大越×海邉
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雨の日だから。外に出て散歩する。いつもならイヤホンを付けるけど、今日のお供は雨の音。かなり大雨のざーざー降り。風も強くて、傘をさしてても、横殴りの雨は、否応なしに服を濡らす。
人気の少ない通りを歩いて、高いビルの非常階段をのぼる。雨で濡れて転びそうで。そのまま頭を打って死んでしまったら、かなり情けないな、なんて考えて。
"あかり、散歩中?"
"うん"
"電話していい?"
"うん"
OK!と可愛いスタンプもひとつ。
『もしもしー』
「なのー」
『寒くない?』
「そこまでかな」
『んー、いまどこ?』
「いま、いつものビルの外階段で雨宿り」
『近いや、向かうね』
少し止んできた雨と、晴れ間の見える空。時間を見ずに外に出たから、今が夕方ということにようやく気付く。薄くかかる虹と夕焼けのグラデーションが綺麗で。走馬灯にはこの風景が映って欲しいと願う。
「きれい」
「そうだね」
雨強かったー濡れちゃったー、なんて私の隣に腰を下ろすひなの。雨の匂いとひなのの柔軟剤の匂いの中に微かに残る煙草の匂い。私は未だにひなのが吸っているところを見たことがない。
「ここで吸っていいのに」
「あかりの前では吸わないよ」
「どうして?」
「んー、っとね、健康でいて欲しいから」
「そっ、、か」
ひなのは知っているはずなのに。私が健康に生きてないのを。
このビルだってそう。飛び降りようとした日に、偶然ひなのがいて。「死ぬなら、お喋りしない?」なんて。へらへらと笑って、なんでもないように振る舞うこの人のことを知りたいと思ってしまって。
でも、まだ。ひなのの本質に触れられてない。
きっと、触れられることはないと思うけど。
「また飛び降りたくなった?」
「いや」
「、?」
「なのに会いたかった」
「そうかそうか」
本当のことを言えば、死にたいだなんて毎日思ってる。冬の冷たい海に入ってみたりもした。でも、その度にひなのの顔が浮かんで、"さみしい"だなんて連絡して。結局生きながらえて。
この人なしじゃ生きられないけど。ひなのがいなくなったらどうなるだろうか。
「そろそろ帰るか」
「うん」
雨が止んで、雲が捌けて。半分欠けた月が宙を支配するかのようで。
「次散歩したくなったら呼んでね」
「…うん」
「たくさんおはなししよ」
「もちろん」
乾いた階段は、まだ命を奪いには来ないみたい。
人気の少ない通りを歩いて、高いビルの非常階段をのぼる。雨で濡れて転びそうで。そのまま頭を打って死んでしまったら、かなり情けないな、なんて考えて。
"あかり、散歩中?"
"うん"
"電話していい?"
"うん"
OK!と可愛いスタンプもひとつ。
『もしもしー』
「なのー」
『寒くない?』
「そこまでかな」
『んー、いまどこ?』
「いま、いつものビルの外階段で雨宿り」
『近いや、向かうね』
少し止んできた雨と、晴れ間の見える空。時間を見ずに外に出たから、今が夕方ということにようやく気付く。薄くかかる虹と夕焼けのグラデーションが綺麗で。走馬灯にはこの風景が映って欲しいと願う。
「きれい」
「そうだね」
雨強かったー濡れちゃったー、なんて私の隣に腰を下ろすひなの。雨の匂いとひなのの柔軟剤の匂いの中に微かに残る煙草の匂い。私は未だにひなのが吸っているところを見たことがない。
「ここで吸っていいのに」
「あかりの前では吸わないよ」
「どうして?」
「んー、っとね、健康でいて欲しいから」
「そっ、、か」
ひなのは知っているはずなのに。私が健康に生きてないのを。
このビルだってそう。飛び降りようとした日に、偶然ひなのがいて。「死ぬなら、お喋りしない?」なんて。へらへらと笑って、なんでもないように振る舞うこの人のことを知りたいと思ってしまって。
でも、まだ。ひなのの本質に触れられてない。
きっと、触れられることはないと思うけど。
「また飛び降りたくなった?」
「いや」
「、?」
「なのに会いたかった」
「そうかそうか」
本当のことを言えば、死にたいだなんて毎日思ってる。冬の冷たい海に入ってみたりもした。でも、その度にひなのの顔が浮かんで、"さみしい"だなんて連絡して。結局生きながらえて。
この人なしじゃ生きられないけど。ひなのがいなくなったらどうなるだろうか。
「そろそろ帰るか」
「うん」
雨が止んで、雲が捌けて。半分欠けた月が宙を支配するかのようで。
「次散歩したくなったら呼んでね」
「…うん」
「たくさんおはなししよ」
「もちろん」
乾いた階段は、まだ命を奪いには来ないみたい。
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