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★キラキラ 第一章★

[アッくん■半日で]


彼が来てたった1日で、僕の平凡でツマラナイ、でもとても大切にしていた世界が崩壊しました。
アキと出会ってたった半日、僕は世界をこの手に取り戻しつつある現実に、目眩とともに歓喜していた。
でも、この手に戻るべき新たな世界は、以前とまったく違うもの……僕はそれに期待している。



高橋くんの部屋はとても広い。

「ひ、広い」

「あははー、びっくりした?」

特別棟なんて一生縁のない場所だと思ってたのに、高橋くんは閉じられていた扉をあっさりと開け、僕を招き入れてくれたのだった。

リビングが、とにかく広いんだよ。

「寝るのソファベッドになっちゃうけど、勘弁してね」

「あ、うん、全然…って、僕のベッドより良いんだけど…」

鈴木くんが楽しそうにソファの上で跳ねるから、僕も真似してみる。
うわ、すごい、驚くほどフカフカだよ。

「ねるの、いいのよ、いいの」

ビョンビョンって、あはは楽しいね。すごく楽しい。
自然に笑い声が溢れ出てくる。
僕、すごく笑えてる。

「アッくん、アッくん」

アッくんってなんだろ?

「アッくん、アッくん、なの、のよ」

なんでだろ、すごくくすぐったくて、嬉しくなってきた。



荷物の整理は少し梃子摺った。
アキがまず、バッグの中身を全部その場にぶちまけてくれた。
さらに服を掻き集めて山にして、その山ごとギュッギュッと引き出しに詰め込もうとする。
さすがにアーちゃんが注意して、別のことしなさいと言ってくれた。
そして僕一人で服の整理をしていると、

「う、あ、なのよ、なの」

などと呟きながら、アキは教科書や本を片づけてくれていた。
思わずアーちゃんの顔見たら、それは掛け声みたいなものだから気にしなくて良いって言われた。
本は意外にも――ごめん、アキ整理苦手そうなんだもん――ちゃんと揃えてしまわれた。

「アキの言葉で困ったときはー、アキにわかんないって言ってねー」

荷物の整理が終わったころ、アッキーが大量の荷物とともに帰ってきたから、少しばかり休憩しようとコーヒーを飲んでたとき、アーちゃんに言われた。

「あ、えっと…」

「だって、わかるように話さないアキが悪いんだからね」

「なのよ、アキ、へたなのよ、わるいの、なの」

僕はなんと答えていいかわからず、曖昧に笑った。

「と、ところでさ、あの、佐…ア、キラは?」

「ぱぱさん、なのよ、どんどんなの、いやなのよ」

どうやらアキラの居場所を教えてくれてるみたいだけど、何を言ってるかわかんないよ。
アーちゃんを見たらやけににやにやしてこっち見てた。
これは試されてるのかな?

「えっと、アキ、わかんなかった。もう一回言って」

アキはさも当然とばかりに、

「アキラ、ぱぱさん、だめなのよ、ぱぱさん、どっどっなの、アキラ、いやなの、ごめんなの、のよ」

「うーん、ぱぱさんって何なのかな?」

「ぱぱさん、かいちょなのよ」

かいちょ?

「かいちょってところに、アキラはいるの?」

「う、あ、かいちょ、ちがうのよ、おしごとなの、アキラ、ぱぱさんなのよ、のよ」

かいちょがお仕事?
アキラがぱぱさん?
うーん、ぱぱさんは人物をさしてるのかな?

「アキラ、わるいのよ、ぱぱさん、どっどっ、なのよ」

言葉のわからない僕にいらだつ様子もなく、困った表情もみせず、何度もアキは教えてくれる。
でも、余計わかんなくなってきたよ。
とにかく、アキラが何か悪いことしたのかな?

「だめ、限界、その困った顔笑える」

あ、どうしよう……。

「こりゃ、あれだね、朝までコース」

「ご、ごめ、」

「ごめんはなしだよ、アッくん。さっきも言ったでしょ、悪いのはアキなの」

「なのよ、わるいのよ、アキ、のよ」

「そんなことっ、」

「アキラはねー、現在会長のお部屋に出張中なのー」

ない。って言おうとしたら、アーちゃんに遮られた。

「ぱぱさんってのは東峰会長のこと。アキラは東峰との約束を破ったから、現在イヤンなお仕置き中なのー」

――は?



お昼休みにアキと出会ってから、とにかく驚きの連続でした。
でも、これが本日のダメ押しと言わんばかりの驚愕の事実に、僕はもう倒れてしまいそうです。
アキラは、あのカリスマと言われている、容姿端麗頭脳明晰スポーツ万能学園1の家柄何様俺様美形会長様の嫁……。

脳が処理しきれていません。
アーちゃんは大笑いして、アッキーは無表情、アキはいっぱい話してくれて……。
とりあえず僕が正常に戻るのを、みんな待ってくれてるみたいです。

どうしてこんなとんでもないことをあっさり教えるの?
そう言ったら、会則で『恋人ができたら報告』ってのがあると言われた。

「アキラはまったく気にしないんだけどね、一応隠す用に言われてんの。東峰的にはちょっとでも危険から遠ざけたいんだって」

「……だよね、危ないよね。会長様って一番親衛隊多いし、一般生徒の中にもたくさんのファンがいるし」

「本当にアキラは気にしない奴なんだけどね。親衛隊隊長も幹部も知ってっけど、ヒラ隊員に何されるかわかんないし、東峰が、アキラをセフレ扱いされたらムカつくって言うから、公表はしてないの」

うーん、アキラと会長……どうしようイメージできないよ。
ごめん、保健室で会ったっきりだけど、本当に普通の容姿だったとしか記憶してないもんだから、あの会長様と…というのが真剣に想像できないんだ。
でも、

「それって…すごく大切にされてるってことだよね。なんだか…嬉しいな……」

アーちゃんが不思議なものでも見てるかのように、僕を見る。
僕、何かおかしなこと言ったのかな?
謝ったほうがいいのかな?

「なのよっ! なの、なのよっ!」

「うんうん、だねー」

えっ? えっ? いきなりのアキの大声、満面の笑み。
戸惑っていたら、アッキーに頭を撫でられた。
えっ、なんで?
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