中嶋×石森
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推しがマイクを手放すのと、私がペンライトを手放すの。どっちの方が早かっただろうか。
半分も埋まっていない、定員500人のそこそこのライブハウス。月イチで行われる定期公演のアンコール直前。
今まで笑顔を崩さなかった推しが表情を歪めたのは、この会場内で何人が気付いていただろうか。
数少ないファンしかいない推しは、世間的に言えば不人気メンバーなんて言われる子で。だからこそ、この表情の変化に気付いたのは、私だけかもしれない。
「お知らせがあります!」
と、いつもと変わらない口上だったけれど、次の一言は分かりきっていた。
「私、石森璃花はこのグループを卒業します」
デビューからずっと追い続けてたから。なんでも知ってると思い込んでた。
数日前の生誕ライブで「まだまだ走り続けます!」なんて豪語してたのに。
その言葉を信じてたのに。
やっぱりアイドルだから。
何年も虚像を作り続けたキミのこと、ちっとも知らなかった。
その日の特典会。
「卒業公演来てくれるよね?」
と、泣き腫らした顔で微笑むキミに嘘をついた。
「もちろん」
「あと三ヶ月、たくさん会いに来てくれる?」
「…うん。」
「じゃあまた次のライブでね」
なんて、撮ったばかりでまだ真っ白なチェキを握りしめて会場を後にする。
ここまで追ってこられたのは、恋なのか愛なのか、それとも違う感情なのか。分かりっこないから。
次会う予定だったチケットをそこら辺のゴミ箱に捨てて、楽しかった思い出だけ。
客席に私がいないキミはどんな顔するかも知らない。知りたくもない。
だからね、バイバイ。
半分も埋まっていない、定員500人のそこそこのライブハウス。月イチで行われる定期公演のアンコール直前。
今まで笑顔を崩さなかった推しが表情を歪めたのは、この会場内で何人が気付いていただろうか。
数少ないファンしかいない推しは、世間的に言えば不人気メンバーなんて言われる子で。だからこそ、この表情の変化に気付いたのは、私だけかもしれない。
「お知らせがあります!」
と、いつもと変わらない口上だったけれど、次の一言は分かりきっていた。
「私、石森璃花はこのグループを卒業します」
デビューからずっと追い続けてたから。なんでも知ってると思い込んでた。
数日前の生誕ライブで「まだまだ走り続けます!」なんて豪語してたのに。
その言葉を信じてたのに。
やっぱりアイドルだから。
何年も虚像を作り続けたキミのこと、ちっとも知らなかった。
その日の特典会。
「卒業公演来てくれるよね?」
と、泣き腫らした顔で微笑むキミに嘘をついた。
「もちろん」
「あと三ヶ月、たくさん会いに来てくれる?」
「…うん。」
「じゃあまた次のライブでね」
なんて、撮ったばかりでまだ真っ白なチェキを握りしめて会場を後にする。
ここまで追ってこられたのは、恋なのか愛なのか、それとも違う感情なのか。分かりっこないから。
次会う予定だったチケットをそこら辺のゴミ箱に捨てて、楽しかった思い出だけ。
客席に私がいないキミはどんな顔するかも知らない。知りたくもない。
だからね、バイバイ。
