★キラキラ 第二仕舞章★
[アッくん■いつもの夫婦]
「さて、こうして歪んだ執着のままアキラを求めた姫宮は、僕と三度会ってしまいます。再会はもっと前にしておりますが、あまりにも一瞬のことで、そこで芽生えた恋情はアッくんへの想いに上乗せしてしまっただけでした。しかし、その後の僕との邂逅で、彼は本物を見つけてしまったのです」
「瑠希愛は、瑠希愛はお前を見つけていたのかっ!?」
「ええ、そうですよ。僕は貪塊に捕まってしまいました」
「おいっ、そんなこと聞いてねぇぞっ!」
「ちょ、会長っ!」
会長が身を乗り出して叫んだと同時に、僕も腰を浮かせてしまった。
「雅人に言ったら姫宮を殺しかねないので、黙っていました」
「なっ、確かにそうかも知れねぇが、会ったくらいなら・・・・・・おい、まさか・・・」
「まさか僕が浮気したと思ってるんですかっ!? 最低ですっ! 僕はあなたほど貞操観念は乱れておりませんっ!」
「おっ、俺がいつ乱れたっ! 適当なこと言って誤魔化すんじゃねぇっ、こっち来やがれっ!」
「ちょっと、会長っ! 今そんなときじゃ」
なんなのこの人たち、ほんのちょっと前までは、あんなに厳しい顔して裁きとかしてたのに、それを黙って見てたのに、なんでそんな夫婦喧嘩ができるの!?
「東峰ー、お前の心配するようなことはねーから、先進めていい? 瀬緒も面喰っちゃってるよ」
「ちっ、後で覚えとけ」
「いいえ、すぐ忘れます」
「彬、あいつらはいつものことだ、いちいち気にしてたら身が持たないぞ」
「裕輔さん・・・」
それはこんな場所でも毎回こんなこと、しでかしてるってこと?
そうやって周りを見ると、確かに長老たちも、影のような集団も和んでいる。
アキ、さっきから膳に載ったお菓子ばっかり食べてる。
え、いつ膳なんて運んできてたんだよ、ずるいよ。
アッキーは目を閉じて腕組、あれ寝てるんじゃないの?
そっか、ここにいる偉そうな人たち全員に公認なんだね。
なんか、やっぱりアキラはアキラなんだね・・・
「さて、話しを戻しましょう。僕は姫宮に会いました、ですが僕は貪塊とはすぐに気付きませんでした」
「なぜだ、お前は記憶を・・・」
「ええ、あります。貪塊の記憶も全て受け継いでおります。ですから余計わかりませんでした。あれは純粋な貪塊ではなかったのです」
「そ、そんな、・・・・・・」
「さて、咲夜、そろそろ、私の問いに答えなさい」
「問い・・・」
「もう忘れたか、貴様の室、大して質が良くないな」
「あ、・・・」
「姫宮が貴様に懐いたことが、なぜ雪客の根拠たりえるのか。それは姫宮が貪塊であり、他とは違う愛情を貴様に求めたからに相違ないな」
「そうだ、瑠希愛は側にいれば興味を失うのに、僕にはそうじゃなかった。僕の言うこともよく聞いた。お前らも知ってるように、あいつは誰の話しも聞かなかい、だけど僕の話しだけは真面目に聞いたんだ、だから、だから」
「恋われてると思った。己が雪客だから、貪塊は瀬緒咲夜を求めてくるのだと勘違いした」
「そうだ・・・だけど、僕を求めたのは本当だ、僕の弟や妹にはなんの興味も持ってなかった」
「ならば、何故それほどの気持ちがあったのか、私が教えてやろう」
「え・・・」
「瀬緒十夜、姫宮藍貴、私は貴様らの内なるもの全て知っておる。それを念頭に置き、瀬緒咲夜の出生につき、答えよ」
「ど、どういうこと・・・だ・・・」
「雪客様、どうか、それだけは、それだけは、お許しください」
「ああああ、どうか、ご勘弁ください」
瀬緒の出生を尋ねられた父親と理事長は、雪客に跪き、憐れを誘う形相で許しを請うていた。
いったい、どうしてそこまで・・・あなたたちの内なるものって、なんなの?
「どうせ、死に逝く身、なにを隠す必要がある」
僕は忘れていた現実を今思い出した。
今僕の前で息をし、動く彼らはもうすぐ殺されるんだ、雪客の命により、哀れにもその命を奪われるのだ。
ブルッと震えた体を裕輔さんが、きつく抱き締めてくれた。
「・・・雪客様、雪客様、どうか、最後の、最後の・・・」
父親はまだ言い募っている。
死という言葉を聞かされた理事長は、ただ震えその場に座っていた。
「無理に語らせることもできるが、よい、私が話してやろう、ありがたく思え。瀬緒咲夜、貴様の父親の名は姫宮黄貴(ひめみやこうき)、姫宮の父親と同じだ。つまり貴様らはれっきとした異母兄弟だ。姫宮は本能でそれを感じ取り、無意識に兄に懐いていたのだ」
「え・・・し、しかし、僕の母は・・・あ、まさか・・・」
「安心しろ、貴様は私のように汚れてはいない。貴様の母は水野伽耶(みずのかや)と言う女だ」
「水野・・・水野だって、あ・・・」
「そうだ、貴様が道具のように扱ったあの双子の父の妹。貴様はあやつらとこそ従兄弟の関係にあたるのだ」
父親はもう何も言えなくなって、その場に伏し、身を震わせて咽び泣いた。
「あ、なぜだ・・・なぜ、それを隠す、必要がある・・・」
そうだよ、それ程に重大なこととは思えない。
僕は水野伽耶さんも姫宮黄貴さんも知らないけど、そこまで気にしないといけないの?
「瀬緒十夜、姫宮藍貴、貴様らが答えてやるか?」
2人は何も答えず、ただただ泣くだけ。
「そうか・・・では、私が答えてやろう。先に言っておくが、瀬緒十夜、姫宮藍貴、姫宮黄貴、この3名全くの凡人、それを念頭に入れ聞くがよい」
「凡人・・・父が、凡人・・・」
「そうだ、貴様の実父、義父、伯父、全く以って普通の人間なのだ。だがしかし、そのせいで此度の悲劇が起こったことを肝に命じておけ。さて、この水野伽耶、大層美しい女性であった。有体に言えば姫宮黄貴は彼女に恋したのだ、それはもう激しいほどの恋情を抱いた。しかし水野伽耶は既に結婚しており、姫宮黄貴自身も既婚者であった。ゆえに、攫ったのだ。姫宮黄貴は水野伽耶を奪い、どこぞへ隠してしまった・・・まったく鷲のような奴だ」
「攫った・・・母を、夫から、奪ったのか・・・」
「そう、これが姫宮黄貴の話、次は姫宮藍貴」
名を呼ばれた理事長は、一瞬雪客を見上げ、またすぐに伏した。
「こやつは懸想しておった」
「・・・誰に、あ、母に・・・か・・・」
「違う、姫宮黄貴、実の弟に懸想しておったのだ」
「実父に・・・ま、まさかっ! 男同士、あ、いや、性別より・・・実の兄弟じゃないかっ!」
「そうだ、実の弟に懸想し、水野伽耶を攫う手助けを条件に、想いを成就させたのだ。しかし所詮は凡人、実弟との関係を罪と感じ、その重さに拉がれ悩んでいた。そして弟の死。それを罰だと考えた。だから、貴様や姫宮に罪滅ぼしを兼ねた愛情を注いだのだ」
「伯父さんが・・・、そ、んな・・・」
「そして、瀬緒十夜、こやつはなんとも多情だ。同じく姫宮黄貴に焦がれ、水野伽耶にも恋慕した。そして・・・」
「うううう、あああ、雪客様、雪客様、後生でございます、何卒何卒ーーーーっ!」
「・・・今は貴様に恋情を抱いておるわ」
「さて、こうして歪んだ執着のままアキラを求めた姫宮は、僕と三度会ってしまいます。再会はもっと前にしておりますが、あまりにも一瞬のことで、そこで芽生えた恋情はアッくんへの想いに上乗せしてしまっただけでした。しかし、その後の僕との邂逅で、彼は本物を見つけてしまったのです」
「瑠希愛は、瑠希愛はお前を見つけていたのかっ!?」
「ええ、そうですよ。僕は貪塊に捕まってしまいました」
「おいっ、そんなこと聞いてねぇぞっ!」
「ちょ、会長っ!」
会長が身を乗り出して叫んだと同時に、僕も腰を浮かせてしまった。
「雅人に言ったら姫宮を殺しかねないので、黙っていました」
「なっ、確かにそうかも知れねぇが、会ったくらいなら・・・・・・おい、まさか・・・」
「まさか僕が浮気したと思ってるんですかっ!? 最低ですっ! 僕はあなたほど貞操観念は乱れておりませんっ!」
「おっ、俺がいつ乱れたっ! 適当なこと言って誤魔化すんじゃねぇっ、こっち来やがれっ!」
「ちょっと、会長っ! 今そんなときじゃ」
なんなのこの人たち、ほんのちょっと前までは、あんなに厳しい顔して裁きとかしてたのに、それを黙って見てたのに、なんでそんな夫婦喧嘩ができるの!?
「東峰ー、お前の心配するようなことはねーから、先進めていい? 瀬緒も面喰っちゃってるよ」
「ちっ、後で覚えとけ」
「いいえ、すぐ忘れます」
「彬、あいつらはいつものことだ、いちいち気にしてたら身が持たないぞ」
「裕輔さん・・・」
それはこんな場所でも毎回こんなこと、しでかしてるってこと?
そうやって周りを見ると、確かに長老たちも、影のような集団も和んでいる。
アキ、さっきから膳に載ったお菓子ばっかり食べてる。
え、いつ膳なんて運んできてたんだよ、ずるいよ。
アッキーは目を閉じて腕組、あれ寝てるんじゃないの?
そっか、ここにいる偉そうな人たち全員に公認なんだね。
なんか、やっぱりアキラはアキラなんだね・・・
「さて、話しを戻しましょう。僕は姫宮に会いました、ですが僕は貪塊とはすぐに気付きませんでした」
「なぜだ、お前は記憶を・・・」
「ええ、あります。貪塊の記憶も全て受け継いでおります。ですから余計わかりませんでした。あれは純粋な貪塊ではなかったのです」
「そ、そんな、・・・・・・」
「さて、咲夜、そろそろ、私の問いに答えなさい」
「問い・・・」
「もう忘れたか、貴様の室、大して質が良くないな」
「あ、・・・」
「姫宮が貴様に懐いたことが、なぜ雪客の根拠たりえるのか。それは姫宮が貪塊であり、他とは違う愛情を貴様に求めたからに相違ないな」
「そうだ、瑠希愛は側にいれば興味を失うのに、僕にはそうじゃなかった。僕の言うこともよく聞いた。お前らも知ってるように、あいつは誰の話しも聞かなかい、だけど僕の話しだけは真面目に聞いたんだ、だから、だから」
「恋われてると思った。己が雪客だから、貪塊は瀬緒咲夜を求めてくるのだと勘違いした」
「そうだ・・・だけど、僕を求めたのは本当だ、僕の弟や妹にはなんの興味も持ってなかった」
「ならば、何故それほどの気持ちがあったのか、私が教えてやろう」
「え・・・」
「瀬緒十夜、姫宮藍貴、私は貴様らの内なるもの全て知っておる。それを念頭に置き、瀬緒咲夜の出生につき、答えよ」
「ど、どういうこと・・・だ・・・」
「雪客様、どうか、それだけは、それだけは、お許しください」
「ああああ、どうか、ご勘弁ください」
瀬緒の出生を尋ねられた父親と理事長は、雪客に跪き、憐れを誘う形相で許しを請うていた。
いったい、どうしてそこまで・・・あなたたちの内なるものって、なんなの?
「どうせ、死に逝く身、なにを隠す必要がある」
僕は忘れていた現実を今思い出した。
今僕の前で息をし、動く彼らはもうすぐ殺されるんだ、雪客の命により、哀れにもその命を奪われるのだ。
ブルッと震えた体を裕輔さんが、きつく抱き締めてくれた。
「・・・雪客様、雪客様、どうか、最後の、最後の・・・」
父親はまだ言い募っている。
死という言葉を聞かされた理事長は、ただ震えその場に座っていた。
「無理に語らせることもできるが、よい、私が話してやろう、ありがたく思え。瀬緒咲夜、貴様の父親の名は姫宮黄貴(ひめみやこうき)、姫宮の父親と同じだ。つまり貴様らはれっきとした異母兄弟だ。姫宮は本能でそれを感じ取り、無意識に兄に懐いていたのだ」
「え・・・し、しかし、僕の母は・・・あ、まさか・・・」
「安心しろ、貴様は私のように汚れてはいない。貴様の母は水野伽耶(みずのかや)と言う女だ」
「水野・・・水野だって、あ・・・」
「そうだ、貴様が道具のように扱ったあの双子の父の妹。貴様はあやつらとこそ従兄弟の関係にあたるのだ」
父親はもう何も言えなくなって、その場に伏し、身を震わせて咽び泣いた。
「あ、なぜだ・・・なぜ、それを隠す、必要がある・・・」
そうだよ、それ程に重大なこととは思えない。
僕は水野伽耶さんも姫宮黄貴さんも知らないけど、そこまで気にしないといけないの?
「瀬緒十夜、姫宮藍貴、貴様らが答えてやるか?」
2人は何も答えず、ただただ泣くだけ。
「そうか・・・では、私が答えてやろう。先に言っておくが、瀬緒十夜、姫宮藍貴、姫宮黄貴、この3名全くの凡人、それを念頭に入れ聞くがよい」
「凡人・・・父が、凡人・・・」
「そうだ、貴様の実父、義父、伯父、全く以って普通の人間なのだ。だがしかし、そのせいで此度の悲劇が起こったことを肝に命じておけ。さて、この水野伽耶、大層美しい女性であった。有体に言えば姫宮黄貴は彼女に恋したのだ、それはもう激しいほどの恋情を抱いた。しかし水野伽耶は既に結婚しており、姫宮黄貴自身も既婚者であった。ゆえに、攫ったのだ。姫宮黄貴は水野伽耶を奪い、どこぞへ隠してしまった・・・まったく鷲のような奴だ」
「攫った・・・母を、夫から、奪ったのか・・・」
「そう、これが姫宮黄貴の話、次は姫宮藍貴」
名を呼ばれた理事長は、一瞬雪客を見上げ、またすぐに伏した。
「こやつは懸想しておった」
「・・・誰に、あ、母に・・・か・・・」
「違う、姫宮黄貴、実の弟に懸想しておったのだ」
「実父に・・・ま、まさかっ! 男同士、あ、いや、性別より・・・実の兄弟じゃないかっ!」
「そうだ、実の弟に懸想し、水野伽耶を攫う手助けを条件に、想いを成就させたのだ。しかし所詮は凡人、実弟との関係を罪と感じ、その重さに拉がれ悩んでいた。そして弟の死。それを罰だと考えた。だから、貴様や姫宮に罪滅ぼしを兼ねた愛情を注いだのだ」
「伯父さんが・・・、そ、んな・・・」
「そして、瀬緒十夜、こやつはなんとも多情だ。同じく姫宮黄貴に焦がれ、水野伽耶にも恋慕した。そして・・・」
「うううう、あああ、雪客様、雪客様、後生でございます、何卒何卒ーーーーっ!」
「・・・今は貴様に恋情を抱いておるわ」
