狗巻棘
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買ったばかりのファッション雑誌と差し出された手のひらを交互に見ながらむむっと唸る。
「えーっと、これが生命線で、こっちが感情線?」
つつっと指先で線をなぞると手のひらの持ち主がピクリと震えた。
「た、高菜ぁ」
「ごめん、くすぐったかった?」
「しゃけ」
「でももうちょっとだけ我慢してね」
「明太子!」
さっきまでもぞもぞとくすぐったそうにしていた棘くんは頑張る! と意気込んで姿勢を正した。私も彼の頑張りに報いなければ。仕切り直して手元の雑誌に視線を落とす。そこには最近女子高生の間で当たると評判の手相占いが載っていた。こういうのはあまり信じないのだけど、試しに自分のを見てみたらなんだか当たっているような気がして。これは他の人も見たいなと思っていたところに、たまたま棘くんが通りかかったのだった。
「あ!」
「すじこ?」
「棘くんは結婚線が一本だね。しかもすごくくっきりしてる。この線の持ち主は熱烈な大恋愛の末に結婚するって」
「い、いくら⁈」
「結婚はまだ先だけど、お相手にはもう出逢ってるみたい。絶対に逃がしちゃだめだよ」
「しゃけ!」
やっぱりこの占い、当たってるかもしれない。棘くんなら一途そうだし、これと決めた相手をとことん大事にすることだろう。結婚式、私も友人枠で呼んでもらえるかな。スピーチはパンダくんか乙骨くんか、と妄想を膨らませていると、突然棘くんが手のひらを返してぎゅっと私の手を握ってきた。
「ん?」
痛くはない。けれど軽く引いたくらいでは振り解けそうにない程度の力加減で握られている。
どうしたのかと視線を上げると、とてもいい笑顔をした棘くんと目が合った。
「おかか。ツナマヨ」
ーー逃がさないよ。絶対に逃がしちゃだめって言われたから。
「え」
彼の言葉の意味を理解して、ぶわりと体温が上がっていく。
「え、ええ⁈」
色々と信じられなくて、何度も何度も掴まれたままの自分の手と棘くんの顔を見る。目が合う度に彼はにこりと微笑んでくれたが、握られた手は一向に離れる気配がない。それどころかするりと指を絡め取られて、より深く握り込まれてしまった。
「あの、棘くん」
「おかか」
少しでも身を捩れば、意地悪く目を細めた棘くんに手を強く握られる。
熱烈な大恋愛をするという彼は、どうやら物理的にも相手を逃す気はないらしい。
「えーっと、これが生命線で、こっちが感情線?」
つつっと指先で線をなぞると手のひらの持ち主がピクリと震えた。
「た、高菜ぁ」
「ごめん、くすぐったかった?」
「しゃけ」
「でももうちょっとだけ我慢してね」
「明太子!」
さっきまでもぞもぞとくすぐったそうにしていた棘くんは頑張る! と意気込んで姿勢を正した。私も彼の頑張りに報いなければ。仕切り直して手元の雑誌に視線を落とす。そこには最近女子高生の間で当たると評判の手相占いが載っていた。こういうのはあまり信じないのだけど、試しに自分のを見てみたらなんだか当たっているような気がして。これは他の人も見たいなと思っていたところに、たまたま棘くんが通りかかったのだった。
「あ!」
「すじこ?」
「棘くんは結婚線が一本だね。しかもすごくくっきりしてる。この線の持ち主は熱烈な大恋愛の末に結婚するって」
「い、いくら⁈」
「結婚はまだ先だけど、お相手にはもう出逢ってるみたい。絶対に逃がしちゃだめだよ」
「しゃけ!」
やっぱりこの占い、当たってるかもしれない。棘くんなら一途そうだし、これと決めた相手をとことん大事にすることだろう。結婚式、私も友人枠で呼んでもらえるかな。スピーチはパンダくんか乙骨くんか、と妄想を膨らませていると、突然棘くんが手のひらを返してぎゅっと私の手を握ってきた。
「ん?」
痛くはない。けれど軽く引いたくらいでは振り解けそうにない程度の力加減で握られている。
どうしたのかと視線を上げると、とてもいい笑顔をした棘くんと目が合った。
「おかか。ツナマヨ」
ーー逃がさないよ。絶対に逃がしちゃだめって言われたから。
「え」
彼の言葉の意味を理解して、ぶわりと体温が上がっていく。
「え、ええ⁈」
色々と信じられなくて、何度も何度も掴まれたままの自分の手と棘くんの顔を見る。目が合う度に彼はにこりと微笑んでくれたが、握られた手は一向に離れる気配がない。それどころかするりと指を絡め取られて、より深く握り込まれてしまった。
「あの、棘くん」
「おかか」
少しでも身を捩れば、意地悪く目を細めた棘くんに手を強く握られる。
熱烈な大恋愛をするという彼は、どうやら物理的にも相手を逃す気はないらしい。