的野×向井
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人魚姫は陸の生活に憧れて、陸の世界を見るためにおばあさまにカキを付けてもらう。なんて、絵本の童話じゃ知らない事実。そもそも童話なんて幸せな結末なんかないって分かっているのに。つい先日開けたピアスが痛い。
「人魚姫は陸の世界で王子様と幸せになったなんて、いい話だよね」
そう、絵本をぱたりと閉じる純葉。絵本の人魚姫の内容なんて覚えていない。文庫でさらりと読んだ方が記憶に新しい。
海の外に憧れて、人間の船が沈没した時には海は怖くないと歌って、王子の乗る船が沈没した時は、そのまま死んでしまえと思ってたのに、結局助けるなんて。
私が人魚姫なら好きな人とはずっといたいから。そのまま死んでしまって、海の世界に来たらいいのになんて思うけれど。
「みおはさ、人魚と人間どっちがいい?」
「なんで?」
「人魚姫を読んでいてね」
きっとそれは、私の知っている人魚姫じゃないから。絵本だって、泡になって消えてしまうのに。
「人魚姫は幸せにはなれないよ。泡になって消えちゃうから」
「え?」
「王子様と幸せになりたくて、殺そうとしたけど、結局泡になるんだよ。好きだった歌も何もかも奪われて」
「そんな残酷なお話なのに、人間になりたいとも人魚になりたいとも思わないよ。だって泡になって誰からも忘れられちゃうから」
「…、みお?」
「あ、いや、ごめん」
「それってさ、忘れられて欲しくない人がいるってこと?」
さっきのキラキラした目は私の視線とぶつかって離れない。忘れて欲しいけど、忘れられたくないから。きっと、人魚姫だって、王子を助けたってことを知って欲しかったし、忘れられたくないだろうから、陸の世界にあがったはずなのに。
私はどうなんだろう。
「純葉にだけは忘れられたくない、かも」
「それじゃあ、みおは人間じゃなきゃだめだね」
「そうなのかな」
「そう、んで、いとはと幸せになるの。どう?」
悪くない。
いや、
それがいい。
「人魚姫は陸の世界で王子様と幸せになったなんて、いい話だよね」
そう、絵本をぱたりと閉じる純葉。絵本の人魚姫の内容なんて覚えていない。文庫でさらりと読んだ方が記憶に新しい。
海の外に憧れて、人間の船が沈没した時には海は怖くないと歌って、王子の乗る船が沈没した時は、そのまま死んでしまえと思ってたのに、結局助けるなんて。
私が人魚姫なら好きな人とはずっといたいから。そのまま死んでしまって、海の世界に来たらいいのになんて思うけれど。
「みおはさ、人魚と人間どっちがいい?」
「なんで?」
「人魚姫を読んでいてね」
きっとそれは、私の知っている人魚姫じゃないから。絵本だって、泡になって消えてしまうのに。
「人魚姫は幸せにはなれないよ。泡になって消えちゃうから」
「え?」
「王子様と幸せになりたくて、殺そうとしたけど、結局泡になるんだよ。好きだった歌も何もかも奪われて」
「そんな残酷なお話なのに、人間になりたいとも人魚になりたいとも思わないよ。だって泡になって誰からも忘れられちゃうから」
「…、みお?」
「あ、いや、ごめん」
「それってさ、忘れられて欲しくない人がいるってこと?」
さっきのキラキラした目は私の視線とぶつかって離れない。忘れて欲しいけど、忘れられたくないから。きっと、人魚姫だって、王子を助けたってことを知って欲しかったし、忘れられたくないだろうから、陸の世界にあがったはずなのに。
私はどうなんだろう。
「純葉にだけは忘れられたくない、かも」
「それじゃあ、みおは人間じゃなきゃだめだね」
「そうなのかな」
「そう、んで、いとはと幸せになるの。どう?」
悪くない。
いや、
それがいい。
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