的野×向井
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
春が過ぎて、夏が準備を始める頃。遠く見える蜃気楼のように、追いつけなくて、気付けばいなくなってしまった。
木々は葉を繁らせ、隙間から差し込む陽の光が眩しくて。
この眩しさを知りたくなかった。知っている眩しさは純葉だけでよかったのに。
道端に咲いている花も街路樹も色を取り戻しているのに、私だけ取り残されたみたいに色がなくて。全部灰色の世界に住んでるような、そんな感じ。
夢のためにと無理やり出てきた地元に戻る気にもなれず、立てたキャンバスにも何も描けず、パレットに乗ってる色もわからない。
もっと隣でいろんな景色を見て、それを絵に起こせるものだと思っていた。そう、信じて疑わなかった。疑えなかった。
きっと、いつか猫みたいにふらっと戻ってきてくれるなんて、一縷の望みをかけて。
純葉がいなくなって、いつの間にか自分がわからなくなった。
純葉がいたから、自分が自分でいられたのだと今更知った。
だから忘れようと思った。生きていくために新しい自分を取り繕ってしまおう、そうしようと。
それも無理だったけど。自分の中に棲んでいた純葉が、新しい自分を拒否するように。わかっている。これは純葉じゃないと。自分が作り出した幻影で、いつかまたいなくなってしまう。蜃気楼みたいに、遠くに微かに見える幻影。追っても追っても追いつけなくて。
掴もうと腕を伸ばす。いっそのこと誰でもいいから私を救ってよ。
「美青」
って、ひとことでいい。またその優しい声で呼んでよ。
「みお」
って、どうして…。
「ただいま」
伸ばした腕は、捕まって、いつぶりか、人のぬくもりを近くで感じる。
桜が散って、また新たな命が芽吹く季節に、蜃気楼は消え、大切なものが戻ってきた。
二度と、手放すものかと、繋がれた手を一層強く繋ぎ直した。
「もう、いとははどこにもいかんよ」
ずっと、その眩しい笑顔で私を照らしていて。
太陽はこの笑顔だけで十分だから。
木々は葉を繁らせ、隙間から差し込む陽の光が眩しくて。
この眩しさを知りたくなかった。知っている眩しさは純葉だけでよかったのに。
道端に咲いている花も街路樹も色を取り戻しているのに、私だけ取り残されたみたいに色がなくて。全部灰色の世界に住んでるような、そんな感じ。
夢のためにと無理やり出てきた地元に戻る気にもなれず、立てたキャンバスにも何も描けず、パレットに乗ってる色もわからない。
もっと隣でいろんな景色を見て、それを絵に起こせるものだと思っていた。そう、信じて疑わなかった。疑えなかった。
きっと、いつか猫みたいにふらっと戻ってきてくれるなんて、一縷の望みをかけて。
純葉がいなくなって、いつの間にか自分がわからなくなった。
純葉がいたから、自分が自分でいられたのだと今更知った。
だから忘れようと思った。生きていくために新しい自分を取り繕ってしまおう、そうしようと。
それも無理だったけど。自分の中に棲んでいた純葉が、新しい自分を拒否するように。わかっている。これは純葉じゃないと。自分が作り出した幻影で、いつかまたいなくなってしまう。蜃気楼みたいに、遠くに微かに見える幻影。追っても追っても追いつけなくて。
掴もうと腕を伸ばす。いっそのこと誰でもいいから私を救ってよ。
「美青」
って、ひとことでいい。またその優しい声で呼んでよ。
「みお」
って、どうして…。
「ただいま」
伸ばした腕は、捕まって、いつぶりか、人のぬくもりを近くで感じる。
桜が散って、また新たな命が芽吹く季節に、蜃気楼は消え、大切なものが戻ってきた。
二度と、手放すものかと、繋がれた手を一層強く繋ぎ直した。
「もう、いとははどこにもいかんよ」
ずっと、その眩しい笑顔で私を照らしていて。
太陽はこの笑顔だけで十分だから。
