★キラキラ 第二仕舞章★
[アッくん■雪客]
「そして、私の名は・・・雪客、鷺視雪客」
僕は全然驚かない。
雪客というのが人の名だと、ここにきて初めて知ったけど、それが重大なものだということはすぐに分かった。
だからこの場にいれば、ちゃんと周囲を視ていれば、誰がそうなのかなんてすぐ分かるはずだ。
「瀬緒咲夜、どうした? あれほど会いたがっていた雪客がここにおるぞ」
「ふん、そうやって継埜は雪客を隠すのか!」
瀬緒の父は既にアキラに向かって額づいている。
理事長はまだ半信半疑、だけど瀬緒は、瀬緒だけは――どこまで愚かな人なのだろう・・・
「黙れ、下衆っ!」
「な、なんだとぉぉぉぉっ、この僕に、この僕に対してっ、」
アキラの恫喝に、端整な顔を醜く歪ませ怒り狂う瀬緒。
その姿は、もうこの人が救いようがないことを、周囲に知らしめるだけだ。
「瀬緒十夜っ!」
「はっ」
「瀬緒家は今をもって絶家、一族のモノ5親等までは例え赤子でも全て処分といたす。以上だっ!」
「せ、せっ、せっかくさまっ、なにとぞ、なにとぞっ、それだけは、せめて、せめて子供は子供だけはっ・・・・・・!!」
アキラが憤怒にのせて言い放った言葉の意味を、僕は理解できなかった。
肩を抱いてくれている裕輔さんの温もりを感じながら、やっと初めて少しずつ理解していった。
「白儿(しらじ)! 控えている愚かモノの一族を即刻根絶やしにしろ!」
「承知」
アッキーが、すかさずアキラに応えた。
そして、アッキーの周りにあった影たちが、一斉に空間を横切り部屋の中央より後部、下段の間に座っていた人たちへと、駆け寄っていく。
いつの間にあんなに沢山の人たちが居たんだろう・・・
途端、僕の身体は裕輔さんに抱きすくめられ、胸元にきつく顔を押し付けられた。
そして、まるで何かから守るかのように、両腕でしっかりと頭を抱えられた。
そして、あがる――悲鳴、懇願、命乞いの声
ねぇ、何が起こっているの、これは何かの冗談なのかな・・・?
そして、それと分からないほどに、薄く漂う血の臭い、それから汚物の臭いも・・・した。
この部屋に充満している香に混じって、それらはすぐに混じりあり、そして消えていく。
僕には何が起こっているのか、わからない。
僕の全ては裕輔さんの胸の中にあったから――
ああ、だけど、アキラは、アキラは正面から見ているはずだ。
たとえ、遠く離れていても、きっと全てを視てるんだ。
閉じさせなきゃ、塞がなきゃ、アーちゃんと約束したもの――嫌なものはみせないって、だけど、ああああこんなことが現実に起きるなんて、そんなはずないよね・・・おかしい、こんなのはおかしいよ・・・・・・・・・これは僕の夢、なの、かな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・――――
――――違うっ!! これは全てが現実っ! 僕はそれをわかってるじゃないかっ!
僕の精神はこれが現実だとしっかりと訴えている、それだけはわかっている・・・だけど、だけど、どうすればいいの・・・アキラを罵倒すべきなの? それともあの影たちを止めにいくべき・・・・・・なんだろうか――
ただただナニもできないまま、裕輔さんの腕の中、まともな思考をしてくれない僕の精神はそれでも必死で答えを探していた。
むせ返るほど強くなった高雅な芳香。
惨劇の音は未だ止まない。
なぜか精神(こころ)は落ち着き払って、なんの警鐘もならしてはくれない。
僕は僕の精神にまで裏切られてしまったんだろうか・・・
「やめろーーー、なぜだっ、やめてくれーーーっ!! い、妹は、関係ない、関係ない! 謝る、いくらでも謝るからっ! 許してくれっ!! 白儿、白儿っ! 頼むやめてくれっ! 妹はまだ10歳なんだっ! 牟韻、頼むっ、やつらを止めてくれ! 僕だけにしてくれっ!! 頼むーー雪客様ーーっ!!」
瀬緒の父親に混じって、一際大きく泣き叫んでいる瀬緒。
己のせいで起こった悲劇に狼狽え懺悔し、そして慟哭するも・・・・・・
彼の姿を視ることはできないけど、きっとあの影たちに取り押さえられているのだと思う。
そして、静寂がやってきた――
「そして、私の名は・・・雪客、鷺視雪客」
僕は全然驚かない。
雪客というのが人の名だと、ここにきて初めて知ったけど、それが重大なものだということはすぐに分かった。
だからこの場にいれば、ちゃんと周囲を視ていれば、誰がそうなのかなんてすぐ分かるはずだ。
「瀬緒咲夜、どうした? あれほど会いたがっていた雪客がここにおるぞ」
「ふん、そうやって継埜は雪客を隠すのか!」
瀬緒の父は既にアキラに向かって額づいている。
理事長はまだ半信半疑、だけど瀬緒は、瀬緒だけは――どこまで愚かな人なのだろう・・・
「黙れ、下衆っ!」
「な、なんだとぉぉぉぉっ、この僕に、この僕に対してっ、」
アキラの恫喝に、端整な顔を醜く歪ませ怒り狂う瀬緒。
その姿は、もうこの人が救いようがないことを、周囲に知らしめるだけだ。
「瀬緒十夜っ!」
「はっ」
「瀬緒家は今をもって絶家、一族のモノ5親等までは例え赤子でも全て処分といたす。以上だっ!」
「せ、せっ、せっかくさまっ、なにとぞ、なにとぞっ、それだけは、せめて、せめて子供は子供だけはっ・・・・・・!!」
アキラが憤怒にのせて言い放った言葉の意味を、僕は理解できなかった。
肩を抱いてくれている裕輔さんの温もりを感じながら、やっと初めて少しずつ理解していった。
「白儿(しらじ)! 控えている愚かモノの一族を即刻根絶やしにしろ!」
「承知」
アッキーが、すかさずアキラに応えた。
そして、アッキーの周りにあった影たちが、一斉に空間を横切り部屋の中央より後部、下段の間に座っていた人たちへと、駆け寄っていく。
いつの間にあんなに沢山の人たちが居たんだろう・・・
途端、僕の身体は裕輔さんに抱きすくめられ、胸元にきつく顔を押し付けられた。
そして、まるで何かから守るかのように、両腕でしっかりと頭を抱えられた。
そして、あがる――悲鳴、懇願、命乞いの声
ねぇ、何が起こっているの、これは何かの冗談なのかな・・・?
そして、それと分からないほどに、薄く漂う血の臭い、それから汚物の臭いも・・・した。
この部屋に充満している香に混じって、それらはすぐに混じりあり、そして消えていく。
僕には何が起こっているのか、わからない。
僕の全ては裕輔さんの胸の中にあったから――
ああ、だけど、アキラは、アキラは正面から見ているはずだ。
たとえ、遠く離れていても、きっと全てを視てるんだ。
閉じさせなきゃ、塞がなきゃ、アーちゃんと約束したもの――嫌なものはみせないって、だけど、ああああこんなことが現実に起きるなんて、そんなはずないよね・・・おかしい、こんなのはおかしいよ・・・・・・・・・これは僕の夢、なの、かな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・――――
――――違うっ!! これは全てが現実っ! 僕はそれをわかってるじゃないかっ!
僕の精神はこれが現実だとしっかりと訴えている、それだけはわかっている・・・だけど、だけど、どうすればいいの・・・アキラを罵倒すべきなの? それともあの影たちを止めにいくべき・・・・・・なんだろうか――
ただただナニもできないまま、裕輔さんの腕の中、まともな思考をしてくれない僕の精神はそれでも必死で答えを探していた。
むせ返るほど強くなった高雅な芳香。
惨劇の音は未だ止まない。
なぜか精神(こころ)は落ち着き払って、なんの警鐘もならしてはくれない。
僕は僕の精神にまで裏切られてしまったんだろうか・・・
「やめろーーー、なぜだっ、やめてくれーーーっ!! い、妹は、関係ない、関係ない! 謝る、いくらでも謝るからっ! 許してくれっ!! 白儿、白儿っ! 頼むやめてくれっ! 妹はまだ10歳なんだっ! 牟韻、頼むっ、やつらを止めてくれ! 僕だけにしてくれっ!! 頼むーー雪客様ーーっ!!」
瀬緒の父親に混じって、一際大きく泣き叫んでいる瀬緒。
己のせいで起こった悲劇に狼狽え懺悔し、そして慟哭するも・・・・・・
彼の姿を視ることはできないけど、きっとあの影たちに取り押さえられているのだと思う。
そして、静寂がやってきた――
