一年生を三回やりました
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イグニハイド寮の手続きは割と簡単に終えることができた。
そもそも編入でも転寮でもないので、ただ部屋の準備をすればよかった程度である。他の寮生、特に同学年の寮生に簡単にでも周知する必要はあるが、そこはイグニハイド生。メールでも送っておけば問題はない。
イデアは〇〇の詳しい事情を知らない。特に一回目の不登校や留年の理由は。ただ二回目の留年時の例のヤンキーの事件は、ひぇっ…とイデアを震えさせたのと同時に、昨年突如として退学したヤンキーの謎が解けたと納得させた。あのヤンキーは色んな意味で有名だったから、結構大きな事件だったのだ。
イグニハイドの人がほぼ集まることのない談話室で、寮の使い方の説明を受けた後、困ったことに〇〇は気づいた。
スマホ端末を持っていなかったのである。
イグニハイドでやっていく以上、スマホは必需品である。基本的に寮内の連絡はスマホを使うからだ。
スマホを所持していないことをイデアに伝えると、イデアは信じられないものを見る目をした。
「え? それで今までどうやってここでやってこれたの?」
「連絡をとるような友達はいなかったですし、何かあれば職員室の電話使ってました。先生はすぐつかまえられましたし」
「固定電話とかなっつ…! まぁでもここで暮らす以上絶対に必要だから用意してほしいんだけど。学園長に言えば買ってもらえたりする?」
「……多分、すごい古い機種か、セキュリティがちがちの渡される気がします」
「うわ過保護って怖っ。おけおけ、こっちで用意しとくね」
「わかりました。お金は後で俺に請求してください」
「え、じゃぁあんまり費用かけられないか」
「一応去年まで購買のバイトとか先生の雑用とかしてもらったお金があるので大丈夫ですよ」
「購買でバイト…? 拙者一度も見かけなかったけど」
「完全に裏方に徹していましたからね。生徒に見られたくなかったので」
「あー、知り合いに見られたくないよね」
「知り合いなんていませんでしたけどね」
会話内容が段々と悲しくなっていったが、〇〇とイデアは静かに盛り上がった。
「教師の雑用ってどういうことしてたの?」
「採点とか資料整理とかですね。あと◯xcel見つけてからはそれ使って授業のプリント作ったりしてました」
「◯クセル?」
「あ、そういえば本当の名前違いましたね。正式名称忘れてしまいましたけど、東の国で作られた表計算ソフトですよ」
「表計算ソフト……あー! あのソフト名読めないやつ! え?君あれ使えたりするの?」
「はい。パソコン使うの割と好きですし。日本…ナイトレイヴンカレッジ来る前はよく使ってたので」
「あ。よかった。パソコン好きならイグニハイドでは大体やっていけるよ。ソシャゲとかやってる?」
ソシャゲの話題を出したあと、イデアはハッとした。
〇〇はスマホを持っていなかったのだから、ソシャゲに触れる機会などあまりなかっただろう。パソコンも職員室に置いていたらしいし。
「ソシャゲ…ナイトレイヴンカレッジにくる前は人並みにはやってましたね。人類最後のマスターになって人類史を救うRPGとかやってました。あと知り合いに勧められて女性アイドルを育てるリズムゲーとかもやってました。…あ、どっちも自国でしかリリースされてなかったんですけど」
「え、人類最後のマスターとか何それかっこいい…なんか拙者の厨二心がくすぐられる……アイドル育てるリズムゲーとか絶対に外れないじゃん……やってみた……自国限定って君の地元ってわりと閉鎖的?」
「大昔は宗教上の理由で一部の外国以外は交流NGしてたらしいですよ。確かに文化は独特ですけど、今は普通にグローバルです」
イデアの想像よりもはるかに安全な生徒だったためか、二人は普通に話し込むほどに打ち解ける。やったことのあるゲームの話は、お互い初めて知るものなので盛り上がった。
「そういえば〇〇…君?」
「〇〇でいいですよ。先輩なんですから」
「いやでも確か同い年では? それじゃぁ〇〇氏、敬語わざわざ使わなくていいよ。」
「それは助かる。敬語は実はすごく疲れるから」
イデアは思った。
拙者たちもうマブじゃね?と
だって知らないだろうに拙者のコアなゲームの話をしてもついてきてくれるし、キモオタの拙者の話めっちゃ聞いてくれるし、なんなら向こうの話も興味しかないし。
「〇〇氏本当にナイトレイヴンカレッジであってたのか心配になってくるわー。いやRSAに行かれてたら困るんですが。うちのほかの寮生と話すと草生やしまくりのマウントの取り合いになるのに」
「イデア先輩の話が面白いから普通に聞いてるだけなんだけど…他の人もこんなに話のネタを持ってるなら色々聞いてみたい。俺何年も同世代と話せなかったし」
イデアは天を仰いだ。
闇の鏡、彼をイグニハイドに導いてくれてありがとう
「そうだ、去年の年末の忘年会で行った先生たちとのカラオケ大会でね」
「ふぁ––––––wwwww」
笑いすぎたイデアは椅子の足に膝をぶつけることになる。
そもそも編入でも転寮でもないので、ただ部屋の準備をすればよかった程度である。他の寮生、特に同学年の寮生に簡単にでも周知する必要はあるが、そこはイグニハイド生。メールでも送っておけば問題はない。
イデアは〇〇の詳しい事情を知らない。特に一回目の不登校や留年の理由は。ただ二回目の留年時の例のヤンキーの事件は、ひぇっ…とイデアを震えさせたのと同時に、昨年突如として退学したヤンキーの謎が解けたと納得させた。あのヤンキーは色んな意味で有名だったから、結構大きな事件だったのだ。
イグニハイドの人がほぼ集まることのない談話室で、寮の使い方の説明を受けた後、困ったことに〇〇は気づいた。
スマホ端末を持っていなかったのである。
イグニハイドでやっていく以上、スマホは必需品である。基本的に寮内の連絡はスマホを使うからだ。
スマホを所持していないことをイデアに伝えると、イデアは信じられないものを見る目をした。
「え? それで今までどうやってここでやってこれたの?」
「連絡をとるような友達はいなかったですし、何かあれば職員室の電話使ってました。先生はすぐつかまえられましたし」
「固定電話とかなっつ…! まぁでもここで暮らす以上絶対に必要だから用意してほしいんだけど。学園長に言えば買ってもらえたりする?」
「……多分、すごい古い機種か、セキュリティがちがちの渡される気がします」
「うわ過保護って怖っ。おけおけ、こっちで用意しとくね」
「わかりました。お金は後で俺に請求してください」
「え、じゃぁあんまり費用かけられないか」
「一応去年まで購買のバイトとか先生の雑用とかしてもらったお金があるので大丈夫ですよ」
「購買でバイト…? 拙者一度も見かけなかったけど」
「完全に裏方に徹していましたからね。生徒に見られたくなかったので」
「あー、知り合いに見られたくないよね」
「知り合いなんていませんでしたけどね」
会話内容が段々と悲しくなっていったが、〇〇とイデアは静かに盛り上がった。
「教師の雑用ってどういうことしてたの?」
「採点とか資料整理とかですね。あと◯xcel見つけてからはそれ使って授業のプリント作ったりしてました」
「◯クセル?」
「あ、そういえば本当の名前違いましたね。正式名称忘れてしまいましたけど、東の国で作られた表計算ソフトですよ」
「表計算ソフト……あー! あのソフト名読めないやつ! え?君あれ使えたりするの?」
「はい。パソコン使うの割と好きですし。日本…ナイトレイヴンカレッジ来る前はよく使ってたので」
「あ。よかった。パソコン好きならイグニハイドでは大体やっていけるよ。ソシャゲとかやってる?」
ソシャゲの話題を出したあと、イデアはハッとした。
〇〇はスマホを持っていなかったのだから、ソシャゲに触れる機会などあまりなかっただろう。パソコンも職員室に置いていたらしいし。
「ソシャゲ…ナイトレイヴンカレッジにくる前は人並みにはやってましたね。人類最後のマスターになって人類史を救うRPGとかやってました。あと知り合いに勧められて女性アイドルを育てるリズムゲーとかもやってました。…あ、どっちも自国でしかリリースされてなかったんですけど」
「え、人類最後のマスターとか何それかっこいい…なんか拙者の厨二心がくすぐられる……アイドル育てるリズムゲーとか絶対に外れないじゃん……やってみた……自国限定って君の地元ってわりと閉鎖的?」
「大昔は宗教上の理由で一部の外国以外は交流NGしてたらしいですよ。確かに文化は独特ですけど、今は普通にグローバルです」
イデアの想像よりもはるかに安全な生徒だったためか、二人は普通に話し込むほどに打ち解ける。やったことのあるゲームの話は、お互い初めて知るものなので盛り上がった。
「そういえば〇〇…君?」
「〇〇でいいですよ。先輩なんですから」
「いやでも確か同い年では? それじゃぁ〇〇氏、敬語わざわざ使わなくていいよ。」
「それは助かる。敬語は実はすごく疲れるから」
イデアは思った。
拙者たちもうマブじゃね?と
だって知らないだろうに拙者のコアなゲームの話をしてもついてきてくれるし、キモオタの拙者の話めっちゃ聞いてくれるし、なんなら向こうの話も興味しかないし。
「〇〇氏本当にナイトレイヴンカレッジであってたのか心配になってくるわー。いやRSAに行かれてたら困るんですが。うちのほかの寮生と話すと草生やしまくりのマウントの取り合いになるのに」
「イデア先輩の話が面白いから普通に聞いてるだけなんだけど…他の人もこんなに話のネタを持ってるなら色々聞いてみたい。俺何年も同世代と話せなかったし」
イデアは天を仰いだ。
闇の鏡、彼をイグニハイドに導いてくれてありがとう
「そうだ、去年の年末の忘年会で行った先生たちとのカラオケ大会でね」
「ふぁ––––––wwwww」
笑いすぎたイデアは椅子の足に膝をぶつけることになる。