幼少期編
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物心つく前の記憶なんて、断片的にしか憶えていない、ということを最初に記しておく。
東京都内某所。平凡な“電磁波”という個性を持つ父と、これまた平凡な“静止”という個性を持った母の元に、まだ個性も発現していない子供がいた。そう、それが私。鳴神燈、当時の齢は3歳である。外に出るのが好きで、旅行好きな両親は、月に一度必ずどこかへ旅行に行く。流石に、幼い娘を連れて頻繁に海外へ行くのは大変なのか、専ら国内旅行だ。
さて、ここで一つ追記しておくと、この旅行は“家族旅行”と呼ぶには少し違うモノである。というのも、私たち家族だけで旅行するのではなく、隣に住む赤羽一家も共に旅行するのである。今後ともよく話に出すつもりなので、一度赤羽家の説明を入れておこう。
ウチの隣に住む赤羽家は、ウチと家族ぐるみでの付き合いをしている。理由は簡単で、私の母と赤羽家の奥さんが中学校の時の同級生で親友だそうだ。子供が生まれたらまた同じ土地に住みたいなどという夢を叶えて、隣同士に住んでいるという事だ。そして、赤羽家には私と同い年の子供がいる。業 (以降カルマと表記)くんだ。彼は既に個性が発現していて、良く自慢気に教えてくれる。個性は空間移動 。後に何でもどこにでも移動させる事が出来るようになるために、日々特訓しているそうだ。
これだけ話せば前提知識は十分だろう。
前述したが、当時の私たちは月に一度の頻度で旅行に出かけていた。まだ幼稚園に通える年齢でもないので、特に曜日は気にせず3泊4日で旅するのが恒例であった。それ以外の日は大抵カルマと外で遊んでいた。
「こせい はやくでるといいね」
「うん!なんのこせいが でるのか たのしみ!」
他愛のない会話をしながら公園の遊具で遊ぶ。母に似てお淑やかな容姿の私は、見た目に反して体を動かす事が好きで、カルマの手を引きながら様々な遊具で遊び倒す。カルマも私も、同年代の子たちと比べて大人びたところがあったので、一緒にいて居心地が良い。なので、基本的に他の子たちとあまり遊ばなかったのだが、それを面白くないと思う子もいた。
「おい、おまえら!いつもふたりだけであそんでんじゃん!!つきあってるのか!?」
「やーい!ふうふ ふうふ!」
率先して私たちを揶揄うのは、所謂ガキ大将と呼ばれる少年で、彼の取り巻きたちも、便乗するように揶揄い始める。きっと普通なら泣いたりやり返したりするのかも知れないのだが、私もカルマも子供らしくない子供だったのかもしれない。と、今思い返すとそう思った。
「そりゃ、おまえたちみたいなバカを あいてにしているよりも ぜんぜんいいじゃん」
「な、なんだとぉ!?」
「わたしも カルマといっしょにいるほうが たのしいからいるの。あなたたちに とやかくいわれるワケなんてないよ」
「!」
「よ、よっちゃん…」
「くっそー!!おぼえてろよ!」
よっちゃんと呼ばれたガキ大将は、目に涙を浮かべながら走り去った。取り巻きたちも追うようにして行ってしまった。この頃から、互いの考え方が似ていると気付いていたのかもしれない。以降ガキ大将が絡んで来るたびに、言い負かしていた。
しかし、あの日をキッカケに変わってしまった。
「おい、お前たちか?俺の弟をいじめたのは」
「兄ちゃん…」
ガキ大将が、小学生の兄を連れて現れた。その小学生(便宜上以降は兄大将と表記する)は、例えるのなら某猫型ロボットが登場する漫画のガキ大将のようだ。兄大将は私たちを睨むと、大きな拳を振りかざした。もちろん、当時3歳の私たちが叶うはずもなく、思い切り殴られたが、ここで泣かないのは、やはり子供らしくない子供だったからだろうか。
「ちょっとさがってて」
「え、でも…」
「だいじょうぶだから!」
カルマは私に背を向けて、兄大将の前へ立ち塞がると、思い切り睨み付けた。
「じぶんよりも とししたをいじめて たのしいの?」
「んだと!生意気なぁ!!」
「!カルマ!!」
この頃からカルマは、まず口で相手を煽るのがクセになっていた。兄大将は単純なのか、カルマにまんまと煽られて、今度は足を振り下ろす。思わず悲鳴めいた声でカルマを呼ぶも、カルマはじいっと兄大将を見つめたまま微動だにしない。蹴られる!!と、思わず私が目を瞑ろうとした瞬間、私たちの拳ほどの大きさの石が、勢いよく兄大将の頭にぶつかった。
「もう オレたちに ちょっかいかけて こないでよ」
「…母ちゃ〜ん!!!」
カルマの個性、空間移動 である。詳しく説明すると、長くなるので端的に言うが、空間移動 はその名の通り物質を違う地点に移動させる事ができる。とは言っても移動距離や質量の制限はあるのだけれども。当時のカルマは、咄嗟に近くの石を、兄大将の頭上に空間移動 させたのだ。兄大将は情けない声を上げて帰って行き、以降ガキ大将らに絡まれることは無くなった。これを機に、カルマは個性や素手を使った喧嘩をするようになった。
ただ、カルマは意味もなく喧嘩するほど馬鹿ではない。その理由の大半が、私を守ろうとする物なので、私には止めることが出来なかった。後々それを後悔するハメになることを、当時の私には考えもしなかった。
東京都内某所。平凡な“電磁波”という個性を持つ父と、これまた平凡な“静止”という個性を持った母の元に、まだ個性も発現していない子供がいた。そう、それが私。鳴神燈、当時の齢は3歳である。外に出るのが好きで、旅行好きな両親は、月に一度必ずどこかへ旅行に行く。流石に、幼い娘を連れて頻繁に海外へ行くのは大変なのか、専ら国内旅行だ。
さて、ここで一つ追記しておくと、この旅行は“家族旅行”と呼ぶには少し違うモノである。というのも、私たち家族だけで旅行するのではなく、隣に住む赤羽一家も共に旅行するのである。今後ともよく話に出すつもりなので、一度赤羽家の説明を入れておこう。
ウチの隣に住む赤羽家は、ウチと家族ぐるみでの付き合いをしている。理由は簡単で、私の母と赤羽家の奥さんが中学校の時の同級生で親友だそうだ。子供が生まれたらまた同じ土地に住みたいなどという夢を叶えて、隣同士に住んでいるという事だ。そして、赤羽家には私と同い年の子供がいる。
これだけ話せば前提知識は十分だろう。
前述したが、当時の私たちは月に一度の頻度で旅行に出かけていた。まだ幼稚園に通える年齢でもないので、特に曜日は気にせず3泊4日で旅するのが恒例であった。それ以外の日は大抵カルマと外で遊んでいた。
「こせい はやくでるといいね」
「うん!なんのこせいが でるのか たのしみ!」
他愛のない会話をしながら公園の遊具で遊ぶ。母に似てお淑やかな容姿の私は、見た目に反して体を動かす事が好きで、カルマの手を引きながら様々な遊具で遊び倒す。カルマも私も、同年代の子たちと比べて大人びたところがあったので、一緒にいて居心地が良い。なので、基本的に他の子たちとあまり遊ばなかったのだが、それを面白くないと思う子もいた。
「おい、おまえら!いつもふたりだけであそんでんじゃん!!つきあってるのか!?」
「やーい!ふうふ ふうふ!」
率先して私たちを揶揄うのは、所謂ガキ大将と呼ばれる少年で、彼の取り巻きたちも、便乗するように揶揄い始める。きっと普通なら泣いたりやり返したりするのかも知れないのだが、私もカルマも子供らしくない子供だったのかもしれない。と、今思い返すとそう思った。
「そりゃ、おまえたちみたいなバカを あいてにしているよりも ぜんぜんいいじゃん」
「な、なんだとぉ!?」
「わたしも カルマといっしょにいるほうが たのしいからいるの。あなたたちに とやかくいわれるワケなんてないよ」
「!」
「よ、よっちゃん…」
「くっそー!!おぼえてろよ!」
よっちゃんと呼ばれたガキ大将は、目に涙を浮かべながら走り去った。取り巻きたちも追うようにして行ってしまった。この頃から、互いの考え方が似ていると気付いていたのかもしれない。以降ガキ大将が絡んで来るたびに、言い負かしていた。
しかし、あの日をキッカケに変わってしまった。
「おい、お前たちか?俺の弟をいじめたのは」
「兄ちゃん…」
ガキ大将が、小学生の兄を連れて現れた。その小学生(便宜上以降は兄大将と表記する)は、例えるのなら某猫型ロボットが登場する漫画のガキ大将のようだ。兄大将は私たちを睨むと、大きな拳を振りかざした。もちろん、当時3歳の私たちが叶うはずもなく、思い切り殴られたが、ここで泣かないのは、やはり子供らしくない子供だったからだろうか。
「ちょっとさがってて」
「え、でも…」
「だいじょうぶだから!」
カルマは私に背を向けて、兄大将の前へ立ち塞がると、思い切り睨み付けた。
「じぶんよりも とししたをいじめて たのしいの?」
「んだと!生意気なぁ!!」
「!カルマ!!」
この頃からカルマは、まず口で相手を煽るのがクセになっていた。兄大将は単純なのか、カルマにまんまと煽られて、今度は足を振り下ろす。思わず悲鳴めいた声でカルマを呼ぶも、カルマはじいっと兄大将を見つめたまま微動だにしない。蹴られる!!と、思わず私が目を瞑ろうとした瞬間、私たちの拳ほどの大きさの石が、勢いよく兄大将の頭にぶつかった。
「もう オレたちに ちょっかいかけて こないでよ」
「…母ちゃ〜ん!!!」
カルマの個性、
ただ、カルマは意味もなく喧嘩するほど馬鹿ではない。その理由の大半が、私を守ろうとする物なので、私には止めることが出来なかった。後々それを後悔するハメになることを、当時の私には考えもしなかった。
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