ヴィル・シェーンハイト
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「朝よ、起きて」
いつもならけたたましく鳴るはずの目覚ましが鳴らず、聞こえてきたのは優しい声。
んんーっとベッドの中で伸びをして、もう少し…と声を出した。
「何言ってるの、早く起きないと遅刻しちゃうわよ、先生?」
『んー…』
まだ眠たい目を擦りながらベッドから上半身を起こすと、既に身形を整えたヴィル・シェーンハイトの姿があった。
おはよう、と彼に声をかければ、キッチンにスムージーを用意している、と返ってくる。
『ありがとう』
「それじゃあ、アタシは行くわ」
また学園で、と言い残し彼は部屋から去って行った。
彼が出て行ってから、昨夜の疲れで怠い体を奮い起たせて、バスルームへ。
キュッと音を立てた蛇口からシャワーの熱いお湯が注がれた。
ふと、バスルームにある姿見に写る自分の姿を確認すれば、至る所に残る痕。
彼は存外、独占欲が強い…そう考えてフフと笑みが溢れた。
でも、待てよ…今日って確か…。
「おはようございます、ユウ先生!」
『おはようございます、学園長』
シャワーを浴びた後、ヴィルの作ったスムージーを飲み干して、身形を整えNRCに出勤。
NRCで保健医をしている私は、到着すると白衣に腕を通すのが日課…だったのだが、今日は違った。
学園長の提案で課外授業として、海水浴へ行かなければならなかった。
面倒くさい事、この上ない。
しかも、怪我人が出た際に対処出来るように…と、保健医である私とクルーウェル先生が監督を頼まれた。
窓から外を見れば、ジリジリと照り付ける太陽。
日焼けは美容の天敵よ、とヴィルの声が聞こえてきそうだなと思った時、ガラリと医務室の扉が開く。
そこに居たのは今しがた思い浮かべた人物だった。
「良かった、まだ居たのね」
『ヴィ……シェーンハイト君、どうかしましたか?』
「ええ、一大事よ」
そう言って医務室に入って来た彼は、後ろ手に鍵をかける。
そして、私の首元に触れながら、怪訝な顔をした。
「アタシとした事が今日の事、すっかり忘れてたわ」
ヴィルが触れている場所は、バスルームで確認した痕の残る場所。
『水着の上から上着羽織るから問題ないよ』
「あら、水着なんて着るつもり?」
『海水浴だからね』
「アタシ以外にユウの肌を見られるのは気に食わないわね」
そう言って細く長い色白の指先で、私の顎を掬い上げる。
その瞬間顔が熱くなるのが、自分で分かった。
「もう日焼けしたのかしら?真っ赤よ、先生?」
フフっと笑って医務室から出ていくヴィル。
ヴィルがNRCに入学してきた時、何て綺麗な子なんだろうと目が離せなかったのを覚えている。
ツイステッドワンダーランドでモデルの仕事もこなす有名人の彼を遊んでやろうと思い近付いた私だけれど、今ではどっちが遊ばれているのか分からなくなってしまった。
『あっつ…』
パレオの水着にサンダル、日焼け対策の上着と日傘に麦わら帽子。
パラソルに冷たいドリンク、全てクルーウェル先生が魔法で用意して下さった。
当の本人は普段のオシャレなスーツ姿とは違ったメンズビキニ姿でサングラス、足を組んでゆったりとビーチチェアに座りドリンクを飲む。
『見回りして来ますね』
そうクルーウェル先生に伝え、砂地に足を取られながらフラフラと進む。
日傘をさしていても照り付ける太陽は変わらずジリジリと。
楽しそうに海ではしゃぐ学生達を見て、自分も入れたら幾分か涼しくなるだろうかと暑さでぼんやりする頭で考える。
「こんな所で立ってると日焼けするわよ」
聞き慣れた声に振り返れば、日焼け対策万全のヴィルの姿があった。
『シェーンハイト君は海に入らないんですか?』
「そうね…」
アンタと2人きりなら入っても良いんだけど?と耳元で囁かれる。
ちょっとここ外だし、誰が見てるか分からないのに!と慌てると砂地に足を取られてしまい転けそうになった。
パシッと私の腕を掴んで立たせてくれるヴィルは見た目によらず逞しく、隣に並べば私よりも頭1つ分背が高い。
そんなヴィルを見上げれば、フンっといやらしく鼻で笑われる。
「そそっかしいのね、こっち来て」
誰かに見られてしまうかも…と、思いながらも全く気にする様子のないヴィルの背中を追いかけた。
「素敵でしょ、ここ」
連れて来られたのは、岩場で出来た洞窟。
あまり人が来ないからか、砂浜も綺麗で足元を濡らす海水は透き通っていた。
岩場の隙間から降り注ぐ太陽光はまるでシャンデリア。
ここなら日焼けもしないかと思い、日傘を畳んで上着を脱いだ。
「その水着、自分で?」
『あぁ、クルーウェル先生が魔法で』
「……妬けるわね」
そう言ったヴィルがマジカルペンを一振りすれば、着ていたパレオの水着がヴィルの髪色と良く似た淡いパープルの水着に変わる。
「クルーウェル先生のセンスも悪くないけど、ユウにはこっちの方が似合ってる」
それから…アタシ以外の男が選んだものなんて身に付けないで、と私の髪の毛を一束持ち上げ、それにキスをしながら囁かれた。
『シェーンハイト…「ヴィルよ、今は2人きりでしょ?」
私の言葉を遮って、名前で呼ぶように言う彼。
遊びのつもりだったのに、彼の一挙一動で揺れ動く自分がいる。
「本気にしちゃって悪いわね、でも…アタシもアンタに本気だって事、覚えておいて」
end.
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