★キラキラ 第二仕舞章★
[アッくん■君たちのこと]
「さて、誰から話しましょうか・・・ああ、ここに居ない人物がいましたね、呼び寄せるついでに彼から」
雪客が高座の左袖、暗い場所へと向かって、手を招く。
すぐに、黒い影が1つ、近づいてきた――アーちゃんだ。
アーちゃんが昨日とあまり変わりのない着物姿で現れ、脇息にもたれかかる雪客へと額づいた。
「っ・・・お前、は」
畳から顔を上げ、アーちゃんを確認した瀬緒が、涙に濡れた瞳を細めながら呟いた。
「瀬緒咲夜、こやつを知っておるのか?」
雪客はアーちゃんを示し、どこか愉快そうに瀬緒に尋ねた。
「そい、つが・・・お前が、お前が僕を奥院に連れて来たんじゃないかっ! お前は継埜のモノなんだろっ!? だから、だから僕を案内してくれたんだろっ!」
「く、ははははは、許す、名を教えてやれ」
「瀬緒咲夜、渡辺彬、よく聞け、俺の名は継埜守人(つぐやのもりと)という」
「も、守人・・・だと・・・」
「ツグヤ・・・って・・・」
アーちゃんの、名が継埜。
さっきから雪客に対して、瀬緒が何度もそうだと言い張っていた人物。
「そう、かつて高橋昭と名乗っていた人物、彼は継埜のモノです、名は守人。姫宮藍貴、瀬緒咲夜、彼が貴様らの指摘した継埜だ。どうだ、会えて嬉しかろう」
「お、お前が守人・・・だったら、だったら、継埜の当主が僕を、僕を雪客だと、次代だと認めたということかっ!?」
瀬緒はまるで光明を得たかのように、いきなり希望に満ちた声で喚いた。
当主、瀬緒はアーちゃんのことを当主って言った・・・の?
「瀬緒咲夜、どこまでも愚かな奴。守人」
「確かに俺が貴様を連れてきた。だが、俺が案内したあの場、あそこは断じて奥院などではないわ。愚かな貴様に相応しき場はこの奈落のみ。わかったか」
「そ、んな・・・馬、鹿な・・・」
一気に年経たかのように、瀬緒はしゃがれた声を出した。
「くく、瀬緒咲夜、貴様が言うように継埜は常に雪客の側に居たということだ。さて、この継埜の話しを貴様らにもしてやろう。瀬緒咲夜、貴様はあの時、私を継埜と思いこう言ったな、"継埜は常に鷺視を監視している、総代が絶えないよう側に付き見張る"」
「いった・・・だが、その通り・・・のはずだ・・・」
「愚か者、継埜はそんなモノではない。守人、こやつらに語ってやれ」
「御意。我ら継埜の役割、それは主である雪客様の望みを叶える、ただそれのみ」
「望、み・・・だと・・・どういうことだっ」
「瀬緒咲夜、どこまでも愚かな奴だ。俺たちは常に雪客様の希望を叶えてきただけ。過去総代となりし雪客皆、その血に流れる呪いとも言うべき想いに縛られていた。それは・・・己の持つ記録を全て後継たる雪客に伝えたいと、心の底から望み請う忌わしき想い。故に過去の守人はその望みを叶えてきたのみ」
「そういうことだ、継埜は決して鷺視の監視などではない。ただただ雪客の望みを叶えるだけのモノだ。さて、これが継埜の役割です。常に我ら雪客に仕え、望みを叶える家、その家の当主となるべくモノの名は守人。我ら一族がこの世に出でてからの付き合いですが、一度もその忠心は揺らいだことがございません」
アキラが僕に向けて語ってくれた。
瀬緒に相対するときと、僕に対しての態度がまったく違う。
「さて、高橋昭はこれくらいにして、次はかつて伊藤章と呼ばれたモノについて説明しましょう。彼自身に語らすと端折る部分が多いので、私が。ですが自己紹介くらいはさせましょう。門音、挨拶を」
端折る部分が、で思わず笑ってしまった。
こんな時に笑うなんて、きっと僕はどこかおかしくなってしまったんだ。
だけど、アキラの言葉で昔――まだそれほどたってないのに――の楽しかったときを思い出して、だからおかしくて笑みがこぼれちゃった。
「承知。俺の名は、白儿門音(しらじのかどね)」
無表情になんの感情も篭らない声でそれだけ言い放つと、彼はそのまま目を瞑り動かなくなってしまった。
いつも通りのアッキーにしか、見えない・・・・・・
「相変わらずですね・・・まぁいいです。さて、彼の正体は鬼です」
「おに・・・」
「はい、そのままずばり鬼です。彼の名である白儿は鬼を崩したもの、門音は闇を崩したものです。当主を表す門音の名は、代々鬼の血が濃く顕れたモノが継ぎます。しかし長い年月を経て、彼らの血はどんどん薄まり、ここ100年程は門音の名を継ぐモノはおりませんでした」
「いなかった、じゃ、アッキーは・・・」
「彼は本物です。本物の鬼です、故に人類に太刀打ちできる手段はありません」
「・・・ほんとに、ターミ○ーターだった、んだ」
「ふふ、わかっていただけましたか、さて、彼が鬼であると認められ門音と称されたのは8歳の頃です。そのときから、彼は白儿の家の当主であり、鬼の一軍を纏める長、頭首でもあります。さきほど刑を執行したモノたち、彼らもその鬼の一軍です」
門音の背後に控えていた多くの影たちが、僕に向かって頭を下げた。
彼らは鬼の子孫・・・そして、アッキーはそれを纏める長。
一番鬼に近い存在の門音は以前と変わらず無表情でその場にいる。
なんだかそれだけで、僕の精神(こころ)は落ち着いた。
「彼らは私の裁きを力でもって行います。ゆえに、力で制する家。さて、白儿家の話しはこれまで、次と参りましょう」
次――ああ、きっとアキの、アキのことだね。
「さて、誰から話しましょうか・・・ああ、ここに居ない人物がいましたね、呼び寄せるついでに彼から」
雪客が高座の左袖、暗い場所へと向かって、手を招く。
すぐに、黒い影が1つ、近づいてきた――アーちゃんだ。
アーちゃんが昨日とあまり変わりのない着物姿で現れ、脇息にもたれかかる雪客へと額づいた。
「っ・・・お前、は」
畳から顔を上げ、アーちゃんを確認した瀬緒が、涙に濡れた瞳を細めながら呟いた。
「瀬緒咲夜、こやつを知っておるのか?」
雪客はアーちゃんを示し、どこか愉快そうに瀬緒に尋ねた。
「そい、つが・・・お前が、お前が僕を奥院に連れて来たんじゃないかっ! お前は継埜のモノなんだろっ!? だから、だから僕を案内してくれたんだろっ!」
「く、ははははは、許す、名を教えてやれ」
「瀬緒咲夜、渡辺彬、よく聞け、俺の名は継埜守人(つぐやのもりと)という」
「も、守人・・・だと・・・」
「ツグヤ・・・って・・・」
アーちゃんの、名が継埜。
さっきから雪客に対して、瀬緒が何度もそうだと言い張っていた人物。
「そう、かつて高橋昭と名乗っていた人物、彼は継埜のモノです、名は守人。姫宮藍貴、瀬緒咲夜、彼が貴様らの指摘した継埜だ。どうだ、会えて嬉しかろう」
「お、お前が守人・・・だったら、だったら、継埜の当主が僕を、僕を雪客だと、次代だと認めたということかっ!?」
瀬緒はまるで光明を得たかのように、いきなり希望に満ちた声で喚いた。
当主、瀬緒はアーちゃんのことを当主って言った・・・の?
「瀬緒咲夜、どこまでも愚かな奴。守人」
「確かに俺が貴様を連れてきた。だが、俺が案内したあの場、あそこは断じて奥院などではないわ。愚かな貴様に相応しき場はこの奈落のみ。わかったか」
「そ、んな・・・馬、鹿な・・・」
一気に年経たかのように、瀬緒はしゃがれた声を出した。
「くく、瀬緒咲夜、貴様が言うように継埜は常に雪客の側に居たということだ。さて、この継埜の話しを貴様らにもしてやろう。瀬緒咲夜、貴様はあの時、私を継埜と思いこう言ったな、"継埜は常に鷺視を監視している、総代が絶えないよう側に付き見張る"」
「いった・・・だが、その通り・・・のはずだ・・・」
「愚か者、継埜はそんなモノではない。守人、こやつらに語ってやれ」
「御意。我ら継埜の役割、それは主である雪客様の望みを叶える、ただそれのみ」
「望、み・・・だと・・・どういうことだっ」
「瀬緒咲夜、どこまでも愚かな奴だ。俺たちは常に雪客様の希望を叶えてきただけ。過去総代となりし雪客皆、その血に流れる呪いとも言うべき想いに縛られていた。それは・・・己の持つ記録を全て後継たる雪客に伝えたいと、心の底から望み請う忌わしき想い。故に過去の守人はその望みを叶えてきたのみ」
「そういうことだ、継埜は決して鷺視の監視などではない。ただただ雪客の望みを叶えるだけのモノだ。さて、これが継埜の役割です。常に我ら雪客に仕え、望みを叶える家、その家の当主となるべくモノの名は守人。我ら一族がこの世に出でてからの付き合いですが、一度もその忠心は揺らいだことがございません」
アキラが僕に向けて語ってくれた。
瀬緒に相対するときと、僕に対しての態度がまったく違う。
「さて、高橋昭はこれくらいにして、次はかつて伊藤章と呼ばれたモノについて説明しましょう。彼自身に語らすと端折る部分が多いので、私が。ですが自己紹介くらいはさせましょう。門音、挨拶を」
端折る部分が、で思わず笑ってしまった。
こんな時に笑うなんて、きっと僕はどこかおかしくなってしまったんだ。
だけど、アキラの言葉で昔――まだそれほどたってないのに――の楽しかったときを思い出して、だからおかしくて笑みがこぼれちゃった。
「承知。俺の名は、白儿門音(しらじのかどね)」
無表情になんの感情も篭らない声でそれだけ言い放つと、彼はそのまま目を瞑り動かなくなってしまった。
いつも通りのアッキーにしか、見えない・・・・・・
「相変わらずですね・・・まぁいいです。さて、彼の正体は鬼です」
「おに・・・」
「はい、そのままずばり鬼です。彼の名である白儿は鬼を崩したもの、門音は闇を崩したものです。当主を表す門音の名は、代々鬼の血が濃く顕れたモノが継ぎます。しかし長い年月を経て、彼らの血はどんどん薄まり、ここ100年程は門音の名を継ぐモノはおりませんでした」
「いなかった、じゃ、アッキーは・・・」
「彼は本物です。本物の鬼です、故に人類に太刀打ちできる手段はありません」
「・・・ほんとに、ターミ○ーターだった、んだ」
「ふふ、わかっていただけましたか、さて、彼が鬼であると認められ門音と称されたのは8歳の頃です。そのときから、彼は白儿の家の当主であり、鬼の一軍を纏める長、頭首でもあります。さきほど刑を執行したモノたち、彼らもその鬼の一軍です」
門音の背後に控えていた多くの影たちが、僕に向かって頭を下げた。
彼らは鬼の子孫・・・そして、アッキーはそれを纏める長。
一番鬼に近い存在の門音は以前と変わらず無表情でその場にいる。
なんだかそれだけで、僕の精神(こころ)は落ち着いた。
「彼らは私の裁きを力でもって行います。ゆえに、力で制する家。さて、白儿家の話しはこれまで、次と参りましょう」
次――ああ、きっとアキの、アキのことだね。
