狗巻棘
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
狗巻くんは朝が苦手だ。
今日も朝からぽやぽやしていて、ふわぁと大きな欠伸をひとつ。きっと一限目はこくりこくりとツンツン頭が揺れることだろう。眠い目を擦る仕草が小動物じみていて、あまりの可愛さについ口元が緩んでしまう。
「毎朝起きるの辛いよねー。冬は特に! お布団が離してくれなくて困っちゃう」
「しゃけしゃけ」
「でも狗巻くん、毎朝欠かさず髪セットしてくるよね」
「すじこ。明太子?」
「女の子にかっこいいって言われたいからね」そう冗談っぽく言ってから「どう? かっこいい?」と目を細める彼は、私の中では「かわいい」に分類されるのだけど、ここは彼の気持ちを汲んで「うんうん、かっこいいかっこいい」と言っておく。
理由はどうあれ、朝が苦手なのに身だしなみに気を使える狗巻くんはすごい。私なんて毎朝ギリギリまで寝てるからそんな時間ないし、今日だって「遅刻すんぞ」と真希ちゃんに叩き起こされて、寝癖のついた髪をゴムでテキトーに結んだだけだ。
……このままじゃダメな気がする。女として、というより人間として。狗巻くんみたいに身だしなみに気を使うのは難しくとも、せめて寝癖くらいは直してこないと。
となると、とスマホをタップしてアラームの設定を見直す。三十分早く……は多分無理。設定したところでどうせ起きられない。十分、いや五分早く起きればいける?
「ツナマヨ?」
「あー、ちょっと早起き頑張ってみようかなって」
「しゃけ!……こ、こんぶ⁈」
「え、待ち受け? そう変えたの。よく覚えてたね」
スマホを覗き込んできた狗巻くんが何故かわなわなしていた。少し前まで人気の若手俳優さんにしていたのだけど、もしかして狗巻くん、その俳優さんのファンだったとか? そういえば髪型とかも似てる気がする。
「高菜ぁ‼︎」
誰よその男‼︎ と突然狗巻くんが叫んだ。完全に浮気された女の人のノリだ。
「今流行ってるバンドのドラムの人だよ。私の推しなんだ」
一見物静かでクールなのに、演奏中は熱く激しい。さらりとした髪を振り乱して演奏する姿は男らしくて、そのギャップにドキリとする。ライブチケット外れちゃったんだよね、なんて話している間、狗巻くんは食い入るように私の待ち受け画面を見つめていた。
そして、次の日。
「おはよーって、どうしたのその髪⁈」
まだ眠いのかのそのそと教室に入ってきた狗巻くんを見るなり、私は目を丸くした。
毎朝ワックスで固められていた髪が、今日はツンツンしていない。その代わりに、指通りの良さそうな髪が歩くたびにさらりと揺れている。
狗巻くんは相変わらず眠そうにしていたけれど、寝坊して髪をセットできなかったというわけではなさそうだ。ワックスは使っていなくとも、きちんと整えてられていることは見ればわかる。
「なんか狗巻くんが髪下ろしてるの新鮮だね! イメチェン?」
「しゃけ。明太子?」
「うん、すごくかっこいい!」
訊かれたことに素直に答えたら「ツ、ツナマヨ……」何故か狗巻くんは真っ赤になって、両手で顔を隠してしまった。
今日も朝からぽやぽやしていて、ふわぁと大きな欠伸をひとつ。きっと一限目はこくりこくりとツンツン頭が揺れることだろう。眠い目を擦る仕草が小動物じみていて、あまりの可愛さについ口元が緩んでしまう。
「毎朝起きるの辛いよねー。冬は特に! お布団が離してくれなくて困っちゃう」
「しゃけしゃけ」
「でも狗巻くん、毎朝欠かさず髪セットしてくるよね」
「すじこ。明太子?」
「女の子にかっこいいって言われたいからね」そう冗談っぽく言ってから「どう? かっこいい?」と目を細める彼は、私の中では「かわいい」に分類されるのだけど、ここは彼の気持ちを汲んで「うんうん、かっこいいかっこいい」と言っておく。
理由はどうあれ、朝が苦手なのに身だしなみに気を使える狗巻くんはすごい。私なんて毎朝ギリギリまで寝てるからそんな時間ないし、今日だって「遅刻すんぞ」と真希ちゃんに叩き起こされて、寝癖のついた髪をゴムでテキトーに結んだだけだ。
……このままじゃダメな気がする。女として、というより人間として。狗巻くんみたいに身だしなみに気を使うのは難しくとも、せめて寝癖くらいは直してこないと。
となると、とスマホをタップしてアラームの設定を見直す。三十分早く……は多分無理。設定したところでどうせ起きられない。十分、いや五分早く起きればいける?
「ツナマヨ?」
「あー、ちょっと早起き頑張ってみようかなって」
「しゃけ!……こ、こんぶ⁈」
「え、待ち受け? そう変えたの。よく覚えてたね」
スマホを覗き込んできた狗巻くんが何故かわなわなしていた。少し前まで人気の若手俳優さんにしていたのだけど、もしかして狗巻くん、その俳優さんのファンだったとか? そういえば髪型とかも似てる気がする。
「高菜ぁ‼︎」
誰よその男‼︎ と突然狗巻くんが叫んだ。完全に浮気された女の人のノリだ。
「今流行ってるバンドのドラムの人だよ。私の推しなんだ」
一見物静かでクールなのに、演奏中は熱く激しい。さらりとした髪を振り乱して演奏する姿は男らしくて、そのギャップにドキリとする。ライブチケット外れちゃったんだよね、なんて話している間、狗巻くんは食い入るように私の待ち受け画面を見つめていた。
そして、次の日。
「おはよーって、どうしたのその髪⁈」
まだ眠いのかのそのそと教室に入ってきた狗巻くんを見るなり、私は目を丸くした。
毎朝ワックスで固められていた髪が、今日はツンツンしていない。その代わりに、指通りの良さそうな髪が歩くたびにさらりと揺れている。
狗巻くんは相変わらず眠そうにしていたけれど、寝坊して髪をセットできなかったというわけではなさそうだ。ワックスは使っていなくとも、きちんと整えてられていることは見ればわかる。
「なんか狗巻くんが髪下ろしてるの新鮮だね! イメチェン?」
「しゃけ。明太子?」
「うん、すごくかっこいい!」
訊かれたことに素直に答えたら「ツ、ツナマヨ……」何故か狗巻くんは真っ赤になって、両手で顔を隠してしまった。