Brown Rat.
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
大きな部屋に、ふかふかのベッド。
過ごしていいと言われた部屋は、今まで生きていた中でいちばん大きな部屋で。
あの館にいたときも、もともと生活していた家も、狭いところで過ごしていたから。ベッドともいえない、かたい床で寝ていたことを思いだす。
ヒュっと喉の奥が絞まるようなそんな感覚。呼吸が上手く出来なくて、息苦しさを感じる。
こうなった時どうしてたっけ。
急に来た安息の場所では、安心しすぎていたのか、今までの対処を思い出せない。
白む視界とぼやける思考に溺れて、上手く体に力が入らない。
やっとのことで扉の前まで這いずって行けたけれど、この体には重すぎる扉はびくともせずにノックをしても小さく音を鳴らすだけだった。
どのくらいこの状態だっただろうか。
部屋の外から微かに聞こえる会話はただの雑音でしかなく、何を喋っているのか一切分からない。
バンとドアがこれでもかというくらいに乱暴に開けられ、焦った璃花さんと優月さんが部屋になだれ込んできた。
「りこちゃんっ、、」
「どこにっ、…!?大丈夫!?」
「りこちゃん、璃花の目見れる?」
「っ、うん」
「よし、そしたら璃花と同じことしてね?」
息を吸って、吐く。
それだけなのに。
璃花さんのおかげで呼吸が楽になって、ちゃんと顔が見れる。
ふたりとも焦った顔で覗き込んでくるけど、どうしてここまで構うのだろうと不思議に思える。
「りー、幸せが怖いよ…」
「そっかぁ」
ベッドの縁に三人で腰掛けて、今まであったことを話す。
きっとこのふたりには知っててもらった方がいい気がするから。
「だから幸せが怖いんだね理子は」
「でも、りかたちはたくさん幸せをあげちゃいそうだから…」
「…理子が知ってる幸せと違う幸せをあげられるようにってのはダメかな?」
「りーが知らない幸せってこと?」
「そう」
「知ってる幸せは怖いはずだから、知らない新しい幸せに触れるのはどう?」
「…うん。いいかも」
幸せそうにはにかむ璃花さんと優月さんから発せられる言葉には嘘がないって思う。
「あ、」
「ん?」
「あの、麗奈さんは?」
「れいなちゃんは仕事だよ」
「夜なのに?」
「多分当分帰ってこないねあれは」
「そうなの?」
「会いたい?」
「…うん」
「それがきっと幸せだよ、りこちゃん」
「これが?」
「そう」
知らない幸せがチクッと刺して、抜けることない痛みが胸を締め付けた。
be continued_
過ごしていいと言われた部屋は、今まで生きていた中でいちばん大きな部屋で。
あの館にいたときも、もともと生活していた家も、狭いところで過ごしていたから。ベッドともいえない、かたい床で寝ていたことを思いだす。
ヒュっと喉の奥が絞まるようなそんな感覚。呼吸が上手く出来なくて、息苦しさを感じる。
こうなった時どうしてたっけ。
急に来た安息の場所では、安心しすぎていたのか、今までの対処を思い出せない。
白む視界とぼやける思考に溺れて、上手く体に力が入らない。
やっとのことで扉の前まで這いずって行けたけれど、この体には重すぎる扉はびくともせずにノックをしても小さく音を鳴らすだけだった。
どのくらいこの状態だっただろうか。
部屋の外から微かに聞こえる会話はただの雑音でしかなく、何を喋っているのか一切分からない。
バンとドアがこれでもかというくらいに乱暴に開けられ、焦った璃花さんと優月さんが部屋になだれ込んできた。
「りこちゃんっ、、」
「どこにっ、…!?大丈夫!?」
「りこちゃん、璃花の目見れる?」
「っ、うん」
「よし、そしたら璃花と同じことしてね?」
息を吸って、吐く。
それだけなのに。
璃花さんのおかげで呼吸が楽になって、ちゃんと顔が見れる。
ふたりとも焦った顔で覗き込んでくるけど、どうしてここまで構うのだろうと不思議に思える。
「りー、幸せが怖いよ…」
「そっかぁ」
ベッドの縁に三人で腰掛けて、今まであったことを話す。
きっとこのふたりには知っててもらった方がいい気がするから。
「だから幸せが怖いんだね理子は」
「でも、りかたちはたくさん幸せをあげちゃいそうだから…」
「…理子が知ってる幸せと違う幸せをあげられるようにってのはダメかな?」
「りーが知らない幸せってこと?」
「そう」
「知ってる幸せは怖いはずだから、知らない新しい幸せに触れるのはどう?」
「…うん。いいかも」
幸せそうにはにかむ璃花さんと優月さんから発せられる言葉には嘘がないって思う。
「あ、」
「ん?」
「あの、麗奈さんは?」
「れいなちゃんは仕事だよ」
「夜なのに?」
「多分当分帰ってこないねあれは」
「そうなの?」
「会いたい?」
「…うん」
「それがきっと幸せだよ、りこちゃん」
「これが?」
「そう」
知らない幸せがチクッと刺して、抜けることない痛みが胸を締め付けた。
be continued_
5/5ページ
