★キラキラ 第二章★
[アキラ■狂気の存在]
顔が見たいです、と言えば渋々ながら腕を離し、正面に僕を見据えた姫宮。
僕は彼の青みを帯びた瞳を凝視しながら、投げ出すことをせず話を続けました。
なんとか支離滅裂な対話を繰り返し、わかったことは、
アキラは女性
いつ会ったか覚えてない
何が合ったかも覚えてない
アキラは自分のモノ
FCのせいでアキラに会うのを我慢していた
だから最近イライラしていた
もう我慢したくない
そして、佐藤晃がアキラ
なんでやねん! アーちゃんに教わったツッコミを使う日が来るとは、夢にも思いませんでした。
性別の問題はどうやら気にならないようですね。
本当に意味不ですよ!
「あ、ちょっと!」
このケダモノめ、人の胸を触らないでください。
「ちょ・・・こら! やめ、なさ・・・い」
なぜこの僕がアキラの代わりに押し倒されないといけないのですか!
興奮ぎみに僕の質問に答えていた姫宮が、いきなり僕を地面に押し倒しはじめました。
女の子のような顔をしているくせに、こういうところは男なのですね。
などと感心していられません。
「なんでだよ、アキラは俺のだろっ」
「違、い・・・ま、す!」
「違わないっ、俺と結婚するんだ、俺のモノになるんだ!」
ツッコミを入れたいところですが、今の僕にはそんな余裕などございません。
必死に彼の胸を押しやり、身を捩り、足を蹴り上げ、なんとか下から這い出ようと力の限りの抵抗を試みます。
「はぁっ・・・はぁ・・・!」
息を継ぐ中、とうとう僕の両腕は頭上に一纏めにされてしまいました。
「ぁ、冗・・・談、です、よね」
荒い息の中、なんとかそれだけ搾り出しました。
あぁ、でも彼の目は本気です、本気で僕を犯す気でいる・・・
なにか、なにか止める言葉を思いつかなくては。
そうやっている間にも、彼は僕の膝に乗り上げ、無防備に曝け出している喉元に喰らいついてきました。
「あっ・・・こらっ、い、たたっ!」
もう! このケダモノめ!
「ひ、姫、宮! 姫宮っ! そ、外は、嫌っ、外では、嫌です!」
僕の制服のネクタイをとり、シャツのボタンを外していた男がやっと動きを止めてくれました。
ふと、彼はこういったことに慣れているのか、などと冷静な部分で考える。
「い、痛い・・・ここは、嫌、です」
訴えるように嫌々と首を振る僕は、さぞ情けない姿を晒していることでしょう。
「あ、ごめんっ、そうだよなっ、痛いよな」
姫宮が僕を抱き起こしくれましたが、まだ終わってはいない。
獣に抱き寄せられながら、痛みに震える指でボタンをとめ、首にかかっているだけのネクタイを締めていく。
彼は僕の硬く真直ぐな髪を指で梳きながら、擦り切れている額、目元、頬と順に口付けていた。
「姫宮、嫌です」
顔を背けながら言えば、寄せていた唇が離れる。
やっと少しは冷静になってくれたようです。
一旦激情に駆られると、衝動のままに襲い掛かってくる姫宮。
冷静になれば、先ほどまでの己の行動を忘れたかのように素直になる。
なんと扱いづらい獣なのだろう。
「そうだよな、部屋のほうがいいよな」
僕の言葉を都合よく捉えたようだ。
だが抱き寄せる腕は、まだ放してもらえない。
できるだけ冷静に話しを聞いてもらうために、大人しく彼の胸に身体を預けた。
「姫宮、僕はFCが怖い、だから他人の目がある場所では僕と関わらないでください。名前を呼ぶのも止めてください」
ソッと様子を窺ってみる。
大丈夫、興奮していませんね。
「それ、守ったら・・・アキラはちゃんと俺のモノになるのか?」
「たまに・・・たまに話しをしましょう」
興奮させないよう、相手の目をジッと見ながら答えます。
「話し・・・」
「そうです、会話をしましょう。きっと楽しいと思います」
「アキラはそうしたら楽しいのかっ」
「はい・・・」
常に確認しておりましたが、彼の青瞳には一片の狂気も存在しません。
驚いたことに彼はまったく狂ってなどいないのです。
支離滅裂な言動。
先ほどの衝動的な行動。
そこに狂気が存在しない――つまり彼の一連の行動は全てが正常で、彼の中では全て辻褄があっているのだ。
なんとも不気味な存在――
これは扱いには相当注意をはらわなければ。
「あなたは以前と違って、相手を尊重することができる。それは、従兄殿に教わったのですか?」
「俺、アキラと一緒にいるにはどうしたらいいかって、さく兄に聞いたんだ。そしたらアキラの話し聞いて、その通りにしてあげろって。敬語使ってちゃんと謝ったら、誰もアキラと俺の邪魔しないって」
「そうですか・・・」
なるほど、それがあの豹変の正体ですね。
ですが、彼の中ではアッくんのための行動が、アキラのためにすり替わっている。
「僕は体育祭のときに怪我をしているのです。できれば部屋で休みたい」
「あ、そうだアキラ転んだよな。大丈夫か?」
「さほど酷くはありません、ですが少し痛んできたので、ゆっくりと1人で休みたいのです」
「ごめん、俺が乱暴にしたから」
送るというのをFCが怖いからと往なし、やっとケダモノから解放された僕は、急ぎ部屋へと戻りました。
顔が見たいです、と言えば渋々ながら腕を離し、正面に僕を見据えた姫宮。
僕は彼の青みを帯びた瞳を凝視しながら、投げ出すことをせず話を続けました。
なんとか支離滅裂な対話を繰り返し、わかったことは、
アキラは女性
いつ会ったか覚えてない
何が合ったかも覚えてない
アキラは自分のモノ
FCのせいでアキラに会うのを我慢していた
だから最近イライラしていた
もう我慢したくない
そして、佐藤晃がアキラ
なんでやねん! アーちゃんに教わったツッコミを使う日が来るとは、夢にも思いませんでした。
性別の問題はどうやら気にならないようですね。
本当に意味不ですよ!
「あ、ちょっと!」
このケダモノめ、人の胸を触らないでください。
「ちょ・・・こら! やめ、なさ・・・い」
なぜこの僕がアキラの代わりに押し倒されないといけないのですか!
興奮ぎみに僕の質問に答えていた姫宮が、いきなり僕を地面に押し倒しはじめました。
女の子のような顔をしているくせに、こういうところは男なのですね。
などと感心していられません。
「なんでだよ、アキラは俺のだろっ」
「違、い・・・ま、す!」
「違わないっ、俺と結婚するんだ、俺のモノになるんだ!」
ツッコミを入れたいところですが、今の僕にはそんな余裕などございません。
必死に彼の胸を押しやり、身を捩り、足を蹴り上げ、なんとか下から這い出ようと力の限りの抵抗を試みます。
「はぁっ・・・はぁ・・・!」
息を継ぐ中、とうとう僕の両腕は頭上に一纏めにされてしまいました。
「ぁ、冗・・・談、です、よね」
荒い息の中、なんとかそれだけ搾り出しました。
あぁ、でも彼の目は本気です、本気で僕を犯す気でいる・・・
なにか、なにか止める言葉を思いつかなくては。
そうやっている間にも、彼は僕の膝に乗り上げ、無防備に曝け出している喉元に喰らいついてきました。
「あっ・・・こらっ、い、たたっ!」
もう! このケダモノめ!
「ひ、姫、宮! 姫宮っ! そ、外は、嫌っ、外では、嫌です!」
僕の制服のネクタイをとり、シャツのボタンを外していた男がやっと動きを止めてくれました。
ふと、彼はこういったことに慣れているのか、などと冷静な部分で考える。
「い、痛い・・・ここは、嫌、です」
訴えるように嫌々と首を振る僕は、さぞ情けない姿を晒していることでしょう。
「あ、ごめんっ、そうだよなっ、痛いよな」
姫宮が僕を抱き起こしくれましたが、まだ終わってはいない。
獣に抱き寄せられながら、痛みに震える指でボタンをとめ、首にかかっているだけのネクタイを締めていく。
彼は僕の硬く真直ぐな髪を指で梳きながら、擦り切れている額、目元、頬と順に口付けていた。
「姫宮、嫌です」
顔を背けながら言えば、寄せていた唇が離れる。
やっと少しは冷静になってくれたようです。
一旦激情に駆られると、衝動のままに襲い掛かってくる姫宮。
冷静になれば、先ほどまでの己の行動を忘れたかのように素直になる。
なんと扱いづらい獣なのだろう。
「そうだよな、部屋のほうがいいよな」
僕の言葉を都合よく捉えたようだ。
だが抱き寄せる腕は、まだ放してもらえない。
できるだけ冷静に話しを聞いてもらうために、大人しく彼の胸に身体を預けた。
「姫宮、僕はFCが怖い、だから他人の目がある場所では僕と関わらないでください。名前を呼ぶのも止めてください」
ソッと様子を窺ってみる。
大丈夫、興奮していませんね。
「それ、守ったら・・・アキラはちゃんと俺のモノになるのか?」
「たまに・・・たまに話しをしましょう」
興奮させないよう、相手の目をジッと見ながら答えます。
「話し・・・」
「そうです、会話をしましょう。きっと楽しいと思います」
「アキラはそうしたら楽しいのかっ」
「はい・・・」
常に確認しておりましたが、彼の青瞳には一片の狂気も存在しません。
驚いたことに彼はまったく狂ってなどいないのです。
支離滅裂な言動。
先ほどの衝動的な行動。
そこに狂気が存在しない――つまり彼の一連の行動は全てが正常で、彼の中では全て辻褄があっているのだ。
なんとも不気味な存在――
これは扱いには相当注意をはらわなければ。
「あなたは以前と違って、相手を尊重することができる。それは、従兄殿に教わったのですか?」
「俺、アキラと一緒にいるにはどうしたらいいかって、さく兄に聞いたんだ。そしたらアキラの話し聞いて、その通りにしてあげろって。敬語使ってちゃんと謝ったら、誰もアキラと俺の邪魔しないって」
「そうですか・・・」
なるほど、それがあの豹変の正体ですね。
ですが、彼の中ではアッくんのための行動が、アキラのためにすり替わっている。
「僕は体育祭のときに怪我をしているのです。できれば部屋で休みたい」
「あ、そうだアキラ転んだよな。大丈夫か?」
「さほど酷くはありません、ですが少し痛んできたので、ゆっくりと1人で休みたいのです」
「ごめん、俺が乱暴にしたから」
送るというのをFCが怖いからと往なし、やっとケダモノから解放された僕は、急ぎ部屋へと戻りました。
