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★キラキラ 第二章★

[アキラ■あべし]


「佐藤くん、ほら涙拭いて」

同じ競技に参加するため並んでいる御船先輩が優しく言ってくれます。

「えぐっ、出たくないです出たくないです・・・ぐしっ」

「毎年のことだけど、本当に駄目なんだね・・・」

「うううう、毎年笑い者になっているのです、今年くらい許してくれても・・・うっうっ」

「だけど今年の借り物はかなり大変らしいから、足の速さは関係ないと思うよ」

そんなのが果たして慰めになるのでしょうか。

御船先輩は敵側である僕を必死で宥めてくれました。
ここまできたら仕方ありません、開き直ります。



――パーンッ

ああ、スタートの合図が鳴ってしまいましたよ。
皆さん一斉に走り出しました。
どうして右足と左足がそんなにスムーズに出せるのか、甚だ謎です。
それでも自分なりに手と足を前に出して・・・

「あべしっ――!」

僕の競技人生はここで終わったようです。



「ぎゃははははははははは、ほんとーにはずさねーのな」

アーちゃん、笑いすぎですよ。
それでも僕の気分は晴れやかなので、許してあげます。

「なんとでも言ってください。これで玉入れに出ずに済むなら安いものです」

「わざととか言ったら怒るよー」

「そんな器用なことができるとでも!?」

「あ、そりゃ無理か、わざとこけるなんて運動神経ないもんね」

若干言い方が気になりますが、疑いが晴れて何より。

僕は借り物のスタートとほぼ同時に思いっきりこけたのです。
ええ、思いっきりです、それは見事にすっころびました。

「普通はね、こけそうになったら手が出るもんよ」

顔の傷がヒリヒリと痛みますが、後は見学していいとお墨付きをもらったので我慢です。
額と鼻、肘と膝にも絆創膏が貼られておりますが、これは名誉の負傷なのです。
ついでに少々足首を痛めたので、こちらは湿布を貼って固定されております。

「それにしても、見事だったね・・・」

アッくん、見事にすっころんだなどと、褒めているのですか、貶しているのですか?

「あう、いいのよ、いいのよ」

そうですね、まさに怪我の功名です。

「よかったね、怪我して」

アーちゃん、その笑顔嫌です。

アッキーは無言でお弁当をかっこんでいます。
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