天野×山野
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放課後。誰もいない空き教室。
鼻と鼻が触れ合う距離感。ただの友達だと思っていたのに。
「ちゅー、しちゃおっか」
なんて、愛月が言うから。ただくっつけるだけの、キスなんて言えない、ちゅーってのが似合うようなもの。
私からの一方的な片想いは形をなすことなく終わると思っていたのに。
陶器のように真っ白な肌が少し色づいて、ちょっとの上目遣い。
もう一回、してもいいかな。
「ねぇ、もういっかい」
次は、少し長く、もっと深く。漫画のとあるページに載っていたような、付け焼き刃みたいなそんな稚拙なもの。
もういっかい。三回目をしようとしたその時、下校のチャイムが鳴る。廊下が騒がしくなって、距離を取る。
「家、来る?」
なんていう誘いに乗ってみる。
手は繋ぐというより、腕を絡められる。
「こっちの方がくっつけるし、不自然じゃないでしょ?」
返事はできなくて、ぎこちなく頷くだけ。
いつもは喋り足りなくて名残惜しく別れるT字路も、今日は同じ方向。
玄関を開けて、扉が閉まる。ガチャっと大きな音とまた唇が重なった音はどちらが大きかったかは分からない。手を握ろうにも、人生でいちばんと言えるほどに湿った手のひらは愛月のちょっと乱れた制服を握るので精一杯。
「このあのかわいいところ、たくさん見たい」
なんて溢す愛月に全て委ねて、高校二年の夏ちょっと前。忘れられない傷ができてしまったような、そんな気がする。
鼻と鼻が触れ合う距離感。ただの友達だと思っていたのに。
「ちゅー、しちゃおっか」
なんて、愛月が言うから。ただくっつけるだけの、キスなんて言えない、ちゅーってのが似合うようなもの。
私からの一方的な片想いは形をなすことなく終わると思っていたのに。
陶器のように真っ白な肌が少し色づいて、ちょっとの上目遣い。
もう一回、してもいいかな。
「ねぇ、もういっかい」
次は、少し長く、もっと深く。漫画のとあるページに載っていたような、付け焼き刃みたいなそんな稚拙なもの。
もういっかい。三回目をしようとしたその時、下校のチャイムが鳴る。廊下が騒がしくなって、距離を取る。
「家、来る?」
なんていう誘いに乗ってみる。
手は繋ぐというより、腕を絡められる。
「こっちの方がくっつけるし、不自然じゃないでしょ?」
返事はできなくて、ぎこちなく頷くだけ。
いつもは喋り足りなくて名残惜しく別れるT字路も、今日は同じ方向。
玄関を開けて、扉が閉まる。ガチャっと大きな音とまた唇が重なった音はどちらが大きかったかは分からない。手を握ろうにも、人生でいちばんと言えるほどに湿った手のひらは愛月のちょっと乱れた制服を握るので精一杯。
「このあのかわいいところ、たくさん見たい」
なんて溢す愛月に全て委ねて、高校二年の夏ちょっと前。忘れられない傷ができてしまったような、そんな気がする。
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