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★キラキラ 第二章★

[アッくん■退院]


まさか10日も入院させられるなんて、思わなかったよ。
裕輔さんが病室まで迎えに来てくれて、今日はやっと退院です。

「お世話になりました」

「おめでとう」

「元気でね」

「もう戻って来たら駄目よ」

荷物は裕輔さんが持ってくれて、看護士さんたちに別れを告げ、僕は玄関を後にした。
右膝はサポーターをつけられている、他にも湿布やらガーゼやらされてるけど、はっきり言って問題ないです。

「裕輔さん、バス停あっちですよ」

バス停と逆の方向に歩いて行く裕輔さんを追いかけ、僕もそちらへと向かう。
なにか用事があるのかな?
少し歩くとやけに大きな車が見えてきた。

「わっ、すご・・・・・・」

初めて見た、これってリムジンってやつだ。
こんなところで見るなんて思わなかったな。
誰が乗るんだろ、すごいな。

「ゆ、裕輔さんっ、駄目ですよ」

僕は焦って声をかけた。
だって裕輔さんが、リムジンの窓をノックしたんだもの。
真面目な裕輔さんにしては珍しい子供みたいな行動に、僕は焦るしかないよ。

――ガチャ

あ、ほら、乗ってる人に、怒られちゃうよ。

「渡辺、思ったより元気そうだな」

「か、会長・・・」

ドアを開けて降りてきたのは東峰会長だった。

「彬、大丈夫だ。これは俺たちを迎えに来た車だから、安心して乗っていい」

「ええ、そんな、だったら最初に言ってくださいよ、僕焦りましたよ」

「くく、それを期待してこいつは黙ってたんだ」

会長は愉快そうに笑って、こいつ――裕輔さんを親指で指した。
もう、ほんとにひどいな。
でも、生まれて初めて憧れのリムジンに乗れるから、許します。

中にはもう1人乗ってる人がいた。
一番奥の席に、真黒の着物を身に纏った人。

「ア、アーちゃん!! アーちゃんだアーちゃんだ!」

「お、元気元気、お兄さんは安心したよー」

ああ、その軽口、やっぱりアーちゃんだ。

「アアアアアキは、アキはっ!?」

「アッくん、とりあえず落ち着いて、ちゃんと教えたげるから」

裕輔さんに促され、僕はアーちゃんの隣りへと腰を下ろした。
そして、ゆっくりと車が動き出す。

「アキはピンピンしてるからね、安心してね」

「そうなの、良かった」

一番気にしてたことだったから、それ聞いてホッと力が抜けちゃった。
裕輔さんが、テーブル――車の中とは思えないよ――に置いてあるジュースを僕に渡してくれたから、グビッと飲んだ。

それにしても、アーちゃん、なんで着物なんだろ?
意外にも似合ってるし、着馴れてるって感じ。
それにしても足袋まで黒いなんて、なんか変わってる。

「アキラたちは? ねぇ皆どうしてるの? そ、それから、瀬緒さんは・・・?」

あれ、僕すごくおかしなこと聞いてるよね。
皆のことを聞くのは当然だと思うけど、どうして瀬緒さんのことをアーちゃんに聞いたんだろ?
だって、関係ないはずなのに、どうして。

「うーん、アッくんは、知りたいの?」

「え、?」

なんだろ空気が変わった? でも窓開いてないよね。

「そ、そりゃ知りたいよ、だって、だって、皆どうしちゃったの? あれからどうなってるの? 瀬緒さんは僕になにがしたかったの? 気になるよ」

瀬緒さんにはわけのわからないこと言われて、そのせいでアキや明石くん、僕も怪我して。
それなのに、その後何もなかったみたいに誰も彼も消えて、それを誰も口にしないなんて。

「彬は一番の関係者だ、知りたいと思うのは当然だろ」

裕輔さん・・・

「それはー、正式なー西の意見でいいー?」

「ああ、構わない」

「あっそ、んじゃ東はー?」

なになに、さっきからアーちゃんは何言ってるの?

「・・・特に異存はない」

会長・・・?

「あっそ、んじゃ――」

がらっと車内の空気がかわった、そして丸っきり雰囲気の違うアーちゃんが僕を、視る。
いつもの明るい笑みは消え・・・無表情で冷たい視線を僕に向けている。

「――渡辺彬、貴様を我らが奈落へと招いてやろう」

「・・・アー、ちゃん」
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