このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

★キラキラ 第二仕舞章★

[アッくん■奈落の前場]


あれからアーちゃんは腕組をして、一言も発することなく目を閉じている。
窓は全部塞がれて、景色なんてまったく見えないから、車がどこに向かっているかはわからない。
僕はなんだかとても怖くて、聞きたいことは山ほどあるのに、アーちゃんに声を掛けることが躊躇われた。

ただ、裕輔さんの隣りに座って、早く停車してくれるのを待つ。
アーちゃんと同じように、会長も裕輔さんも全く話しをしたりしない。
車内の雰囲気に気圧されて、僕はただ黙っているしかできなかった。

ああ、いったいなにがおこっているの?



いつの間にか寝ていた。
あまりにも突然に意識を失ったから、案外車中で飲んだ物に薬でも入ってたのかもしれない。
みんなは手をつけてなかったし。

そして、気がついたら、立派な布団で寝ていた。
純和風な雰囲気の畳が敷き詰められた部屋に、綺麗な白い鳥が描かれた衝立、同じく鳥の模様の花器。掛け軸。
まるで高級旅館にでも来たみたいです。
だけど、明らかに旅館とは違う。
だって、まったく窓がなくて、部屋全体も薄暗いんだもの。

そして、考える暇もなく、着物を着た女性が現れて、僕を広間へと案内してくれた。
既に席についていた裕輔さんと会長が、変わらぬ笑顔で挨拶してくれたから、少しホッとした。
どうやら僕は一晩寝ていたらしい。

広間に用意してくれた朝食を食べ終えると、着替えを用意してもらえた。
それが洋服だったからちょっとだけ安心した。
着慣れない僕は、和服を渡されても、きっと似合わないと思ったから。
だけど裕輔さんと会長は和服だったんだ。
真白な上衣に山吹色の袴。
2人ともすっごく似合ってて、僕はちょっとだけ見蕩れちゃった。

そして、黒い着物を着た女性が先導して、僕たち3人は暗く長い廊下をひたすら歩かされることとなった。
15/54ページ
スキ