一年生を三回やりました
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Ⅰ
監督生のユーリは困っていた。
入学直後のシャンデリア破壊&退学騒動を何とか解決し、晴れて正式にナイトレイヴンカレッジの生徒となってようやく平和がやってきたと思ったのに、いざ授業を受けたら新たな問題が浮上したのだ。
文字が読めない
日常会話が問題なくできていたため、文字についての考えが至らなかったのだ。
ツイステッドワンダーランドで使用されている文字は、ユーリの世界でいう英語だったので、全く読めないわけではなかったのだが、日本でのほほんと暮らしていたユーリには、英語と触れ合う時間など学校の授業程度しかなかったのだ。
とにかく英語の経験というものが、ユーリには全くなかったのだ。
エーデュースに聞きながら今までやってきたが、あの二人も決して頭がいい部類でもないし、授業のノートをすべて写ことはできても、理解することができない。
困ったユーリは泣く泣く学園長に相談し、とある先輩を紹介してもらった。
「監督生さん、こちら二年Bの〇〇・〇〇君です」
学園長が連れてきたのは金色の髪と青い目を持った先輩だった。
最近覚えたが、制服についている校章が寮を示しているらしい。
青い校章をつけているから確か…イグニハイド……だったはず。
この先輩が自分と何の関係があるのだろうと疑問に思ったユーリに、その先輩の生徒は声をかける。
「日本人の人? なら久しぶりにこう名乗ろうかな。
〇〇〇〇です。生まれたのは千葉で育ちは東京。得意料理は納豆と卵かけたごはん。好きな四字熟語は一日一善だよ」
先輩から発せられた言葉は、ツイステッドワンダーランドとは違う日本式の名前、日本の地名、日本料理、日本の言葉。
ユーリは歓喜で叫ぶように声を出す。
「倉町 有里です! 神奈川生まれの東京育ちです! 得意料理は肉じゃがです!! 好きな四字熟語は七転八起ですうぅぅぅ!! うあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!! 学園長のばかああぁぁぁぁぁああぁぁぁ!!」
ユーリは泣いた。大声で、年甲斐もなく子供のようにわんわんと泣いた。
その様子と、突然ばか呼ばわりされたクロウリーはギョッとし、慌てふためいた。
クロウリー的には感謝でむせび泣かれるとは思っていても、ばか呼ばわりは予想外だった。ついでに監督生の大号泣っぷりにも驚いていた。
「え、えええ? か、監督生さん!? そんなに大号泣するほどなんです!?」
「学園長さん。何で今まで知らせてくれなかったの?」
〇〇がクロウリーに冷たい視線を向ける。
ちなみに〇〇がクロウリーを軽蔑することは今まで一度たりともなかったので、クロウリーは更に慌てふためくこととなった。
〇〇も学園長に呼び出された後にユーリのことを知ったのである。
目の前で泣いている生徒が、魔力のない、闇の鏡に選ばれていない、オンボロ寮に住んでいることはまだ知らない。
「だって監督生さんものすごく普通だったんですよ!? 貴方は見てわかるくらい魔法に怯えて顔色もとんでもなく悪く、この世界のすべてに恐怖しているのが見てすぐわかりましたが、監督生さん魔法見てもポカーンとしてるくらいでそれ以外普通な感じでしたし!」
「ぐりっ、グリムの炎とかっ、ゴーストとかっ…最初すごく怖かっったしっ……みん、なっ、当たり前にペンから魔法っ、だすしっ……うわああああああんっ」
「普通?」
「あ、いえっ…そのぉ……」
「知らない、世界でっ…いきなり、ゴーストだらけの…廃墟つれてっ、かれるし……ベッド…冷たいし……ボロいっ…しっ……」
「ゴーストだらけの廃墟?」
「し、仕方ないじゃぁないですか…! 貴方と違って闇の鏡にどこも違うとされてましたし! 貴方が使っていた部屋はとっくにクルーウェル先生の荷物置き場になっていましたし!!」
「でもっ…同じ…世界の人っ……いるのに…! 教えてくれっ、ないし……!」
「……」
「あ、貴方だって大変だったときではありませんか! 教室行くの頑張ってたときですよ!?」
「いや、それについてはそうだから何も言ってないじゃん……」
「目が私を責めていました!!」
そんなぐだぐだとした責任逃れをクロウリーがしている間に、ユーリの心と涙は落ち着いてきた。
目を真っ赤に腫らしたユーリに、〇〇は目線を合わせる
「改めて紹介が遅れてごめんね。俺こんな外見だけどちゃんと生まれも感覚も日本人だから。困ったこととかには大体寄り添えると思う。学園長さんから聞いたよ。文字が読めないって。俺もそうだった。単語覚えるの大変だったんだ俺」
ユーリは鼻水をすすり、自分に目線を合わせてくれる優しい先輩を改めて見た。
制服を丁寧に着た、薄い金髪と青い目を持っている。黒髪黒目の自分と違い、一見するとこちらの世界に元からいたと言われても不思議ではない外見を持つ人。
この人もきっと、苦労したのだろう。文字以外にも、問題は沢山あったはずだ。
さっき学園長も言っていた。魔法に対して怯えていたと。自分には今、先輩という前例がいるけれど、この人にはきっと前例なんてなかったはずだ。
「先輩……〇〇先輩! 私、文字の勉強頑張ります!」
泣き止んだユーリの目には光が戻っていた。
先輩もきっとしたであろう苦労を自分も乗り越えるのだ。
「うん、読み書きはどうしても必須だからね。それに俺は魔力があるとは言われたけど、実際に魔法を使ったことなんてそんなにないから。俺は俺ができることを少しずつ見つけていったんだ。君も、自分のできるところからやっていくといいよ」
先輩の優しすぎる言葉から、ユーリは勇気とやる気を得た。
とても少ないだろうが、自分にできることを頑張ってやっていこう。
いつ元の世界に帰れるかはわからないが、その時までここで自信を持って暮らせるようになろう。
「じゃぁ…とりあえず、ユーリさん。〇xcel使える?」
監督生のユーリは困っていた。
入学直後のシャンデリア破壊&退学騒動を何とか解決し、晴れて正式にナイトレイヴンカレッジの生徒となってようやく平和がやってきたと思ったのに、いざ授業を受けたら新たな問題が浮上したのだ。
文字が読めない
日常会話が問題なくできていたため、文字についての考えが至らなかったのだ。
ツイステッドワンダーランドで使用されている文字は、ユーリの世界でいう英語だったので、全く読めないわけではなかったのだが、日本でのほほんと暮らしていたユーリには、英語と触れ合う時間など学校の授業程度しかなかったのだ。
とにかく英語の経験というものが、ユーリには全くなかったのだ。
エーデュースに聞きながら今までやってきたが、あの二人も決して頭がいい部類でもないし、授業のノートをすべて写ことはできても、理解することができない。
困ったユーリは泣く泣く学園長に相談し、とある先輩を紹介してもらった。
「監督生さん、こちら二年Bの〇〇・〇〇君です」
学園長が連れてきたのは金色の髪と青い目を持った先輩だった。
最近覚えたが、制服についている校章が寮を示しているらしい。
青い校章をつけているから確か…イグニハイド……だったはず。
この先輩が自分と何の関係があるのだろうと疑問に思ったユーリに、その先輩の生徒は声をかける。
「日本人の人? なら久しぶりにこう名乗ろうかな。
〇〇〇〇です。生まれたのは千葉で育ちは東京。得意料理は納豆と卵かけたごはん。好きな四字熟語は一日一善だよ」
先輩から発せられた言葉は、ツイステッドワンダーランドとは違う日本式の名前、日本の地名、日本料理、日本の言葉。
ユーリは歓喜で叫ぶように声を出す。
「倉町 有里です! 神奈川生まれの東京育ちです! 得意料理は肉じゃがです!! 好きな四字熟語は七転八起ですうぅぅぅ!! うあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!! 学園長のばかああぁぁぁぁぁああぁぁぁ!!」
ユーリは泣いた。大声で、年甲斐もなく子供のようにわんわんと泣いた。
その様子と、突然ばか呼ばわりされたクロウリーはギョッとし、慌てふためいた。
クロウリー的には感謝でむせび泣かれるとは思っていても、ばか呼ばわりは予想外だった。ついでに監督生の大号泣っぷりにも驚いていた。
「え、えええ? か、監督生さん!? そんなに大号泣するほどなんです!?」
「学園長さん。何で今まで知らせてくれなかったの?」
〇〇がクロウリーに冷たい視線を向ける。
ちなみに〇〇がクロウリーを軽蔑することは今まで一度たりともなかったので、クロウリーは更に慌てふためくこととなった。
〇〇も学園長に呼び出された後にユーリのことを知ったのである。
目の前で泣いている生徒が、魔力のない、闇の鏡に選ばれていない、オンボロ寮に住んでいることはまだ知らない。
「だって監督生さんものすごく普通だったんですよ!? 貴方は見てわかるくらい魔法に怯えて顔色もとんでもなく悪く、この世界のすべてに恐怖しているのが見てすぐわかりましたが、監督生さん魔法見てもポカーンとしてるくらいでそれ以外普通な感じでしたし!」
「ぐりっ、グリムの炎とかっ、ゴーストとかっ…最初すごく怖かっったしっ……みん、なっ、当たり前にペンから魔法っ、だすしっ……うわああああああんっ」
「普通?」
「あ、いえっ…そのぉ……」
「知らない、世界でっ…いきなり、ゴーストだらけの…廃墟つれてっ、かれるし……ベッド…冷たいし……ボロいっ…しっ……」
「ゴーストだらけの廃墟?」
「し、仕方ないじゃぁないですか…! 貴方と違って闇の鏡にどこも違うとされてましたし! 貴方が使っていた部屋はとっくにクルーウェル先生の荷物置き場になっていましたし!!」
「でもっ…同じ…世界の人っ……いるのに…! 教えてくれっ、ないし……!」
「……」
「あ、貴方だって大変だったときではありませんか! 教室行くの頑張ってたときですよ!?」
「いや、それについてはそうだから何も言ってないじゃん……」
「目が私を責めていました!!」
そんなぐだぐだとした責任逃れをクロウリーがしている間に、ユーリの心と涙は落ち着いてきた。
目を真っ赤に腫らしたユーリに、〇〇は目線を合わせる
「改めて紹介が遅れてごめんね。俺こんな外見だけどちゃんと生まれも感覚も日本人だから。困ったこととかには大体寄り添えると思う。学園長さんから聞いたよ。文字が読めないって。俺もそうだった。単語覚えるの大変だったんだ俺」
ユーリは鼻水をすすり、自分に目線を合わせてくれる優しい先輩を改めて見た。
制服を丁寧に着た、薄い金髪と青い目を持っている。黒髪黒目の自分と違い、一見するとこちらの世界に元からいたと言われても不思議ではない外見を持つ人。
この人もきっと、苦労したのだろう。文字以外にも、問題は沢山あったはずだ。
さっき学園長も言っていた。魔法に対して怯えていたと。自分には今、先輩という前例がいるけれど、この人にはきっと前例なんてなかったはずだ。
「先輩……〇〇先輩! 私、文字の勉強頑張ります!」
泣き止んだユーリの目には光が戻っていた。
先輩もきっとしたであろう苦労を自分も乗り越えるのだ。
「うん、読み書きはどうしても必須だからね。それに俺は魔力があるとは言われたけど、実際に魔法を使ったことなんてそんなにないから。俺は俺ができることを少しずつ見つけていったんだ。君も、自分のできるところからやっていくといいよ」
先輩の優しすぎる言葉から、ユーリは勇気とやる気を得た。
とても少ないだろうが、自分にできることを頑張ってやっていこう。
いつ元の世界に帰れるかはわからないが、その時までここで自信を持って暮らせるようになろう。
「じゃぁ…とりあえず、ユーリさん。〇xcel使える?」