怪獣の居ぬ間に(オールキャラ短編夢)
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キリキリと胃の辺りが痛むのは多分、今日の予約表に「五十嵐ジュラ」の名を見つけてしまったからだ。
月に一度、必ずやってくるその人は日本防衛隊第2部隊隊長。雄々しく、猛々しい彼の活躍ぶりは新聞やニュースで取り沙汰されることも多く、この地域に住む者なら誰しもが知る有名人だ。
そしてそんな彼は、私が働く歯科医院の患者でもあった。
「うっ」
ずきりと痛む胃を摩っていると、「またかい?」とおじいちゃん先生こと、ここの院長が微笑みながら温かいお茶を差し出してきた。
「飲むでしょう?」
「はい、ありがとうございます」
湯呑みを受け取って、ふうふうと息を吹きかける。院長の淹れるお茶は猫舌の私には熱すぎるのだ。火傷に気を付けつつお茶を啜るも、やっぱり私にはまだ熱かった。どう? と差し出されたお煎餅は断って、ふーふーと念入りに冷ましたお茶をもうひとくち。濃いめに淹れられた緑茶は気持ち苦く、渋く。けれど落ち着く味だ。胃も少しずつあたたまって、さっきまでの痛みが薄れていくような気がした。
「すみません、本当なら私がやるべきなのに」
「いいのいいの。僕が飲みたかっただけだから」
院長はにこにこと目尻の皺を深くして「おっ、いるねえ。ジュラくん」なんて言いながら、午後の予約表をペラペラと捲っていた。あの五十嵐ジュラをジュラくん呼ばわりできるのは、きっとこの人くらいだろう。
この歯科医院は院長と歯科衛生士の私、そして歯科助手数人で回している。小さなクリニックではあるものの院長の腕は確かで、五十嵐ジュラは子どもの頃からずっとこの医院に通っているらしい。だから、第2部隊隊長になった今も「ジュラくん」なのだ。
「それにしても、なかなか直らないねえ。君のジュラくん嫌い」
「嫌いじゃないですよ。苦手なだけです」
そう、苦手なだけなのだ。初めて会ったあの日から。
ぱかりと開いた大きな口、鋭い目つき、怒鳴るような声。
思い出したらまたもや胃がキリキリしてきた。
「あの人は何も悪くないんです。ただ、ちょっと似てるだけで」
「似てる?」
「はい。子どもの頃、近所で飼われてた犬に……」
「いぬって、犬かい?」
キョトン顔の院長に私は神妙に頷く。
あれは確か小学生の頃。通学路に犬を飼っている家があって、私はいつもその犬に吠えられていた。犬種は確かドーベルマン。ピンと立った耳に、怒ったみたいに怖い顔。愛嬌のあるゴールデンレトリバーとかだったら多少恐怖は薄れたかもしれないけれど、あの般若顔が毎日怖くて怖くて仕方なくて。どれだけ忍び足で近づいても吠えられるから、私は毎回全速力でその家の前を通っていた。吠えられるのは嫌だけど、鎖で繋がれてるから大丈夫と、そう思って。
しかしある日、いつものようにその家の前を走り抜けた時にそれは起こった。結構遠ざかったのにいつまでも耳に響く犬の声。それは次第に近くなり、おかしいと後ろを振り向くと、そこにはあのドーベルマンがいた。じゃらりと長い鎖をつけたまま一目散に私めがけて駆けて来たのだ。どうやら鎖を打ち付けていた杭ごと外れたらしく、自由になった犬は大はしゃぎ。
そこからは全力鬼ごっこの始まりだった。捕まったら終わる。私は重たいランドセルを背負ったまま死に物狂いで走り、犬は大喜びでそれを追いかけてきて。運動は苦手だけれど、あの時ばかりはスポーツ選手もびっくりの走りをしていたと思う。でも小学生の私が全速力で走る犬に勝てるはずもなく、ちょうど公園に逃げ込んだところで後ろから飛びつかれ、押し倒され、そしてーー。
「……ベロベロに舐められました」
「ふふ、君と仲良くなりたかったんだねえ。そのわんちゃん」
「笑わないでくださいよ。本当に怖かったんですから」
食べられるんじゃないかと錯覚するほど大きな口に、鋭い牙。犬にとってはただのじゃれあいでも、子どもだった私には恐怖でしかなかった。あれがトラウマになって今では犬全般苦手になってしまったし。まさか似てるからという理由で患者にも苦手意識を持つようになるとは思わなかったけど。
「トラウマの克服は難しいかもしれないけれど、ジュラくんとは仲良くなれるといいねえ」
「うう、ですよね。ちゃんと患者さんとコミュニケーション取らなきゃダメですよね」
「それはもちろん大事。でもそれだけじゃなくて、ジュラくんは見た目以外もそのわんちゃんに似てるようだから」
「え?」
「あ、そろそろ午後の診察が始まる時間だね」
院長がパンと手を叩いて会話をそこで断ち切った。さっきのは一体どういう意味だろう。訊きたかったけれど、気の早い患者さんがもう扉の外で待っていて、私は慌ただしく午後の診察の準備に取りかかった。
***
その日、五十嵐ジュラは予定通り診察を受けに来た。彼は今、歯列矯正中だ。診るのは主に院長で、診療補助は本来なら私がすべきだけれど、あの人が来た時だけは他の歯科助手さんに頼んでやってもらっている。やっぱりどうにも胃が痛くなってしまって、うっかりミスしたりしたら大変だから。
その間の私の仕事は受付業務だ。治療が終わった患者のレセプトを順に打ち出し、名前を呼ぶ。今日は金曜ということもあってか患者が多い。次は、
「五十嵐さーん。五十嵐ジュラさーん」
呼んでからハッとする。いつもは五十嵐ジュラの診察が終わったタイミングで歯科助手さんと交代するのに忙しくてすっかり忘れていた。でも、もう遅い。大きな身体を揺らして、名前を呼ばれた五十嵐ジュラが受付に向かって来ている。
その様子に私は思わず息を呑んだ。脈がいやに速い。胃がキリキリする。
私は早く終われと祈りながら、目の前までやってきた五十嵐ジュラにレセプトと会計トレイを差し出した。
「お会計が……」
「なあ、アンタ」
「は、はい、何でしょう?!」
話しかけられるとは思わなくて、変に声が裏返ってしまった。それを聞いた五十嵐ジュラは一瞬目を丸くして、くつくつと笑い始める。怖い、けど。笑うとそうでもないような。
「そう怯えんな。取って食ったりしねえから」
「……はあ」
「アンタ、俺のこと嫌いか?」
唐突にそう訊かれて、言葉に詰まる。なるべく関わらないようにしていたのがバレたのだろうか。
「すみません。嫌いではないです。ただ、ちょっと怖くて……」
訊かれたことに正直に答えたとはいえ、患者に対してひどい言いようだ。怒らせただろうかと恐る恐る様子を窺うと、彼の顔は予想に反して笑って……いや、なぜか笑わないように堪えていた。
「あの、五十嵐さん?」
「ジュラでいい」
「でも……」
「ここのじいさんもそう呼ぶだろ。だからいい」
ジュラくん、とはさすがに呼べないので、ジュラさんと呼びかけると、彼は「おう」と少し照れたように返事をした。
「そろそろお会計を……」
「あ、ああ。悪ぃ。げっ?!」
「だ、大丈夫ですか?」
財布からお金を取り出そうとして、盛大に小銭をぶちまけた彼の顔をこっそり見つめる。大きな口に、鋭い目つき、怒鳴るような声。やっぱりあの時のドーベルマンによく似ている。
けれど私が見ようとしてこなかっただけで、この人はきっとそれだけじゃない。笑うとちょっと子どもっぽくて、あたふたする姿はどこか可愛らしい。全く怖くないと言えば嘘になるけれど、あんなにキリキリしていた胃はいつの間にか痛くなくなっていた。
「おい」
会計を終え、お釣りを手渡そうとした時だった。差し出した手をくいと引かれ、ジュラさんの顔が目の前にくる。顔を逸らしたくなるほどの鋭い眼光。しかし、この時ばかりはそのギラついた瞳から目を離せなかった。
「嫌いじゃねえってことは、まだチャンスはあるってことだよな」
ニッと笑って、ジュラさんが手を離す。そして彼は「覚悟しとけよ」と、それだけ告げて行ってしまった。
ーーどうしよう。
ジュラさんが苦手だった。でも話してみたら意外と平気で、もしかしたら歩み寄れるんじゃないかと、そう思ってたのに。
私はぎゅうと服を掴んだ。場所は胃ではなく、心臓がある辺り。ここが、痛いほどに脈打っている。
ジュラさんのさっきの言葉は、まるで宣戦布告だった。あそこまで真っ直ぐに熱っぽく言われては、さすがに気付くし、とぼけられない。
次にジュラさんが来るのは一か月後。その時私は一体どんな顔をして彼に会えばいいのだろう。考えたらまた胃がキリキリしてきた。
「ジュラくんとは仲良くなれたかい?」
一人悶々と受付をしていると、手が空いたらしい院長がひょいと様子を見に現れた。そして私を見るなり「大丈夫みたいだね」と目を細めた。
「……全然大丈夫じゃないですよ」
「そうかい? でもかわいいわんちゃんみたいなものだったろう? ジュラくんは昔から素直でかわいい子だよ」
眦を柔く下げる院長は、最初から全部お見通しだったのだろうか。
でもあれは、あの時の五十嵐ジュラの目はーーかわいいわんちゃんなんてものではなく、獲物を前にした肉食獣のそれだった。
月に一度、必ずやってくるその人は日本防衛隊第2部隊隊長。雄々しく、猛々しい彼の活躍ぶりは新聞やニュースで取り沙汰されることも多く、この地域に住む者なら誰しもが知る有名人だ。
そしてそんな彼は、私が働く歯科医院の患者でもあった。
「うっ」
ずきりと痛む胃を摩っていると、「またかい?」とおじいちゃん先生こと、ここの院長が微笑みながら温かいお茶を差し出してきた。
「飲むでしょう?」
「はい、ありがとうございます」
湯呑みを受け取って、ふうふうと息を吹きかける。院長の淹れるお茶は猫舌の私には熱すぎるのだ。火傷に気を付けつつお茶を啜るも、やっぱり私にはまだ熱かった。どう? と差し出されたお煎餅は断って、ふーふーと念入りに冷ましたお茶をもうひとくち。濃いめに淹れられた緑茶は気持ち苦く、渋く。けれど落ち着く味だ。胃も少しずつあたたまって、さっきまでの痛みが薄れていくような気がした。
「すみません、本当なら私がやるべきなのに」
「いいのいいの。僕が飲みたかっただけだから」
院長はにこにこと目尻の皺を深くして「おっ、いるねえ。ジュラくん」なんて言いながら、午後の予約表をペラペラと捲っていた。あの五十嵐ジュラをジュラくん呼ばわりできるのは、きっとこの人くらいだろう。
この歯科医院は院長と歯科衛生士の私、そして歯科助手数人で回している。小さなクリニックではあるものの院長の腕は確かで、五十嵐ジュラは子どもの頃からずっとこの医院に通っているらしい。だから、第2部隊隊長になった今も「ジュラくん」なのだ。
「それにしても、なかなか直らないねえ。君のジュラくん嫌い」
「嫌いじゃないですよ。苦手なだけです」
そう、苦手なだけなのだ。初めて会ったあの日から。
ぱかりと開いた大きな口、鋭い目つき、怒鳴るような声。
思い出したらまたもや胃がキリキリしてきた。
「あの人は何も悪くないんです。ただ、ちょっと似てるだけで」
「似てる?」
「はい。子どもの頃、近所で飼われてた犬に……」
「いぬって、犬かい?」
キョトン顔の院長に私は神妙に頷く。
あれは確か小学生の頃。通学路に犬を飼っている家があって、私はいつもその犬に吠えられていた。犬種は確かドーベルマン。ピンと立った耳に、怒ったみたいに怖い顔。愛嬌のあるゴールデンレトリバーとかだったら多少恐怖は薄れたかもしれないけれど、あの般若顔が毎日怖くて怖くて仕方なくて。どれだけ忍び足で近づいても吠えられるから、私は毎回全速力でその家の前を通っていた。吠えられるのは嫌だけど、鎖で繋がれてるから大丈夫と、そう思って。
しかしある日、いつものようにその家の前を走り抜けた時にそれは起こった。結構遠ざかったのにいつまでも耳に響く犬の声。それは次第に近くなり、おかしいと後ろを振り向くと、そこにはあのドーベルマンがいた。じゃらりと長い鎖をつけたまま一目散に私めがけて駆けて来たのだ。どうやら鎖を打ち付けていた杭ごと外れたらしく、自由になった犬は大はしゃぎ。
そこからは全力鬼ごっこの始まりだった。捕まったら終わる。私は重たいランドセルを背負ったまま死に物狂いで走り、犬は大喜びでそれを追いかけてきて。運動は苦手だけれど、あの時ばかりはスポーツ選手もびっくりの走りをしていたと思う。でも小学生の私が全速力で走る犬に勝てるはずもなく、ちょうど公園に逃げ込んだところで後ろから飛びつかれ、押し倒され、そしてーー。
「……ベロベロに舐められました」
「ふふ、君と仲良くなりたかったんだねえ。そのわんちゃん」
「笑わないでくださいよ。本当に怖かったんですから」
食べられるんじゃないかと錯覚するほど大きな口に、鋭い牙。犬にとってはただのじゃれあいでも、子どもだった私には恐怖でしかなかった。あれがトラウマになって今では犬全般苦手になってしまったし。まさか似てるからという理由で患者にも苦手意識を持つようになるとは思わなかったけど。
「トラウマの克服は難しいかもしれないけれど、ジュラくんとは仲良くなれるといいねえ」
「うう、ですよね。ちゃんと患者さんとコミュニケーション取らなきゃダメですよね」
「それはもちろん大事。でもそれだけじゃなくて、ジュラくんは見た目以外もそのわんちゃんに似てるようだから」
「え?」
「あ、そろそろ午後の診察が始まる時間だね」
院長がパンと手を叩いて会話をそこで断ち切った。さっきのは一体どういう意味だろう。訊きたかったけれど、気の早い患者さんがもう扉の外で待っていて、私は慌ただしく午後の診察の準備に取りかかった。
***
その日、五十嵐ジュラは予定通り診察を受けに来た。彼は今、歯列矯正中だ。診るのは主に院長で、診療補助は本来なら私がすべきだけれど、あの人が来た時だけは他の歯科助手さんに頼んでやってもらっている。やっぱりどうにも胃が痛くなってしまって、うっかりミスしたりしたら大変だから。
その間の私の仕事は受付業務だ。治療が終わった患者のレセプトを順に打ち出し、名前を呼ぶ。今日は金曜ということもあってか患者が多い。次は、
「五十嵐さーん。五十嵐ジュラさーん」
呼んでからハッとする。いつもは五十嵐ジュラの診察が終わったタイミングで歯科助手さんと交代するのに忙しくてすっかり忘れていた。でも、もう遅い。大きな身体を揺らして、名前を呼ばれた五十嵐ジュラが受付に向かって来ている。
その様子に私は思わず息を呑んだ。脈がいやに速い。胃がキリキリする。
私は早く終われと祈りながら、目の前までやってきた五十嵐ジュラにレセプトと会計トレイを差し出した。
「お会計が……」
「なあ、アンタ」
「は、はい、何でしょう?!」
話しかけられるとは思わなくて、変に声が裏返ってしまった。それを聞いた五十嵐ジュラは一瞬目を丸くして、くつくつと笑い始める。怖い、けど。笑うとそうでもないような。
「そう怯えんな。取って食ったりしねえから」
「……はあ」
「アンタ、俺のこと嫌いか?」
唐突にそう訊かれて、言葉に詰まる。なるべく関わらないようにしていたのがバレたのだろうか。
「すみません。嫌いではないです。ただ、ちょっと怖くて……」
訊かれたことに正直に答えたとはいえ、患者に対してひどい言いようだ。怒らせただろうかと恐る恐る様子を窺うと、彼の顔は予想に反して笑って……いや、なぜか笑わないように堪えていた。
「あの、五十嵐さん?」
「ジュラでいい」
「でも……」
「ここのじいさんもそう呼ぶだろ。だからいい」
ジュラくん、とはさすがに呼べないので、ジュラさんと呼びかけると、彼は「おう」と少し照れたように返事をした。
「そろそろお会計を……」
「あ、ああ。悪ぃ。げっ?!」
「だ、大丈夫ですか?」
財布からお金を取り出そうとして、盛大に小銭をぶちまけた彼の顔をこっそり見つめる。大きな口に、鋭い目つき、怒鳴るような声。やっぱりあの時のドーベルマンによく似ている。
けれど私が見ようとしてこなかっただけで、この人はきっとそれだけじゃない。笑うとちょっと子どもっぽくて、あたふたする姿はどこか可愛らしい。全く怖くないと言えば嘘になるけれど、あんなにキリキリしていた胃はいつの間にか痛くなくなっていた。
「おい」
会計を終え、お釣りを手渡そうとした時だった。差し出した手をくいと引かれ、ジュラさんの顔が目の前にくる。顔を逸らしたくなるほどの鋭い眼光。しかし、この時ばかりはそのギラついた瞳から目を離せなかった。
「嫌いじゃねえってことは、まだチャンスはあるってことだよな」
ニッと笑って、ジュラさんが手を離す。そして彼は「覚悟しとけよ」と、それだけ告げて行ってしまった。
ーーどうしよう。
ジュラさんが苦手だった。でも話してみたら意外と平気で、もしかしたら歩み寄れるんじゃないかと、そう思ってたのに。
私はぎゅうと服を掴んだ。場所は胃ではなく、心臓がある辺り。ここが、痛いほどに脈打っている。
ジュラさんのさっきの言葉は、まるで宣戦布告だった。あそこまで真っ直ぐに熱っぽく言われては、さすがに気付くし、とぼけられない。
次にジュラさんが来るのは一か月後。その時私は一体どんな顔をして彼に会えばいいのだろう。考えたらまた胃がキリキリしてきた。
「ジュラくんとは仲良くなれたかい?」
一人悶々と受付をしていると、手が空いたらしい院長がひょいと様子を見に現れた。そして私を見るなり「大丈夫みたいだね」と目を細めた。
「……全然大丈夫じゃないですよ」
「そうかい? でもかわいいわんちゃんみたいなものだったろう? ジュラくんは昔から素直でかわいい子だよ」
眦を柔く下げる院長は、最初から全部お見通しだったのだろうか。
でもあれは、あの時の五十嵐ジュラの目はーーかわいいわんちゃんなんてものではなく、獲物を前にした肉食獣のそれだった。
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