野口×佐々木
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この想いも全て貴方とだけ。
蝉時雨が五月蝿い、そんな日。前にもあった気がする。はっきりとは覚えていないけど、その日、親友のことを嫌いになったことだけは覚えている。
「衣織、どうした?」
「ん?」
「なんか難しい顔してたから」
数年後に舞香と街中でばったり会って。付き合うとまでは行かないけど、友達以上恋人未満みたいな関係。だけど、その時の私には舞香が全てで。
「どうしていなくなっちゃったの…?」
その日も雨がうるさかった。数日鳴り止まぬ春雷も、とめどなく降る雨も、全て私の心模様で。
「次の排除対象」
『そうだ。スパイとして施設に潜入して、内部から壊滅させろ』
「了解しました」
でも、そんなことももう考えられないくらいには仕事に熱中していた。
公安警察として、安全を護ると。アニメのキャラの言葉を借りるとしたら、「僕の恋人はこの国さ」なんてね。
「排除対象…研究所リナリア…佐々木舞香…」
何度だって見てきた。呼んできた。大好きだった、大好きな人の名前。別人であって欲しい、何度だって願った。けど、添付された写真は、舞香の顔で。間違えるはずがない。
気付かれたら、さっさと殺して終わらせよう。
そう思っていたのに。
「本日からこの研究所で働くことになりました、野口です」
「よろしくね、野口さん」
私のことなんて知らない人な反応。それでいい。情なんてもう湧かない。
「佐々木さんはいつも何をしてるんですか?」
「舞香は奥にいるよ」
「まいかの記憶を蒸留して薬を作っているの」
「記憶を蒸留…」
「薬を飲むことによって、一時的に幸福感が分泌されてね」
「でも、その後はめちゃくちゃ虚無になるんだよね〜」
「だから、アフターケアはよろしくね、野口さん」
「それで、佐々木さんはいまどこに」
「今なら、奥にいると思うよ」
研究所の一番奥。機械に繋がれた舞香に一筋の涙が伝う。
モニターに映し出されているのは恐らく過去の記憶。薬の主成分。
「全部私との思い出じゃん」
周りのモニターに映し出されているものは全て見たことがある。見たも何も、私との思い出。私に向けていた笑顔も、泣いた顔も、何もかも。ずっと見ていたいなんて、そう思ってしまう。
私だけ取り残されたようで。私のことを忘れて、それが誰かの幸せだなんて。
ずっと舞香の傍にいられると思ったのに。舞香にもらったものが大きすぎて、嫌という程に、今の今まで、欠片があって。それは深く刺さって抜けなかった。
「いっその事嫌いになりたいよ」
「、いおり」
「……!?」
まだ見ていたかった。ここで死んでもいいと思った。幸せな記憶を抱えて。
「だめだ。仕事をしなきゃ」
近くに待機しているであろう仲間に連絡を入れる。
【突入 ラスト・バレンタイン作戦決行】
研究所に警報が鳴り響く。青に染っていた研究所が赤く、危険と報せる。
「野口さん」
「奥にいる」
「了解」
仲間を連れ、舞香を殺す。それが今できる最後のこと。
ごめんね、みんな。
倒れている仲良くしてくれた研究員を横目に、舞香の所を目指す。
「これだけは壊さないで!」
「野口さん」
「うん」
蒸留機の前。退けるものかと手を広げる舞香は、私の顔を見るなり、顔をほころばせる。
そんな顔しないでよ。
揺らいで。
足元には死体の山。
「ねぇ、衣織」
「っ、なぁに?まいか」
「ずっと一緒にいようね」
「そんなことずっと前から思ってたのに」
「いなくなってごめんね」
嫌いになんてなれなくて。
くっと飲み込んだ錠剤は、何をもたらすのか。
「愛してる、一生」
そう言ったのはどっちだったか。
蝉時雨が五月蝿い、そんな日。前にもあった気がする。はっきりとは覚えていないけど、その日、親友のことを嫌いになったことだけは覚えている。
「衣織、どうした?」
「ん?」
「なんか難しい顔してたから」
数年後に舞香と街中でばったり会って。付き合うとまでは行かないけど、友達以上恋人未満みたいな関係。だけど、その時の私には舞香が全てで。
「どうしていなくなっちゃったの…?」
その日も雨がうるさかった。数日鳴り止まぬ春雷も、とめどなく降る雨も、全て私の心模様で。
「次の排除対象」
『そうだ。スパイとして施設に潜入して、内部から壊滅させろ』
「了解しました」
でも、そんなことももう考えられないくらいには仕事に熱中していた。
公安警察として、安全を護ると。アニメのキャラの言葉を借りるとしたら、「僕の恋人はこの国さ」なんてね。
「排除対象…研究所リナリア…佐々木舞香…」
何度だって見てきた。呼んできた。大好きだった、大好きな人の名前。別人であって欲しい、何度だって願った。けど、添付された写真は、舞香の顔で。間違えるはずがない。
気付かれたら、さっさと殺して終わらせよう。
そう思っていたのに。
「本日からこの研究所で働くことになりました、野口です」
「よろしくね、野口さん」
私のことなんて知らない人な反応。それでいい。情なんてもう湧かない。
「佐々木さんはいつも何をしてるんですか?」
「舞香は奥にいるよ」
「まいかの記憶を蒸留して薬を作っているの」
「記憶を蒸留…」
「薬を飲むことによって、一時的に幸福感が分泌されてね」
「でも、その後はめちゃくちゃ虚無になるんだよね〜」
「だから、アフターケアはよろしくね、野口さん」
「それで、佐々木さんはいまどこに」
「今なら、奥にいると思うよ」
研究所の一番奥。機械に繋がれた舞香に一筋の涙が伝う。
モニターに映し出されているのは恐らく過去の記憶。薬の主成分。
「全部私との思い出じゃん」
周りのモニターに映し出されているものは全て見たことがある。見たも何も、私との思い出。私に向けていた笑顔も、泣いた顔も、何もかも。ずっと見ていたいなんて、そう思ってしまう。
私だけ取り残されたようで。私のことを忘れて、それが誰かの幸せだなんて。
ずっと舞香の傍にいられると思ったのに。舞香にもらったものが大きすぎて、嫌という程に、今の今まで、欠片があって。それは深く刺さって抜けなかった。
「いっその事嫌いになりたいよ」
「、いおり」
「……!?」
まだ見ていたかった。ここで死んでもいいと思った。幸せな記憶を抱えて。
「だめだ。仕事をしなきゃ」
近くに待機しているであろう仲間に連絡を入れる。
【突入 ラスト・バレンタイン作戦決行】
研究所に警報が鳴り響く。青に染っていた研究所が赤く、危険と報せる。
「野口さん」
「奥にいる」
「了解」
仲間を連れ、舞香を殺す。それが今できる最後のこと。
ごめんね、みんな。
倒れている仲良くしてくれた研究員を横目に、舞香の所を目指す。
「これだけは壊さないで!」
「野口さん」
「うん」
蒸留機の前。退けるものかと手を広げる舞香は、私の顔を見るなり、顔をほころばせる。
そんな顔しないでよ。
揺らいで。
足元には死体の山。
「ねぇ、衣織」
「っ、なぁに?まいか」
「ずっと一緒にいようね」
「そんなことずっと前から思ってたのに」
「いなくなってごめんね」
嫌いになんてなれなくて。
くっと飲み込んだ錠剤は、何をもたらすのか。
「愛してる、一生」
そう言ったのはどっちだったか。
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