佐藤×高井
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しんとした部屋。
無機質な心電音だけがただ一定の速度で脈打つのみ。静かに聞こえる呼吸音と失われていないベッドに移った温もり。目を覚まさないのをいいことに、胸元に耳を押し当てる。微かに上下し、とっとっと動く心臓は、未だこの世に高井が存在していることを感じさせる。
「……生きてる」
話しかけても、返事は返ってこない。にへらと笑って、嫌だと言ってもくっついて来る高井。嫌という程「好き」を伝えてくれた温もりが無くて。つついても反応がなくて。高井が高井じゃないみたいで怖くなる。
「たか、りか、好きだよ」
返ってくるのは呼吸音だけ。
「ばか、早く起きてよ、」
時計がないから時間がどれだけ経ったかは知らない。窓の外に見える青かった空がオレンジになって、紫になって、黒になる。電気をつけてない病室は空の色をそのまま映し出す。
カチッと病室の灯りがつく。看護師さんが高井の検査をしに来たのが合図。入れ違いに病室を出る。
「またね」
伝えたところで伝わらなくて。
一人用だけど、いつも二人で寝ていた自室のベッドは、狭いはずなのに広く感じて。抱きしめるものもぬいぐるみ。
この時間に高井がいなくなったらどうしようなんてことばかりを考えてしまって。高井が倒れた日から上手く寝られない。
寝たか寝てないか分からない微睡みから急に現実に戻されるように。雀と烏の鳴き声がする。
喉を通らない食事をとりあえず詰め込むようにして。
今日もまた同じ場所へ向かう。何も変わることが無いかもしれない。いや、無くていいと思ってしまう。いなくなってしまうのなら、このまま存在して欲しいと思ってしまうから。
いつもは閉じているドアが開いている。お願いだから、嫌な予感は当たらないで欲しいと病室を覗く。
「あ、ゆうさん」
「え、あ、」
腰が抜けて進めない。今すぐにでも抱きしめたいのに。伝えたいこと沢山あるのに。涙が邪魔して何も見えない。
「ばかぁ、」
「早くゆうさんのこと抱きしめたいのになぁ」
「たかいがこっち来てよ、」
「無理言わないでよ」
少し掠れた声が鼓膜を揺さぶる度に、早くそっちに行かなければと立ち上がる。
「ばか、たかいのばか」
「ごめんね」
「寂しかったんだから」
「もう寂しくなんかさせないから」
「絶対、約束」
「うん、約束」
抱きしめた体は細く骨張っていて、ギリギリ生きていたことを実感する。
「ゆしゃん、食べてた?」
「何も喉通らなくて」
「これからはたくさん食べようね」
「たかいもね」
「好きだよ」
「私も、りかのこと好き」
「へへ、知ってる」
無機質な心電音だけがただ一定の速度で脈打つのみ。静かに聞こえる呼吸音と失われていないベッドに移った温もり。目を覚まさないのをいいことに、胸元に耳を押し当てる。微かに上下し、とっとっと動く心臓は、未だこの世に高井が存在していることを感じさせる。
「……生きてる」
話しかけても、返事は返ってこない。にへらと笑って、嫌だと言ってもくっついて来る高井。嫌という程「好き」を伝えてくれた温もりが無くて。つついても反応がなくて。高井が高井じゃないみたいで怖くなる。
「たか、りか、好きだよ」
返ってくるのは呼吸音だけ。
「ばか、早く起きてよ、」
時計がないから時間がどれだけ経ったかは知らない。窓の外に見える青かった空がオレンジになって、紫になって、黒になる。電気をつけてない病室は空の色をそのまま映し出す。
カチッと病室の灯りがつく。看護師さんが高井の検査をしに来たのが合図。入れ違いに病室を出る。
「またね」
伝えたところで伝わらなくて。
一人用だけど、いつも二人で寝ていた自室のベッドは、狭いはずなのに広く感じて。抱きしめるものもぬいぐるみ。
この時間に高井がいなくなったらどうしようなんてことばかりを考えてしまって。高井が倒れた日から上手く寝られない。
寝たか寝てないか分からない微睡みから急に現実に戻されるように。雀と烏の鳴き声がする。
喉を通らない食事をとりあえず詰め込むようにして。
今日もまた同じ場所へ向かう。何も変わることが無いかもしれない。いや、無くていいと思ってしまう。いなくなってしまうのなら、このまま存在して欲しいと思ってしまうから。
いつもは閉じているドアが開いている。お願いだから、嫌な予感は当たらないで欲しいと病室を覗く。
「あ、ゆうさん」
「え、あ、」
腰が抜けて進めない。今すぐにでも抱きしめたいのに。伝えたいこと沢山あるのに。涙が邪魔して何も見えない。
「ばかぁ、」
「早くゆうさんのこと抱きしめたいのになぁ」
「たかいがこっち来てよ、」
「無理言わないでよ」
少し掠れた声が鼓膜を揺さぶる度に、早くそっちに行かなければと立ち上がる。
「ばか、たかいのばか」
「ごめんね」
「寂しかったんだから」
「もう寂しくなんかさせないから」
「絶対、約束」
「うん、約束」
抱きしめた体は細く骨張っていて、ギリギリ生きていたことを実感する。
「ゆしゃん、食べてた?」
「何も喉通らなくて」
「これからはたくさん食べようね」
「たかいもね」
「好きだよ」
「私も、りかのこと好き」
「へへ、知ってる」
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