、しゃべっていいのかっ!? いいんだなっ! アキラッ、アキラ、俺のだ、俺のものなんだっ――――っ!!」
深く目を閉じた雪客。
止むことのない貪塊の絶叫。
これは、これが、奴の心からの叫び・・・なのだろう。
「相わかった・・・・・・貴様の返答しかと聴いた、では孤独に逝け。守人」
俺は黙って、頷く。
この寝室内での発言を、俺は許されてはいないからだ。
黙ったまま、雪客の手へと、黒いゴムの塊を2つ乗せる。
それを雪客は自らの手で、耳へと押し入れた。
そして俺は黒い長布で、雪客の目を耳ごと覆い、真の闇が訪れるよう何重にも何重にも巻きつけ、確りと固定させた。
止むことなく叫び続ける奴を、門音は寝台へと引きずり入れ、暴れないようまた拘束した。
目隠しを終え、俺は雪客の肌に纏った白い寝衣の帯をとる。
シュルと耳触りのよい音がした。
そして、解いた帯を腕にかけ、ゆっくりとその肌を晒させる。
「・・・・・・まだ・・・怒って、いますか?」
元より発言は許されていない、だが敢て俺は答えない、今の彼には音など届かないからだ。
一言も発することなく、主の手を己の掌へと乗せ、そのまま握り締める。
不敬にも、少しだけ力を込めた。
そして、貪塊へと差し出すために、獣蠢くその場所へと主を導いていった。
――墜ちた
先ほどまで東の名を呼び続けていた雪客が、とうとう気を失った。
だが、俺たちは止めない。
未だ雪客に貪りついているモノを、止めることはしない。
それが、総代からの命だったから。
寝台から離れた壁際。
俺と門音は暗闇の中で、身動ぎ一つせず日の出を待つ。
窓のない場所では確認はできないが、それは己の感覚を信じ任せるのみだ。
おそらく後、一刻、といったところか。
夜に行われるはずだった刑は、夜明けに執行される。
それまでは黙って主の様を見守ることが、今の俺たちの使命。
だから、
己の求めていたモノの、その身を奪う行為に没頭する貪塊。
まさに獣のようなモノ。
しかし、俺は視た。
真の闇ではないが、かろうじて人の蠢きを確認できるこの灯りの下、遠く離れた寝台で、それでも俺には確かに視えた。
貪塊の、かつて姫宮と称したモノの流す、その涙を・・・・・・
