★キラキラ 第二仕舞章★
[アッくん■3つの質問]
「雪客の裁きに温情はない」
元の静けさを取り戻した空間では、瀬緒とその父親が号泣し、憐れを誘っていた。
理事長は表情を失くし、ただ呆然と座り込み、虚ろな目でなにもない空間を見ている。
「貴様らの処分は後ほどとする。さて渡辺彬――」
名を呼ばれた・・・もうなんの気力もない僕の名を呼ばれた。
裕輔さんに抱き締められたまま、それでも僕は最後の一片を振り絞る。
「・・・は、い」
「表の住人には辛いものを見せたこと、この雪客、心よりお詫びいたす」
深々と僕に対して下げられた頭。
「・・・お、おも、て?」
「はい、我らが在する場が裏であるなら、あなたのいる場は表。そちらが光なら我らは闇。どちらにしろ全く相容れぬモノです」
「相容れぬ・・・」
アキラの声色がガラッと変わった、口調もさっきとは全然違う。
僕の知っているアキラに戻り始めたかのようだ。
「ですが、こうやって表の住人を迎えることが稀にあります。そして、初めてこちらへと渡った表の方には3つまで私に質問することを許しています。あなたは此度が初めての訪ない、どうぞこの雪客になんでもお尋ねください」
「3つ・・・」
「はい、なんでもお答えしますよ。雪客はこの日ノ本に言葉が生まれたときから存在するモノです。故にあらゆる事柄を記録してきました。全て視、聴き、知って参った一族です。さぁなんでもお尋ねください。例えば、織田信長の生死はどうですか? 坂本竜馬の暗殺犯がよいでしょうか? それとも厩戸皇子の正体になさいますか? 邪馬台国の場所というのもいいと思いますよ」
「なに、いってる、の・・・」
あれほどの凶行を命じておいて、この人は、この雪客はなにを語っているのだ。
まだ瀬緒親子は畳に顔を押し付け、悲痛な声で泣き続けている。
こんな状態で、いったい僕に何を聞けというんだ。
「さぁ、渡辺彬、私に問いなさい」
聞きたいことなんていっぱいあるよ、ありすぎて困るくらいだ。
「なにを、言って・・・どうして、どうして関係ない人まで、どうしてっ!」
――あ、駄目。
「それが最初の質問でよろしいか?」
だめ、これじゃ僕の知りたいことは、きっと何もわからないっ!
「あ、違っ」
「彬、落ち着くんだ。雪客様には温情も何もない。そんなことを聞いても仕方ないんだ。自分のことだけを考えて、質問しろ」
裕輔さん・・・責任感が強くて、間違ったことが嫌いで、謂れのない暴力に怒るあなたが・・・あなたこそとても辛そうに僕を見て、そう言うんだね。
「先ほどの質問は取り消しですね、わかりました1度だけ許します。さぁ、渡辺彬問いなさい」
僕はふと会長を横目で見やった。
会長の美貌はなんの翳りも見せず、その表情は無に徹していて、でも瞳だけは強い光を放ち雪客を見つめている。
――きっとそんな表情でずっと雪客だけを見ていたんだ。
途端、また強く薫る香り、その香りに身を包まれ、僕は、僕の精神(こころ)のバランスをギリギリのラインで保つ。
「あ、あの、僕は皆のことが知りたい。僕の友達の、キラキラ会のメンバー全員のことが聞きたい、です」
「全員・・・なるほど、欲張りですね。いいでしょう、それで1つの質問と認めます。長くなりますがよいですか?」
僕は黙って頷いた。
「雪客の裁きに温情はない」
元の静けさを取り戻した空間では、瀬緒とその父親が号泣し、憐れを誘っていた。
理事長は表情を失くし、ただ呆然と座り込み、虚ろな目でなにもない空間を見ている。
「貴様らの処分は後ほどとする。さて渡辺彬――」
名を呼ばれた・・・もうなんの気力もない僕の名を呼ばれた。
裕輔さんに抱き締められたまま、それでも僕は最後の一片を振り絞る。
「・・・は、い」
「表の住人には辛いものを見せたこと、この雪客、心よりお詫びいたす」
深々と僕に対して下げられた頭。
「・・・お、おも、て?」
「はい、我らが在する場が裏であるなら、あなたのいる場は表。そちらが光なら我らは闇。どちらにしろ全く相容れぬモノです」
「相容れぬ・・・」
アキラの声色がガラッと変わった、口調もさっきとは全然違う。
僕の知っているアキラに戻り始めたかのようだ。
「ですが、こうやって表の住人を迎えることが稀にあります。そして、初めてこちらへと渡った表の方には3つまで私に質問することを許しています。あなたは此度が初めての訪ない、どうぞこの雪客になんでもお尋ねください」
「3つ・・・」
「はい、なんでもお答えしますよ。雪客はこの日ノ本に言葉が生まれたときから存在するモノです。故にあらゆる事柄を記録してきました。全て視、聴き、知って参った一族です。さぁなんでもお尋ねください。例えば、織田信長の生死はどうですか? 坂本竜馬の暗殺犯がよいでしょうか? それとも厩戸皇子の正体になさいますか? 邪馬台国の場所というのもいいと思いますよ」
「なに、いってる、の・・・」
あれほどの凶行を命じておいて、この人は、この雪客はなにを語っているのだ。
まだ瀬緒親子は畳に顔を押し付け、悲痛な声で泣き続けている。
こんな状態で、いったい僕に何を聞けというんだ。
「さぁ、渡辺彬、私に問いなさい」
聞きたいことなんていっぱいあるよ、ありすぎて困るくらいだ。
「なにを、言って・・・どうして、どうして関係ない人まで、どうしてっ!」
――あ、駄目。
「それが最初の質問でよろしいか?」
だめ、これじゃ僕の知りたいことは、きっと何もわからないっ!
「あ、違っ」
「彬、落ち着くんだ。雪客様には温情も何もない。そんなことを聞いても仕方ないんだ。自分のことだけを考えて、質問しろ」
裕輔さん・・・責任感が強くて、間違ったことが嫌いで、謂れのない暴力に怒るあなたが・・・あなたこそとても辛そうに僕を見て、そう言うんだね。
「先ほどの質問は取り消しですね、わかりました1度だけ許します。さぁ、渡辺彬問いなさい」
僕はふと会長を横目で見やった。
会長の美貌はなんの翳りも見せず、その表情は無に徹していて、でも瞳だけは強い光を放ち雪客を見つめている。
――きっとそんな表情でずっと雪客だけを見ていたんだ。
途端、また強く薫る香り、その香りに身を包まれ、僕は、僕の精神(こころ)のバランスをギリギリのラインで保つ。
「あ、あの、僕は皆のことが知りたい。僕の友達の、キラキラ会のメンバー全員のことが聞きたい、です」
「全員・・・なるほど、欲張りですね。いいでしょう、それで1つの質問と認めます。長くなりますがよいですか?」
僕は黙って頷いた。
