Brown Rat.
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「二人にお願いがあって」
麗奈にそう言われた時、身構えてしまったのを覚えている。
幼少期の頃から屋敷の娘と使用人の娘として、同じ空間で育ってきた。
家令こと麗奈の父は身分が違うからというのは完全に無視で、私や璃花も麗奈と同じ教育を受けさせてくれた。完全に同じというわけではないけれども。
視察によって、屋敷にいないときも色々なことを任されていたし、もうまもなくで麗奈が家令になるという話も、ほかの使用人より先に伝えられていた。
だから、麗奈からお願いがあると言われた時は、初めてのお願いであったからか、最悪の場合の想定もしていた。
しかし、打診されたのは思っていたのより違うことだった。
「二人にはお願いがあって」
「なぁに、れいなちゃん」
「お願いというか、相談なんだけどね。一人、地獄から救いたい子がいて…」
「…最近、夜に留守してるのってもしかして」
「…そう」
「いいんじゃない?れいなちゃんが決めたことだもん。りかたちは何でも従うよ」
「ありがとう」
と、そんなことがあり、今日がその子が来る日。
麗奈が引き連れて帰ってきたのは、小さくて目がくりくりの女の子。
屋敷に入るなり、きょろきょろして落ち着きがない。それはそうだろう。
身売りされた子は、元々こんな屋敷とは無縁な生活を送っているわけで。
ずっと鳩が豆鉄砲食らったような顔で、部屋の説明を受けていたっけ。
食堂に向かう時は、目を輝かせて、だけど璃花のエプロンの裾をぎゅっと握って、離れまいとして。まるで迷子の子のように。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「りこちゃん、ずっときょろきょろしてて可愛かったね〜」
「何に対しても興味津々だった」
「なんだか、なぎちゃんといとちゃんのちっちゃい時を思い出しちゃった」
「ずっときょろきょろして、落ち着きなかったか」
理子を寝かしつけ、自分たちの部屋に戻ってきて、昔に想いを馳せる。数年前にも同じようなことがあったなと。
戦争孤児が多く保護されていた教会から、凪紗と純葉と美青の三人を同じように連れて帰ってきたことがあった。
凪紗と純葉は目に映るもの、触るもの、全てに興味を示して。対して美青は二人の服をぐっと掴んで全てに怯えていた気がする。
そんな三人も、夢を見つけて学校に通い始めた。
「そろそろ美青と純葉と凪紗に会いたいなぁ」
「ふふ、そうだね。元気にしてるかな?」
「多分元気だよあの三人は」
「たしかに」
be continued_
麗奈にそう言われた時、身構えてしまったのを覚えている。
幼少期の頃から屋敷の娘と使用人の娘として、同じ空間で育ってきた。
家令こと麗奈の父は身分が違うからというのは完全に無視で、私や璃花も麗奈と同じ教育を受けさせてくれた。完全に同じというわけではないけれども。
視察によって、屋敷にいないときも色々なことを任されていたし、もうまもなくで麗奈が家令になるという話も、ほかの使用人より先に伝えられていた。
だから、麗奈からお願いがあると言われた時は、初めてのお願いであったからか、最悪の場合の想定もしていた。
しかし、打診されたのは思っていたのより違うことだった。
「二人にはお願いがあって」
「なぁに、れいなちゃん」
「お願いというか、相談なんだけどね。一人、地獄から救いたい子がいて…」
「…最近、夜に留守してるのってもしかして」
「…そう」
「いいんじゃない?れいなちゃんが決めたことだもん。りかたちは何でも従うよ」
「ありがとう」
と、そんなことがあり、今日がその子が来る日。
麗奈が引き連れて帰ってきたのは、小さくて目がくりくりの女の子。
屋敷に入るなり、きょろきょろして落ち着きがない。それはそうだろう。
身売りされた子は、元々こんな屋敷とは無縁な生活を送っているわけで。
ずっと鳩が豆鉄砲食らったような顔で、部屋の説明を受けていたっけ。
食堂に向かう時は、目を輝かせて、だけど璃花のエプロンの裾をぎゅっと握って、離れまいとして。まるで迷子の子のように。
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「りこちゃん、ずっときょろきょろしてて可愛かったね〜」
「何に対しても興味津々だった」
「なんだか、なぎちゃんといとちゃんのちっちゃい時を思い出しちゃった」
「ずっときょろきょろして、落ち着きなかったか」
理子を寝かしつけ、自分たちの部屋に戻ってきて、昔に想いを馳せる。数年前にも同じようなことがあったなと。
戦争孤児が多く保護されていた教会から、凪紗と純葉と美青の三人を同じように連れて帰ってきたことがあった。
凪紗と純葉は目に映るもの、触るもの、全てに興味を示して。対して美青は二人の服をぐっと掴んで全てに怯えていた気がする。
そんな三人も、夢を見つけて学校に通い始めた。
「そろそろ美青と純葉と凪紗に会いたいなぁ」
「ふふ、そうだね。元気にしてるかな?」
「多分元気だよあの三人は」
「たしかに」
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