★キラキラ 第二仕舞章★
[アッくん■可哀そうな人]
「僕にだって・・・はは、なにをいって・・・」
「最初に言った、こやつらは凡人なのだ。まったくもって普通の感性しか持ち合わせておらぬ。それゆえ、この男は、貴様への恋慕を父性愛へと置き換え、必死で耐えていたのだ。だが、やはり相当甘やかされたようだな。しょせん、恋慕の延長。貴様は誰よりも愛され、可愛がられ、何でも与えられた。そんな貴様はほとほと愚かに育ってしまった。そして、次は総代を強請った」
義父から最上級の愛情を与えられた子供は、全てを欲し、この場を掌握する力を強請るようになってしまったんだ。
なんて愚かで、なんて可哀そうな人なんだろう。
「瀬緒十夜は貴様の強請る愚かな願いを必死で叶えようとしていた。姫宮が貪塊であることを隠し、姫宮藍貴に貴様が雪客だと信じ込ませ、渡辺彬を攫う手伝いもした。それだけではない。私は7歳で亡くなったとされていた。なのに貴様は私が生きていると確信していたな。なぜだ」
「そ、それは・・・父に・・・」
「そう、瀬緒十夜は限られたモノしか知り得ぬ情報、決して漏らしてはならぬソレを、貴様に流したのだ。いともあっさりとな」
「瀬緒家は雪客をそれは見事に裏切り切った、よって一族の処分は妥当である」
いきなり音無が宣言とともに立ち上がった。
そして、雪客と音無を除いた全てのモノたちがその場に平伏した。
あ、僕もしなきゃ。
「さて、ここからは余談だ。貴様はなぜ雪客の確保を急いだ?」
「総代が・・・倒れたと、聞いて・・・」
「ふん、それもあっさりと流したのだな、つくづく愚かしい奴。しかし、これについては不問にしてやろう」
あれほどまでに厳しく断罪していた雪客が、急に温情を見せた。
瀬緒たちも僕もそれが不思議で、思わず雪客のほうをジッと見詰めてしまった。
「なぜか? そう思っているのか、では教えてやる。守人」
「先代はとうに亡くなっている」
「あ・・・そんな・・・・・・」
「享年53歳だ。9年前のことだが、この意味貴様らにはわかっておろう」
「総代より・・・年嵩の次代は・・・いない・・・」
「そうだ、私は7歳で総代となった。そして貴様は私より年嵩であったな」
「だけど、待ってくれ・・・7歳って・・・」
「そう、貴様の疑問も尤もだ。雪客は10歳頃にその才を開眼させる。しかし、私は5歳のころ既にその才ありと先代によって見出された。面白い話しをしてやろう。私は先代から直接記憶を与えられてはいない」
「そんな馬鹿なっ! じゃお前は総代では・・・」
「先代から次代と定められたのは私を身篭っていた母だった。そして先代は身重の母に記憶を伝えた。しかし、母は私を産み、直後身罷られた。・・・・・・総代は常に考えていた、いつか雪客を、いや総代をこの世から消し去りたいと、しかし深く血に根付いた欲望は、己の記憶を伝えたがる。しかし、ここで先代は耐えることにしたのだ。己で記憶の連鎖を終わらせるため、守人の力添えのもと必死で耐えた。次の雪客がどこにも誕生していなかったのも救いとなった」
「だけど、お前は持ってるんだろっ!?」
「そうだ、私は持っている。私は、母の胎より記憶を伝えられたのだ。わかるか? 私は胎児のころから雪客だったのだ」
ああ、また僕とあの3人だけが混乱を来している。
まだこの世に誕生もしていないころから、膨大な記憶を蓄え、保持している・・・ヒト?
それは、それは既にヒトでは・・・・・・
「そんな、そんな馬鹿な・・・そんなのは、まるで・・・」
きっと瀬緒は僕と同じことを考えている・・・まるで、
「バケモノのようか? 否定はしない。ここに在るモノ全てがそうだ。我らを見てバケモノという貴様は、やはり雪客の資格など微塵もないわ。さて、断ち切ろうとした連鎖がまたもや繋がってしまったわけだが、ここで新たな総代は記憶を視、考えた。過去の総代たちの想いを叶えるのは今だと、判断した」
これは、この言葉は・・・そうか、やっぱりアキラも僕も同じモノだ。
記憶を視、精神(こころ)に判断してもらい、そして叶える。
そこに違いなんてないのかもしれない。
「総代を、消し去る・・・」
「そうだ、それが今なのだと、新たな総代は判断した」
「馬鹿なっ、どうやって、なぜそんなことっ」
「質問の多い奴だな、まずその方法、簡単だ私が伝えなければそれで終いだ。そして、何故か・・・そんなもの知らん」
「ええぇぇっ!?」
あ、これは僕。
だって、だって、とにかく雪客って、総代って凄いことなんでしょ、それを消す理由を、知らんって、だってあまりにも。
「彬っ」
あ、裕輔さんに心配そうに見られちゃった。
皆も咎めるように僕を見てる。
「・・・ごめん、なさい」
「今は余談なのだからして、構わん。理由は分からぬ、だが何代にも渡った願いだ。最初に願った総代に何があったかは記憶にない。しかしその想いは雪客の血に連綿と積み重ねられた。そして鷺視直系の純血である私にそれら全てが結集されたようだ。私には記憶を伝えたい願望が全くない。むしろ独り占めしたいくらいだ」
唖然・・・独り占め、うん、アキラならそういうタイプな気がする。
「余談ついでにもう一つ。なぜ私が最も血の濃い直系と言われているか、わかるか?」
「それは、唯一の鷺視、直系で・・・」
「知り得た情報はそれだけか、私の二親は男女の双子」
「なっ・・・それは・・・」
双子の男女・・・兄妹? 実の、同じ胎内から同時に産まれた、実の兄妹が、アキラの両親。
瞬間、全身に鳥肌が・・・・・・たった。
「それだけではない。我が両親を生みし私の祖父母は実の父子。それだけはすまんぞ、その祖母の母は祖父の妹、そんな彼らの親は伯母甥、そして・・・」
「雪客様・・・」
僕がアキラの出生に衝撃を受けていたとき、表の東西の東に当たる会長が、小さく雪客を呼んだ。
「東、貴様はこの話しをするといつも不機嫌になるな。だがまぁそういうことだ。鷺視直系の呪われた血の宿命。直系は血族を恋い求めるのだ。瀬緒十夜、姫宮藍貴、貴様らがいかに凡人かよくわかったであろう。鷺視の想いに比ぶれば、貴様らの恋情などかわいいものよ。それに悩み我が身を滅ぼすとは、なんとも愉快だ」
声高らかに嗤う雪客。
その血の濃さ、記憶・・・彼は、もしかして己をこそ最も忌み嫌い、そして狂っているのかもしれない。
「僕にだって・・・はは、なにをいって・・・」
「最初に言った、こやつらは凡人なのだ。まったくもって普通の感性しか持ち合わせておらぬ。それゆえ、この男は、貴様への恋慕を父性愛へと置き換え、必死で耐えていたのだ。だが、やはり相当甘やかされたようだな。しょせん、恋慕の延長。貴様は誰よりも愛され、可愛がられ、何でも与えられた。そんな貴様はほとほと愚かに育ってしまった。そして、次は総代を強請った」
義父から最上級の愛情を与えられた子供は、全てを欲し、この場を掌握する力を強請るようになってしまったんだ。
なんて愚かで、なんて可哀そうな人なんだろう。
「瀬緒十夜は貴様の強請る愚かな願いを必死で叶えようとしていた。姫宮が貪塊であることを隠し、姫宮藍貴に貴様が雪客だと信じ込ませ、渡辺彬を攫う手伝いもした。それだけではない。私は7歳で亡くなったとされていた。なのに貴様は私が生きていると確信していたな。なぜだ」
「そ、それは・・・父に・・・」
「そう、瀬緒十夜は限られたモノしか知り得ぬ情報、決して漏らしてはならぬソレを、貴様に流したのだ。いともあっさりとな」
「瀬緒家は雪客をそれは見事に裏切り切った、よって一族の処分は妥当である」
いきなり音無が宣言とともに立ち上がった。
そして、雪客と音無を除いた全てのモノたちがその場に平伏した。
あ、僕もしなきゃ。
「さて、ここからは余談だ。貴様はなぜ雪客の確保を急いだ?」
「総代が・・・倒れたと、聞いて・・・」
「ふん、それもあっさりと流したのだな、つくづく愚かしい奴。しかし、これについては不問にしてやろう」
あれほどまでに厳しく断罪していた雪客が、急に温情を見せた。
瀬緒たちも僕もそれが不思議で、思わず雪客のほうをジッと見詰めてしまった。
「なぜか? そう思っているのか、では教えてやる。守人」
「先代はとうに亡くなっている」
「あ・・・そんな・・・・・・」
「享年53歳だ。9年前のことだが、この意味貴様らにはわかっておろう」
「総代より・・・年嵩の次代は・・・いない・・・」
「そうだ、私は7歳で総代となった。そして貴様は私より年嵩であったな」
「だけど、待ってくれ・・・7歳って・・・」
「そう、貴様の疑問も尤もだ。雪客は10歳頃にその才を開眼させる。しかし、私は5歳のころ既にその才ありと先代によって見出された。面白い話しをしてやろう。私は先代から直接記憶を与えられてはいない」
「そんな馬鹿なっ! じゃお前は総代では・・・」
「先代から次代と定められたのは私を身篭っていた母だった。そして先代は身重の母に記憶を伝えた。しかし、母は私を産み、直後身罷られた。・・・・・・総代は常に考えていた、いつか雪客を、いや総代をこの世から消し去りたいと、しかし深く血に根付いた欲望は、己の記憶を伝えたがる。しかし、ここで先代は耐えることにしたのだ。己で記憶の連鎖を終わらせるため、守人の力添えのもと必死で耐えた。次の雪客がどこにも誕生していなかったのも救いとなった」
「だけど、お前は持ってるんだろっ!?」
「そうだ、私は持っている。私は、母の胎より記憶を伝えられたのだ。わかるか? 私は胎児のころから雪客だったのだ」
ああ、また僕とあの3人だけが混乱を来している。
まだこの世に誕生もしていないころから、膨大な記憶を蓄え、保持している・・・ヒト?
それは、それは既にヒトでは・・・・・・
「そんな、そんな馬鹿な・・・そんなのは、まるで・・・」
きっと瀬緒は僕と同じことを考えている・・・まるで、
「バケモノのようか? 否定はしない。ここに在るモノ全てがそうだ。我らを見てバケモノという貴様は、やはり雪客の資格など微塵もないわ。さて、断ち切ろうとした連鎖がまたもや繋がってしまったわけだが、ここで新たな総代は記憶を視、考えた。過去の総代たちの想いを叶えるのは今だと、判断した」
これは、この言葉は・・・そうか、やっぱりアキラも僕も同じモノだ。
記憶を視、精神(こころ)に判断してもらい、そして叶える。
そこに違いなんてないのかもしれない。
「総代を、消し去る・・・」
「そうだ、それが今なのだと、新たな総代は判断した」
「馬鹿なっ、どうやって、なぜそんなことっ」
「質問の多い奴だな、まずその方法、簡単だ私が伝えなければそれで終いだ。そして、何故か・・・そんなもの知らん」
「ええぇぇっ!?」
あ、これは僕。
だって、だって、とにかく雪客って、総代って凄いことなんでしょ、それを消す理由を、知らんって、だってあまりにも。
「彬っ」
あ、裕輔さんに心配そうに見られちゃった。
皆も咎めるように僕を見てる。
「・・・ごめん、なさい」
「今は余談なのだからして、構わん。理由は分からぬ、だが何代にも渡った願いだ。最初に願った総代に何があったかは記憶にない。しかしその想いは雪客の血に連綿と積み重ねられた。そして鷺視直系の純血である私にそれら全てが結集されたようだ。私には記憶を伝えたい願望が全くない。むしろ独り占めしたいくらいだ」
唖然・・・独り占め、うん、アキラならそういうタイプな気がする。
「余談ついでにもう一つ。なぜ私が最も血の濃い直系と言われているか、わかるか?」
「それは、唯一の鷺視、直系で・・・」
「知り得た情報はそれだけか、私の二親は男女の双子」
「なっ・・・それは・・・」
双子の男女・・・兄妹? 実の、同じ胎内から同時に産まれた、実の兄妹が、アキラの両親。
瞬間、全身に鳥肌が・・・・・・たった。
「それだけではない。我が両親を生みし私の祖父母は実の父子。それだけはすまんぞ、その祖母の母は祖父の妹、そんな彼らの親は伯母甥、そして・・・」
「雪客様・・・」
僕がアキラの出生に衝撃を受けていたとき、表の東西の東に当たる会長が、小さく雪客を呼んだ。
「東、貴様はこの話しをするといつも不機嫌になるな。だがまぁそういうことだ。鷺視直系の呪われた血の宿命。直系は血族を恋い求めるのだ。瀬緒十夜、姫宮藍貴、貴様らがいかに凡人かよくわかったであろう。鷺視の想いに比ぶれば、貴様らの恋情などかわいいものよ。それに悩み我が身を滅ぼすとは、なんとも愉快だ」
声高らかに嗤う雪客。
その血の濃さ、記憶・・・彼は、もしかして己をこそ最も忌み嫌い、そして狂っているのかもしれない。
