★キラキラ 第二仕舞章★
[妾―わたし―■逝く]
十月十日を経て産まれた子は、畜生腹 (双子)であった。
しかし、この子等を厭うモノは、この奥院には存在しない。
妾 の父であり、夫である男は苦渋に満ちた表情を、己が子に向けていた、が。
「守人 、これへ」
父に呼ばれ進み出るは、黒い装束を纏 った老男である。
「子等は男女であった、間違いのないよう、頼む」
跪 いた男はそのまま頭を下げ、背後に控えていた女人どもへ中へ入るよう促した。
白い衣装を身に着けた女人どもは、先ほどまで妾 の中にあった塊を恭しく抱き、そのまま座を後にした。
「父上様、子等は無事育ちますでしょうか?」
答えてはくれぬと分かっている。
父、否、夫と約したとおり、あの子等のことを妾 は忘れるしかない。
それが最初からの取り決め、父に抱かれるための約定なのだから。
たまに守人から語られる子等の様子に妾 は常に頬を緩める。
もとより身体は丈夫ではない。
もう床から起き上がることも叶わぬ身では、健やかに育つ子等の話が唯一の慰めであった。
いえ、たまに訪れる夫も、もちろん妾 の慰めではあるが。
会うのはもちろん、語ることも禁じられたことを守人が口にするのは、妾 がもうすぐ儚くなるからであろう。
夫が妾 を憐れに思い許してくれたのだろう。
継埜守人 は雪客 にのみ従う存在なのだから。
これが、鷺視の雪客 にして総代であるあなた様から、妾 への餞 なのでしょう。
――あぁ、息が苦しくなってきました。
鷺視家のモノはなぜこれほどに、血族を求めてしまうのでしょう。
なぜ雪客 は耐え切れぬほど切実に、伝えたがるのでしょう。
この呪縛から解き放たれることを願ったのは、何代前の雪客 なのでしょうか・・・
枕辺で妾 を愛しげに、哀しげに見やる夫。
あぁ、もうそろそろお別れでございますね・・・
いずれは、あなたさまの望みが叶うことを、お祈りしております・・・
「・・・先に、逝き、ますが・・・・・・どうぞ、お嘆きに、ならずに・・・・・・父、上さ、ま」
最後の吐息にのせ、申したいことは伝えました。
あなたはなにも忘れられぬ方だから、この別れは永遠に薄れることなく、常にあなたのそばに寄り添ってしまいますね。
ですから、できるだけ笑いましょう。
これが妾 から、父であり夫であるあなた様への最後の餞 でございます・・・
十月十日を経て産まれた子は、
しかし、この子等を厭うモノは、この奥院には存在しない。
「
父に呼ばれ進み出るは、黒い装束を
「子等は男女であった、間違いのないよう、頼む」
白い衣装を身に着けた女人どもは、先ほどまで
「父上様、子等は無事育ちますでしょうか?」
答えてはくれぬと分かっている。
父、否、夫と約したとおり、あの子等のことを
それが最初からの取り決め、父に抱かれるための約定なのだから。
たまに守人から語られる子等の様子に
もとより身体は丈夫ではない。
もう床から起き上がることも叶わぬ身では、健やかに育つ子等の話が唯一の慰めであった。
いえ、たまに訪れる夫も、もちろん
会うのはもちろん、語ることも禁じられたことを守人が口にするのは、
夫が
これが、鷺視の
――あぁ、息が苦しくなってきました。
鷺視家のモノはなぜこれほどに、血族を求めてしまうのでしょう。
なぜ
この呪縛から解き放たれることを願ったのは、何代前の
枕辺で
あぁ、もうそろそろお別れでございますね・・・
いずれは、あなたさまの望みが叶うことを、お祈りしております・・・
「・・・先に、逝き、ますが・・・・・・どうぞ、お嘆きに、ならずに・・・・・・父、上さ、ま」
最後の吐息にのせ、申したいことは伝えました。
あなたはなにも忘れられぬ方だから、この別れは永遠に薄れることなく、常にあなたのそばに寄り添ってしまいますね。
ですから、できるだけ笑いましょう。
これが
