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★キラキラ 第二章★

[アキラ■DQN]


いきなり大人しくなったもじゃ。
大人しいといっても、僕の両腕はきつく掴まれ、体は壁に押し付けられておりますが。
揺さぶられることはなく、もじゃはただ僕の顔をじっと見ているだけです。
先ほどよりはかなりマシな状況でしょう。

「・・・ひ、姫、宮くん」

「・・・ア、キ、ラ・・・だ、アキラ、だよなお前!」

もじゃに名前を名乗ったことなどないのですが、どこかで僕の名前を聞いたのでしょうか?

「・・・僕は、あなたに、名乗った覚えは、ありませんが、どなたから、聞きました?」

多少フラフラしている体では、言葉を発するのが少し辛いですね。

「し、知らない・・・でもアキラだろ!」

何をめちゃくちゃなことを言ってるんでしょうか。
知らないのになぜ僕の名前を知っているんだ。

「違います」

「嘘だっ、アキラだ!」

「君の言うアキラとは誰のことですか? 渡辺彬くんのことですか?」

「アキラ、だ・・・アキラの話しだ」

段々ともじゃの発言は異様さを増してきた気がします。
できればお相手したくないですね。
ですが、腕を離してくれないので、ここから立ち去ることもできません。

「姫宮くん、落ち着いて、今は誰の話しをしているのですか?」

「俺の・・・アキラ、アキラの話しだ・・・」

俺のなどとよく言えるものだと感心するも、そのアキラは彬なのか、アキラなのか謎です。

「あなたは、」

「あなたなんて言うな! 瑠希愛って呼べよ!」

これは以前のもじゃが良く言っていた台詞ですね。

「嫌です。断固拒否します」

「なんでだっ!」

「そんなDQNネーム恥ずかしくて呼べません」

「ドキュ、えっ!?」

「とにかくそれはいいですから、話しを続けます。姫宮くんは先ほど、昔から決まっていると仰っておりましたが、どういう意味なのですか?」

「俺、そんなこと言ったか?」

覚えてないのですか!?

「それより、その敬語やめろよっ」

「これは僕のアイデンティティなので、お気になさらず」

「アイデ? じゃ、名前教えろよ!」

「・・・腕を、腕を放してください、そしたら教えます」

「あ、腕・・・悪ぃ」

やっと解放されました。ですが目の前に立ちはだかるもじゃが邪魔で身動き取れません。

「佐藤です」

「下の名前教えろよっ」

「嫌です。また名前呼びをすれば友達だなどと愚かなことを言うのですか?」

「違っ、違うっ」

「では必要ないですね、佐藤です」

「嫌だ、ちゃんと教えろよ」

「僕はあなたの名前を呼ばない、だから僕のことも呼ぶ必要はありません。よって下の名など知る必要もない。そろそろ失礼いたいます」

「駄目だ!」

「ひゃっ!!」

早くここから立ち去りたいのに、また興奮しだしたもじゃによって、僕の体は床へと転がされました。

「やっぱりお前はアキラだ! そうだっ、アキラだっ!」

またですか・・・しかし今度は勝手が違いますね。
床に転がった僕の体にのしかかってきたもじゃに顔を掴まれ、もじゃの方へと向けさせられました。
必死でもじゃの肩を押してみましたが、まったく意味を成さないなどと、僕の非力を見せ付けたいのでしょうか!?

「どいて、くださいっ! どいてっ」

「なんでだよ、アキラだろっ、アキラは俺のだっ、昔から決まってるんだ!」

また昔ですか・・・駄目です、認めます。
僕の力では彼を止められません。

「わかりましたっ、認めます、僕の名前はアキラです!」

「やっぱりアキラだっ」

「確かに晃です、佐藤晃、それが僕の名前です」

肩で息をしながら名前を教えれば、もじゃはやっと静かになりました。
ですが、またいつ激情に駆られるかわかりませんね。

「佐藤アキラ、アキラ、やっぱりアキラだ・・・」

「姫宮くん・・・落ち着いてくだ、」

ななななななんなんでしょうか、静かになってきたと思ったら、もじゃの掌が頬に当てられましたよ。
ひぃぃぃ気持ち悪い、しかもどことなく愛しげに撫でたりしておりますよ!

気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い――!!

アキラ・・・この名前の人と昔に何かあったのでしょうか?
だから、アッくんにも執着する?
なんだか腑に落ちません、そんな単純ではない気がします。
それに、なぜ僕の名前を言い当てたかがわかりませんね。

「えっ・・・ちょ、ちょっと、何をなさるのですかっ」

「・・・俺、なにかしたか?」

なにかしたか? ですって、さっきからしまくってますよ。
いえそれより、もじゃが僕の、この僕の頬に、唇を押しつけようとしやがりましたよ!
もちろん頭を押し返して、それは避けましたが。
ううきっと何かの間違いですね、間違いに決まっています。

「もういいですから、どいてください。重いですっ」

「あ、悪い、でもお前が逃げるから悪いんだぞっ」

「逃げる? 僕は用件が終わったので、立ち去ろうとしただけです。早くどいてっ」

「用件? 用件ってなんだよ!?」

ああああもう言葉の通じない宇宙人めっ。

「はぁ、もう、会話にならない人だ・・・」

「俺、俺・・・また何かしたか!? アキラ怒らすことしたか!?」

「ええ、しまくりですよ、それからアキラと呼ばないでください」

勢いに任せてしまいましたが、できるだけ優しくは言ったつもりです。

「なんで駄目なんだ!?」

「アキラなる人物が、僕の周りには沢山いるからです。あなたの近くにもいるでしょアキラが。ややこしくて仕方ないです」

「あ、そうかアキラがいるもんな」

「ご理解いただけてなにより、それより早くどいてください」

顔近づけすぎなんですよ、さっきから。

「あ、ごめん」

やっと僕の上からどいてくれたもじゃは、手を貸して起こしてくれました。
こういうところは、まともですね。

「もう、戻ってもいいですか」

また暴れたらやっかいなので、確認を取ります。

「あ、クラス、クラス聞いていいか?」

「できれば来ないでいただきたいですが、Sです」

「なんで駄目なんだっ」

「Sは皆勉学に力を注いでいるのです、休憩時間もそれに充てております。ですからそれを邪魔する行為は絶対に許されないのです」

「勉強ばっかりするなんて、」

「それがSの役割です! 特に僕は特待生ですので、邪魔をされれば学園に居られなくなります。僕を追い出したいのであれば、どうぞお出でくださいっ!」

「そ、それは駄目だ」

「おわかりいただけたようですね、ではそろそろ良いですか?」

「なあ、飯一緒に食おうぜ」

「僕は食堂には行かない主義です。部屋で勉強をしながら食べます。それにあなたのFCに目をつけられるのは絶対に嫌です」

「FC・・・FCか・・・・・・そうだよな、うん、わかった・・・」

「今度こそ戻っていいですね」

「あ、わかった、なんか、ごめん・・・」

「いえ、それでは失礼します」

やっと解放されました・・・・・・なんとも疲れましたので、ここは真直ぐ部屋へと戻ることにいたします。
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