★キラキラ 第二仕舞章★
[アッくん■教えて]
「僕は姫宮くんの全部が知りたい」
「ふふ、相変わらず欲張りさんですね。いいでしょう、1つの質問と認めます」
僕だけが目隠しされて、長い廊下を歩かされた。
手を引いてくれるのはアーちゃん。
同行はアキラとアッキーのみ。
アキはお留守番って言われてた。
「もう、いいよ」
足を止めて、アーちゃんがそう言った。
僕は目隠しを外す。
そこはなんの変哲もない広い部屋、家具があって、真中にテーブルがあった。
窓はないけど、天井にはおおきな灯り。
そして、別の部屋へ続くと思われる、おおきな扉があった。
「彼はそこにいます」
その扉を指して、アキラが固い声で僕に教えてくれた。
そして、まずは座りましょうって、言われたから、僕たちはテーブルの椅子へとついた。
「姫宮くんは、貪塊だって、」
「はい、彼は貪塊です。なので、滅するしかありません」
「そっか・・・」
「あなたの知りたいのは、それではないでしょう。なぜ僕が彼を貪塊と気付かなかったか」
「うん、貪塊ってわかってたら、僕が勘違いされてるのもすぐわかるよね」
「ええ、そうです。ですが、まずは鷲杜の話しを」
「うん」
「鷲杜は忌わしき故、700年前に絶家となり、その血は消し去りました」
「全員・・・」
「と言っても、さすがに全ては無理です。同胞たちの中にはそれはそれは薄い血が残っていた。ですが、今後はどんどん薄まる、という予測をたてておりました。少なくとも貪塊が生まれるほど濃い血にはならないと」
「だけど、生まれちゃったんだね・・・」
「はい、ですが姫宮には鷲の血などほとんど入っておりません。ほんの数滴というところでしょう。アキと一緒、彼も先祖返りの突然変異だと思います」
「そっか、だからわからなかった・・・の?」
「本来の貪塊は、雪客にあった瞬間から狂います・・・あっと、この表現は僕たちの側から見た表現です」
「僕たち側って?」
「貪塊からすれば、それは狂ってはいないからです。その状態が正常な状態なんです。ですから、アッくんが知っている彼は、正しくは狂っていたのです。現在はおそらく正常に近いと思います」
背中に寒いものが走った。
狂っているのが正常で、正常が狂っている。
そんなおかしな人っているの・・・?
「んー、アッくんは彼に会いたいですか?」
「え、あ、・・・うん」
正直、ちょっと怖いなって思った。
だけど、僕の話しを聞き、寂しそうにしながらも、僕から離れる努力をしていた彼を思い出したら、このまま忘れてはいけない気がした。
「そうですか・・・そういえば彼は突然姿を消しましたね、覚えていますか?」
「うん、明石くんが部屋に帰ってこないって、それから彼を見なくなったから、やっぱり心配で・・・」
「彼は、理事長のところに行ったのです」
「えっと、なにしに?」
「鍵を、寮内全て、特別棟すら開けるマスターキーを貰いに」
「瀬緒さんが持ってたやつだね」
「そうです、それで僕の部屋に来るつもりだったようです」
それは、きっと、とても恐ろしい行為。
アキラを求めて貪り喰うために、それを手に入れようとしたんだね。
もし、彼がそれを手に入れてたとしたら・・・
「ですが、そこには瀬緒がいた。彼と同じ目的の瀬緒がいたんです」
「そっか、僕を連れ出すために」
「ちょうどその2日前に、総代が病に伏したと父親より知らされ、瀬緒は焦ったのです。アッくんが総代になると自分のチャンスはなくなりますからね。そして悩んだ。そんな時にアッくんの制裁です。そして激怒したアーちゃんとアッキーが瀬緒を打ちのめす。瀬緒は怒り心頭です。配下の――瀬緒は我々を雪客を守るモノだと思っていたのですが、そんな配下に馬鹿にされた瀬緒は、いますぐ総代になろうした。そして理事長の元へ行きました。すぐにチャンスは来ました。アッくんは部屋で1人、我々は授業。そして行動した。一方、姫宮は瀬緒に会い、瀬緒が鍵を欲しがるのは同じくアキラを手に入れるためだと知った」
「同じって、でも僕とアキラだと違うと思うけど・・・」
「ですね。ですが、姫宮はアキラとしか言わない、それを瀬緒はアッくんだと思って話しを聞く。しかも姫宮は、アキラが特別棟にいるから鍵を寄越せ、とでも言ったのでしょう。確かにアッくんはあのとき特別棟にいましたから、瀬緒は見事に勘違い。そして瀬緒は姫宮にこう言うのです。お前にアキラをやる、好きなようにしろ、だからそれまで大人しく待っていろ、と」
「こわ、い・・・」
とても怖い話しだ。
結局僕はアキラじゃなかったし、彼らの目的も費えたけど、もしその望みが叶っていたら。
「ええ、怖い話です、まるで僕らを物扱い。そして、姫宮はその言葉に期待し、理事長の所有するとあるマンションで待っていました。そこに僕を閉じ込めるつもりだったようです。ご丁寧に拘束具が大量にありましたよ」
それを想像して、すごく、吐き気がした・・・あまりにも悍ましすぎる。
「アッくん、大丈夫ですか?」
「うん、つづけて」
「理事長のもとへ向かった僕と雅人は、彼から事情を聞きだし、瀬緒の居場所として可能性が高いと思われる場所を調べました。理事長も瀬緒の居場所は知らなかったのです。そして、そこへアーちゃんとアッキーが向かい、アッくんと明石くん、そしてアキを救い出しました。同じ頃、僕は白儿たちを連れて、姫宮の確保に向かいました。まだ貪塊という可能性は低かったのです。そして扉を開け、彼を確認したところ、いきなり襲い掛かろうとし、白儿たちに取り押さえられ、今はそこです」
アキラはもう1度扉を指差した。
「貪塊と姫宮くんってそんなに違うの?」
「はい、違います。簡単に言うと、貪塊は貪塊となったときから人語は解しません、ただただ求めるだけです。しかし姫宮は人の話しを聞ける。だから見誤った」
「そっか、うん人の話し聞いてたよね」
「これは僕の想像ですが、彼の容姿には明らかに外の血が混じっています。どこかの時代に外の人と結ばれた方がいたのでしょう。それが、姫宮に先祖帰りで顕れた。それのおかげで、貪塊の血が抑えられたのではないかと、だから異常性の増し具合が遅かったのかと・・・ま、異常が正常ですけど」
「そっか・・・」
わかってみると、呆気ない。
彼は単に血の呪縛に雁字搦めだったんだね。
それは、この裏に属する彼らと同じ。
「姫宮くんは・・・やっぱり・・・」
「処分しますよ、もちろん」
きっぱり、あっさり、言われた。
彼のこと、あまり好きじゃなかったけど、とても胸が痛い。
ただ、その血に鷲が入っていただけで、彼の意識しないところで人生を狂わせられた人。
物思いに耽っていると、いきなり何かがぶつかる大きな音がした。
扉だ、あの扉になにかがぶつかっているんだ。
それも何度も何度も。
「昨日は来なかったので、かなり機嫌が悪いようです」
「あれ、姫宮、くん?」
「ええ、この部屋は凶暴なモノを入れておくので、扉もかなり頑丈にできています。ですので、特に拘束はしていません」
これは、彼自身が扉にぶつかり続けている音なんだ。
それがアキラ会いたさを募らせての、彼の苛立ちなんだと思うと、恐ろしくなった。
「さて、そろそろ会いにいきますか」
「え・・・う、ん」
「大丈夫ですよ、アッくんが何もしなければ、何もされません。但し、僕には絶対に近寄らないようにしてくだい」
「わ、かった」
「僕は姫宮くんの全部が知りたい」
「ふふ、相変わらず欲張りさんですね。いいでしょう、1つの質問と認めます」
僕だけが目隠しされて、長い廊下を歩かされた。
手を引いてくれるのはアーちゃん。
同行はアキラとアッキーのみ。
アキはお留守番って言われてた。
「もう、いいよ」
足を止めて、アーちゃんがそう言った。
僕は目隠しを外す。
そこはなんの変哲もない広い部屋、家具があって、真中にテーブルがあった。
窓はないけど、天井にはおおきな灯り。
そして、別の部屋へ続くと思われる、おおきな扉があった。
「彼はそこにいます」
その扉を指して、アキラが固い声で僕に教えてくれた。
そして、まずは座りましょうって、言われたから、僕たちはテーブルの椅子へとついた。
「姫宮くんは、貪塊だって、」
「はい、彼は貪塊です。なので、滅するしかありません」
「そっか・・・」
「あなたの知りたいのは、それではないでしょう。なぜ僕が彼を貪塊と気付かなかったか」
「うん、貪塊ってわかってたら、僕が勘違いされてるのもすぐわかるよね」
「ええ、そうです。ですが、まずは鷲杜の話しを」
「うん」
「鷲杜は忌わしき故、700年前に絶家となり、その血は消し去りました」
「全員・・・」
「と言っても、さすがに全ては無理です。同胞たちの中にはそれはそれは薄い血が残っていた。ですが、今後はどんどん薄まる、という予測をたてておりました。少なくとも貪塊が生まれるほど濃い血にはならないと」
「だけど、生まれちゃったんだね・・・」
「はい、ですが姫宮には鷲の血などほとんど入っておりません。ほんの数滴というところでしょう。アキと一緒、彼も先祖返りの突然変異だと思います」
「そっか、だからわからなかった・・・の?」
「本来の貪塊は、雪客にあった瞬間から狂います・・・あっと、この表現は僕たちの側から見た表現です」
「僕たち側って?」
「貪塊からすれば、それは狂ってはいないからです。その状態が正常な状態なんです。ですから、アッくんが知っている彼は、正しくは狂っていたのです。現在はおそらく正常に近いと思います」
背中に寒いものが走った。
狂っているのが正常で、正常が狂っている。
そんなおかしな人っているの・・・?
「んー、アッくんは彼に会いたいですか?」
「え、あ、・・・うん」
正直、ちょっと怖いなって思った。
だけど、僕の話しを聞き、寂しそうにしながらも、僕から離れる努力をしていた彼を思い出したら、このまま忘れてはいけない気がした。
「そうですか・・・そういえば彼は突然姿を消しましたね、覚えていますか?」
「うん、明石くんが部屋に帰ってこないって、それから彼を見なくなったから、やっぱり心配で・・・」
「彼は、理事長のところに行ったのです」
「えっと、なにしに?」
「鍵を、寮内全て、特別棟すら開けるマスターキーを貰いに」
「瀬緒さんが持ってたやつだね」
「そうです、それで僕の部屋に来るつもりだったようです」
それは、きっと、とても恐ろしい行為。
アキラを求めて貪り喰うために、それを手に入れようとしたんだね。
もし、彼がそれを手に入れてたとしたら・・・
「ですが、そこには瀬緒がいた。彼と同じ目的の瀬緒がいたんです」
「そっか、僕を連れ出すために」
「ちょうどその2日前に、総代が病に伏したと父親より知らされ、瀬緒は焦ったのです。アッくんが総代になると自分のチャンスはなくなりますからね。そして悩んだ。そんな時にアッくんの制裁です。そして激怒したアーちゃんとアッキーが瀬緒を打ちのめす。瀬緒は怒り心頭です。配下の――瀬緒は我々を雪客を守るモノだと思っていたのですが、そんな配下に馬鹿にされた瀬緒は、いますぐ総代になろうした。そして理事長の元へ行きました。すぐにチャンスは来ました。アッくんは部屋で1人、我々は授業。そして行動した。一方、姫宮は瀬緒に会い、瀬緒が鍵を欲しがるのは同じくアキラを手に入れるためだと知った」
「同じって、でも僕とアキラだと違うと思うけど・・・」
「ですね。ですが、姫宮はアキラとしか言わない、それを瀬緒はアッくんだと思って話しを聞く。しかも姫宮は、アキラが特別棟にいるから鍵を寄越せ、とでも言ったのでしょう。確かにアッくんはあのとき特別棟にいましたから、瀬緒は見事に勘違い。そして瀬緒は姫宮にこう言うのです。お前にアキラをやる、好きなようにしろ、だからそれまで大人しく待っていろ、と」
「こわ、い・・・」
とても怖い話しだ。
結局僕はアキラじゃなかったし、彼らの目的も費えたけど、もしその望みが叶っていたら。
「ええ、怖い話です、まるで僕らを物扱い。そして、姫宮はその言葉に期待し、理事長の所有するとあるマンションで待っていました。そこに僕を閉じ込めるつもりだったようです。ご丁寧に拘束具が大量にありましたよ」
それを想像して、すごく、吐き気がした・・・あまりにも悍ましすぎる。
「アッくん、大丈夫ですか?」
「うん、つづけて」
「理事長のもとへ向かった僕と雅人は、彼から事情を聞きだし、瀬緒の居場所として可能性が高いと思われる場所を調べました。理事長も瀬緒の居場所は知らなかったのです。そして、そこへアーちゃんとアッキーが向かい、アッくんと明石くん、そしてアキを救い出しました。同じ頃、僕は白儿たちを連れて、姫宮の確保に向かいました。まだ貪塊という可能性は低かったのです。そして扉を開け、彼を確認したところ、いきなり襲い掛かろうとし、白儿たちに取り押さえられ、今はそこです」
アキラはもう1度扉を指差した。
「貪塊と姫宮くんってそんなに違うの?」
「はい、違います。簡単に言うと、貪塊は貪塊となったときから人語は解しません、ただただ求めるだけです。しかし姫宮は人の話しを聞ける。だから見誤った」
「そっか、うん人の話し聞いてたよね」
「これは僕の想像ですが、彼の容姿には明らかに外の血が混じっています。どこかの時代に外の人と結ばれた方がいたのでしょう。それが、姫宮に先祖帰りで顕れた。それのおかげで、貪塊の血が抑えられたのではないかと、だから異常性の増し具合が遅かったのかと・・・ま、異常が正常ですけど」
「そっか・・・」
わかってみると、呆気ない。
彼は単に血の呪縛に雁字搦めだったんだね。
それは、この裏に属する彼らと同じ。
「姫宮くんは・・・やっぱり・・・」
「処分しますよ、もちろん」
きっぱり、あっさり、言われた。
彼のこと、あまり好きじゃなかったけど、とても胸が痛い。
ただ、その血に鷲が入っていただけで、彼の意識しないところで人生を狂わせられた人。
物思いに耽っていると、いきなり何かがぶつかる大きな音がした。
扉だ、あの扉になにかがぶつかっているんだ。
それも何度も何度も。
「昨日は来なかったので、かなり機嫌が悪いようです」
「あれ、姫宮、くん?」
「ええ、この部屋は凶暴なモノを入れておくので、扉もかなり頑丈にできています。ですので、特に拘束はしていません」
これは、彼自身が扉にぶつかり続けている音なんだ。
それがアキラ会いたさを募らせての、彼の苛立ちなんだと思うと、恐ろしくなった。
「さて、そろそろ会いにいきますか」
「え・・・う、ん」
「大丈夫ですよ、アッくんが何もしなければ、何もされません。但し、僕には絶対に近寄らないようにしてくだい」
「わ、かった」
