★キラキラ 第二仕舞章★
[アッくん■幸福]
「いつものように」
扉を開ける前に、アキラがアーちゃんとアッキーに声をかけた。
「姫宮、私だ。暴れるなら、このまま戻るぞ」
アキラ・・・雪客が、大きな声で、未だ振動する扉へと声をかけた、途端、音はやみ、彼がまだ人語を解すことがわかった。
「まだ、辛うじて人語は解すのです、ですが先ほどのこと、必ず守ってください」
「うん、大丈夫」
雪客には近寄らない。
雪客が手に持っていたカードを扉にさした。
解錠の合図と共に、いきなりドアが開き、
「アキラ、アキラ、アキラ――――」
姫宮くんは脇目もふらず、雪客にしがみついてきた。
そして・・・そして・・・・・・・・・・・・っ!!!!
「んぅ、ふ・・・ん」
キスしてるーーーーー、かかか彼は雪客の口に正に貪りついて、深い、とても深い口付けを強要していたっ!!
「あああああ、アキ――ふぐっ」
いきなりアッキーに口を覆われたよ。
「ひ、ん、・・・み、や・・・あふ、き、けっ・・・ん、んぅ・・・」
言葉を発そうとしてるのはわかるけど、姫宮くんは一切聴く耳を持たないみたいだ。
雪客が視線だけを門音に向けた。
「ぐあっ――――っ!!」
姫宮くんの苦鳴がして、彼は部屋の中央まで吹っ飛ばされていた。
そして、門音はそのまま彼を床に伏せさせ、両腕を後ろで拘束した。
「口を塞がれては話せんっ! 何度も言ったであろうっ!」
「アキラッ、いやだ、はなせっ、アキラは俺のモノだっ、放せっ――――!!」
雪客だけを目で捉え、口からは滴がしたたり、足をばたつかせ、ただそれだけを叫ぶ・・・・・・貪塊。
「姫宮、黙れ。あとでいくらでもやる」
「本当かっ!? 約束だぞっ、だったら黙っててやるっ!」
そのもの言いに、なんだかあの頃の姫宮くんを思い出した。
嬉々とした表情、無邪気に大声で、不遜にも"やる"などという、彼に・・・僕は・・・
「渡辺彬、泣くな」
「なく・・・ないてる・・・? 僕、ないてた・・・?」
彼のことは正直言って好きじゃない、これは何度も確認してきた事実。
だけど、僕は、こんな彼を視て・・・涙を流している・・・
「泣く必要はない、これが正常なのだ。これにとっては今の状態が正常であり、幸福なのだ」
「そう・・・なんだ、よね・・・」
黙れと言われ、大人しく口を噤み、嬉々とした表情でアキラだけを見ている彼・・・・・・ああ、こうやって同じ空間に居て、あとでと言われたことが、彼にはとても幸せなことなんだ。
「これに、聞きたいことがあるなら、聞け。まだ他の者とも話せる・・・と思う、ぞ」
「ううん、聞きたいことは、とくにない。ただ、言いたいことがあるんだ・・・いい?」
「許す、好きに話せ」
僕は雪客には近づかないように注意して、彼の傍へとそっと歩み寄った。
「姫宮くん、僕のこと覚えてる? 渡辺彬だよ・・・」
彬の部分で何か反応があるかと期待したけど、僕にはなんの興味もないみたいだ。
「僕はね、君のこと苦手だった。嫌だって言ってるのに、無理矢理役員さまのところに連れて行ったり、僕が何か言うと、すぐ最低だって言ったり、僕が・・・僕が殴られてるのに気付かなかったり。だけどね、すごく悩んでたって聞いて、少し嬉しかったよ。ちゃんと考えてくれてるっていうのが、ちょっと嬉しかったんだ。君は変わってくれて、だけどそれもただ本音を隠してただけ、それがわかってても、やっぱり考えてくれたのが嬉しかった。きっと、君が普通だったら、鷲の血のない普通の人だったら、そのおかしな自論も少しマシになって、本当に友達になれたかもしれないって、そう思えるくらいには、君のこと好き、だよ・・・もう、会えないけど、でも、僕は、君のことを記憶してる。忘れないように、たまには思い出すことにするね。約束するよ、僕は、この記憶を手放さないから・・・・・・」
話してる間、僕がいることさえ気付いていない、ただひたすらアキラだけを求めている君。
そんな君のことを、僕は絶対に覚えておくよ。
「もうよいのか?」
「うん、いい・・・ありがと」
「・・・・・・姫宮、アキラは貴様のなんだ」
「は、話していいのかっ!? アキラは俺のモノだっ! 俺のだっ、俺だけのだっ!!」
「では・・・渡辺彬はなんだ」
自分の名前が出てドキッとした。
「アキラは俺のだっ!! アキラはっ!! アキラは俺の・・・・・・俺の、親友だっ!」
これは、餞――死に逝くモノと、背負う者への、雪客からの餞なんだ。
僕がここにいるのに、僕を見もせず雪客へと言い叫ぶ姫宮くん。
だけど、親友だと叫んでいる時は、ほんの少しでも彬の面影を、そこに追ってくれているんだろうか。
「ありがとう、ひめ、瑠希愛・・・僕は親友になれなかったけど、そう言って貰えて、とても幸せだよ」
「では、終いとする、守人、渡辺彬を連れて行け」
「御意」
友達だから、そんな理由で強要されていた言葉、僕が頑なに拒んだそれ、今、初めて君に対して使ったよ。
瑠希愛――僕が初めて呼んだ君の名は、君の耳には届いたんだろうか・・・・・・
瑠希愛、さよならは言わないよ、僕は瑠希愛の記憶を背負っていくから、だからさよならはやめとくね。
「いつものように」
扉を開ける前に、アキラがアーちゃんとアッキーに声をかけた。
「姫宮、私だ。暴れるなら、このまま戻るぞ」
アキラ・・・雪客が、大きな声で、未だ振動する扉へと声をかけた、途端、音はやみ、彼がまだ人語を解すことがわかった。
「まだ、辛うじて人語は解すのです、ですが先ほどのこと、必ず守ってください」
「うん、大丈夫」
雪客には近寄らない。
雪客が手に持っていたカードを扉にさした。
解錠の合図と共に、いきなりドアが開き、
「アキラ、アキラ、アキラ――――」
姫宮くんは脇目もふらず、雪客にしがみついてきた。
そして・・・そして・・・・・・・・・・・・っ!!!!
「んぅ、ふ・・・ん」
キスしてるーーーーー、かかか彼は雪客の口に正に貪りついて、深い、とても深い口付けを強要していたっ!!
「あああああ、アキ――ふぐっ」
いきなりアッキーに口を覆われたよ。
「ひ、ん、・・・み、や・・・あふ、き、けっ・・・ん、んぅ・・・」
言葉を発そうとしてるのはわかるけど、姫宮くんは一切聴く耳を持たないみたいだ。
雪客が視線だけを門音に向けた。
「ぐあっ――――っ!!」
姫宮くんの苦鳴がして、彼は部屋の中央まで吹っ飛ばされていた。
そして、門音はそのまま彼を床に伏せさせ、両腕を後ろで拘束した。
「口を塞がれては話せんっ! 何度も言ったであろうっ!」
「アキラッ、いやだ、はなせっ、アキラは俺のモノだっ、放せっ――――!!」
雪客だけを目で捉え、口からは滴がしたたり、足をばたつかせ、ただそれだけを叫ぶ・・・・・・貪塊。
「姫宮、黙れ。あとでいくらでもやる」
「本当かっ!? 約束だぞっ、だったら黙っててやるっ!」
そのもの言いに、なんだかあの頃の姫宮くんを思い出した。
嬉々とした表情、無邪気に大声で、不遜にも"やる"などという、彼に・・・僕は・・・
「渡辺彬、泣くな」
「なく・・・ないてる・・・? 僕、ないてた・・・?」
彼のことは正直言って好きじゃない、これは何度も確認してきた事実。
だけど、僕は、こんな彼を視て・・・涙を流している・・・
「泣く必要はない、これが正常なのだ。これにとっては今の状態が正常であり、幸福なのだ」
「そう・・・なんだ、よね・・・」
黙れと言われ、大人しく口を噤み、嬉々とした表情でアキラだけを見ている彼・・・・・・ああ、こうやって同じ空間に居て、あとでと言われたことが、彼にはとても幸せなことなんだ。
「これに、聞きたいことがあるなら、聞け。まだ他の者とも話せる・・・と思う、ぞ」
「ううん、聞きたいことは、とくにない。ただ、言いたいことがあるんだ・・・いい?」
「許す、好きに話せ」
僕は雪客には近づかないように注意して、彼の傍へとそっと歩み寄った。
「姫宮くん、僕のこと覚えてる? 渡辺彬だよ・・・」
彬の部分で何か反応があるかと期待したけど、僕にはなんの興味もないみたいだ。
「僕はね、君のこと苦手だった。嫌だって言ってるのに、無理矢理役員さまのところに連れて行ったり、僕が何か言うと、すぐ最低だって言ったり、僕が・・・僕が殴られてるのに気付かなかったり。だけどね、すごく悩んでたって聞いて、少し嬉しかったよ。ちゃんと考えてくれてるっていうのが、ちょっと嬉しかったんだ。君は変わってくれて、だけどそれもただ本音を隠してただけ、それがわかってても、やっぱり考えてくれたのが嬉しかった。きっと、君が普通だったら、鷲の血のない普通の人だったら、そのおかしな自論も少しマシになって、本当に友達になれたかもしれないって、そう思えるくらいには、君のこと好き、だよ・・・もう、会えないけど、でも、僕は、君のことを記憶してる。忘れないように、たまには思い出すことにするね。約束するよ、僕は、この記憶を手放さないから・・・・・・」
話してる間、僕がいることさえ気付いていない、ただひたすらアキラだけを求めている君。
そんな君のことを、僕は絶対に覚えておくよ。
「もうよいのか?」
「うん、いい・・・ありがと」
「・・・・・・姫宮、アキラは貴様のなんだ」
「は、話していいのかっ!? アキラは俺のモノだっ! 俺のだっ、俺だけのだっ!!」
「では・・・渡辺彬はなんだ」
自分の名前が出てドキッとした。
「アキラは俺のだっ!! アキラはっ!! アキラは俺の・・・・・・俺の、親友だっ!」
これは、餞――死に逝くモノと、背負う者への、雪客からの餞なんだ。
僕がここにいるのに、僕を見もせず雪客へと言い叫ぶ姫宮くん。
だけど、親友だと叫んでいる時は、ほんの少しでも彬の面影を、そこに追ってくれているんだろうか。
「ありがとう、ひめ、瑠希愛・・・僕は親友になれなかったけど、そう言って貰えて、とても幸せだよ」
「では、終いとする、守人、渡辺彬を連れて行け」
「御意」
友達だから、そんな理由で強要されていた言葉、僕が頑なに拒んだそれ、今、初めて君に対して使ったよ。
瑠希愛――僕が初めて呼んだ君の名は、君の耳には届いたんだろうか・・・・・・
瑠希愛、さよならは言わないよ、僕は瑠希愛の記憶を背負っていくから、だからさよならはやめとくね。
