フロイド・リーチ
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『暑いなぁ…』
まだまだ残暑が残る中での飛行術の授業。
魔法が使えない私は、バルガス先生から校庭のランニングを課せられている。
フラフラなりながら足を運べば、飛行術を受ける学生達が見える。
箒に乗って空高く風を切る様は、実に涼しそう。
『いいなー』
上を向きながらランニングしていれば見知った顔を発見した。
またエースがふざけてる…デュース可哀想…と、思わず苦笑い。
その時だった。
「小エビちゃーん!」
私を小エビと呼ぶ人は一人だけ。
振り向かずとも、それが誰か直ぐにわかった。
『フロイド先輩!』
「見て見てー」
そう言いながら手放しで箒に跨がりフラフラと飛ぶ姿は、ドキドキしてしまう。
思わず手!手!と声をかければ、ヘラリっと笑って私に向かって手を振ってくれた。
嬉しいけど、ちょっと違う…。
「フロイド!危ないですよ」
『ジェイド先輩!』
フロイド先輩を追いかけてきたジェイド先輩は、両手でガッチリ箒を持って飛んでいる。
しかも、ちょっとへっぴり腰で可愛らしい。
元が人魚の先輩達は、飛行術が苦手だと言っていたのを思い出す。
それでも魔法の使えない私からすれば羨ましい事この上ない。
私も飛んでみたいな、と少し淋しく思った。
「小エビちゃん?何?疲れたの?」
『いえ、少し暑くて…』
俯いた私を心配してくれたのか、フロイド先輩が箒から下りて私の前に立っている。
大丈夫ー?と言いながら、私の頭にポンと置かれたフロイド先輩の手は少しひんやりしていて気持ちいい。
「ねえ、小エビちゃん」
『何ですか?』
「オレが小エビちゃんの願い事叶えてあげる」
そう言ったフロイド先輩は、私を箒に跨がらせる。
私、魔法使えませんよ、と言い終わる前に箒に跨がる私を後ろから抱き締めるようにして、同じく箒に跨がるフロイド先輩。
しっかり持っててね、と箒を握らされ、その上からひんやりしたフロイド先輩の大きな手が私の手を包み込んだ。
「フロイド!貴方、そんな高等技術持ってないでしょう!」
ジェイド先輩の言う事も聞かず、フロイド先輩は魔力を込めて一気に飛び上がる。
ふわりっと風が頬を掠める感覚が気持ちいい。
思わずワァーッと感嘆の声を出してしまった。
「小エビちゃん、飛びたかったんでしょ?」
真後ろに居るフロイド先輩の声がダイレクトに鼓膜に響いて恥ずかしいし、私の気持ちを察してくれた先輩の想いが嬉しい。
『先輩、ありがとうございます』
「オレ、小エビちゃんの為なら何でも出来るみたいー」
あはっと笑ったフロイド先輩は、さっきよりも距離を縮めてきて背中にフロイド先輩の温もりを感じた。
手はひんやりしているのに、密着しているからか背中が熱い。
『先輩、ちょっと…』
「えっ、何?聞こえなーい」
少し離れて、と言う声は風の音と先輩の声にかき消されてしまう。
「ねぇ、小エビちゃん、もっとギュッてしていーい?」
耳元でそう囁いた先輩が、重ねていた右手を離して私の体に回す。
「このまま授業フケちゃおっか」
『えっ…』
「だって小エビちゃん良い匂いするんだもん」
先程までの声よりも少し低めな声。
バルガス先生やジェイド先輩の声が遠くの方で聞こえた気がするけれど、先輩は飛行を止めることはない。
「天国、見せちゃうよ?」
はむっと耳を噛んできた先輩。
あとで先生達に怒られるだろうなと思ったけど、フロイド先輩と一緒なら何処にだってイキたい。
end
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