このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

★キラキラ 第一章★

[アーちゃん■蛙の扱いは丁寧に]


「ほれ、アキラ、あーんは? あーん」

返事がない。
ただの屍のようだ。

いや、マジ生きてますかー? アキラさん。

「あーん、あーん、なの」

関係のないアキがアーンしてどうすんだ。
いいから、食べてなさい。

「あの…」

「気にしなくて良い。お前は自分の分を片付けろ」

アッキーに言われ、アッくんは大人しく食べ始めた。

アキラの目の前には、大量の飯が並んでいる。
アッキーとアッくんが作ったものだよ。
アッキーの腕は良く知ってるけど、アッくん、これがなかなかの手際。
メニューは煮物、汁物、肉、魚、そして大盛りご飯。
以上。詳細は省かせて。

あまりの量に面喰いながら、少し後悔も滲ませたアッくんが、がんばって作ってくれましたー。

リビングのテーブルに座したアキラは、俺の差し出す箸にゆっくり口を開けた。
ぱくっ。もぐもぐ、ごっくん。

「ほれ、あーん」

荷物の整理を終えたあと、俺は魔王のもとから姫を救出してきた。
姫は相当に疲弊していたが、明日は全員さぼることが決定しているから、今夜ゆっくり休ませれば問題ないだろう。

口を開けさせて、飯を放り込む作業を延々続けて、ようやく完食。

「ア、キラ、ほんとに大丈夫?」

俺たちはすでに自己紹介をすませ、アッくんもキラキラ会への入会を果たしている。
少し戸惑い気味にアキラの名を呼んでるのが、かわいいね。
アキラがこうなった原因を説明しといたから、ちょっと赤くなってるのが、また笑える。

「うぅ、アッくん、あなた、だけです、僕を、心配して、くれるのは」

「いいの、いうのよ、いいのよ」

「え、えっと…」

「アキラのことはほっとけばいいの。アキも話す体力あるから大丈夫、って言ってるし」

うんうんと、アッキーも頷く。

「あぁ、鬼です。やはりあなたたちは鬼です。アッくんだけが僕の心の拠り所です」

えぐえぐなんて芝居じみた泣き言。

「ほれ、もう寝ろ」

「あぅ~~~」

床に座り込んでいた恩知らずの生き物を足で軽く小突いてやったら、ペチャっと床とご対面した。
ぷっ、うけるー。
ついでだし、そのまま背中をぎゅっぎゅっとな。

「うっ、ぅ~、」

「あ、そ、そんなことしたら。大丈夫?」

「いいのいいの、アッくんも踏んでみるー? この生き物、なかなか踏み心地良いよー」

「なのよ、するの、ぎゅ」

「あぅ、おぅ、」

「そ、そんなことしたら、可哀想、だよ…?」

俺とアキの足攻撃に、うぇうぇ言ってるアキラはさしずめ乾涸びた蛙のようだった。
きゃっきゃうふふ、あうおうえう。

「大丈夫ー? ねぇ生きてるー? 助けたほうがいいー?」

蛙のそばに蹲り、アッくんはしきりに尋ねていた。
もうこの空気に、馴染んだみたいだね。
助ける気なんかさらさらなさそうな口調に、アキも俺もアッキーも笑った。

よし、マッサージは終了。
うん、そう、マッサージ。
激しいセックスの後だからね、少しほぐしてやんないと明日がツライでしょ。
さっきまで、鬼だ悪魔だ、魑魅魍魎退散せよとか、あーあなたもやはり鬼です、とか言ってた蛙は、既に船を漕ぎだしている。
それをアッキーが荷物のように小脇に抱え、寝室のベッドに放り込んだら、本日の集会は終了です。

「アッくん、いいのするのよ、ねるの」

「アッくん、良い夢見てね、おやすみ、だって」

「うん、アキ、アッキー、おやすみなさい」

部屋に戻る2人を見送って、先にアッくんを風呂に入れたら交代で俺も風呂。
松田先生から渡された薬をアッくんに塗って、湿布をはって、包帯巻いて……、やだ、この子細いわー。
ここんとこ食欲なかったらしいし、当然だよね。

リビングのソファベッドに潜り込むアッくんを確認してから、電気を消した。
寝室のベッドでは蛙の死体、もといアキラがちゃんと半分空けて爆睡ちゅう。
それでは、俺もそろそろ寝るね。
おやすみなさい。
20/99ページ
スキ