狗巻棘
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「ツナツナ」
「私も好きだよー」
「ツナマヨ!」
「いーや、私のが大好きだから!」
部屋に二人きりの時、棘くんがこれでもかと好意を伝えてくることがある。
最初は恥ずかしかったけど、だんだん私も慣れてきて、もはやどちらがより相手を好きか競うゲームみたいになっている。もちろん審判なんていないから、なかなか決着はつかないのだけど、今のところ私の全敗だ。
本当は一度くらい勝ってみたいと思わなくもない。でも負けず嫌いな棘くんが「ツナマヨー!」とぎゅうぎゅう私を抱きしめて、降参するまで離してくれないのだ。
今日もまた、棘くんに勝てない。
「ん、棘くん降参。君が私のこと大好きなのはよーくわかった」
ぽんぽんと彼の背中を叩いて白旗を揚げると、腕の力が少しだけ緩められる。「しゃけ!」と笑顔で言う彼はとても満足そうだった。
その表情のままゆっくりと棘くんの顔が近づいてきて、雰囲気に流されるように目を閉じる。
暗闇の中、やわらかな熱が触れては離れ、悪戯に唇を食まれる。咎めるように視線を送ると、気づいた棘くんは少しだけ申し訳なさそうな顔をして、けれど、それだけだった。キスは止まるどころか次第に深く、長くなって、耳まで塞がれた。二人分の息づかいと水音しか聞こえない。まるで水中にいるみたいだ。苦しくて、どこまでも深く溺れていく。
ぷつりと繋がりが切れたのはすっかり力が入らなくなってからのこと。あんなに苦しかったのに、今でも息を吸うので精一杯なのに、あの感覚が恋しくて仕方ない。
棘くんはまだ私の耳を塞いだまま、一度触れるだけのキスを落とし、溶けそうな表情で唇を動かした。
『す、き』
降ってきたのは音のない、透明な声。でもその二文字は確かな熱を持って、私に注がれたのだった。
「私も好きだよー」
「ツナマヨ!」
「いーや、私のが大好きだから!」
部屋に二人きりの時、棘くんがこれでもかと好意を伝えてくることがある。
最初は恥ずかしかったけど、だんだん私も慣れてきて、もはやどちらがより相手を好きか競うゲームみたいになっている。もちろん審判なんていないから、なかなか決着はつかないのだけど、今のところ私の全敗だ。
本当は一度くらい勝ってみたいと思わなくもない。でも負けず嫌いな棘くんが「ツナマヨー!」とぎゅうぎゅう私を抱きしめて、降参するまで離してくれないのだ。
今日もまた、棘くんに勝てない。
「ん、棘くん降参。君が私のこと大好きなのはよーくわかった」
ぽんぽんと彼の背中を叩いて白旗を揚げると、腕の力が少しだけ緩められる。「しゃけ!」と笑顔で言う彼はとても満足そうだった。
その表情のままゆっくりと棘くんの顔が近づいてきて、雰囲気に流されるように目を閉じる。
暗闇の中、やわらかな熱が触れては離れ、悪戯に唇を食まれる。咎めるように視線を送ると、気づいた棘くんは少しだけ申し訳なさそうな顔をして、けれど、それだけだった。キスは止まるどころか次第に深く、長くなって、耳まで塞がれた。二人分の息づかいと水音しか聞こえない。まるで水中にいるみたいだ。苦しくて、どこまでも深く溺れていく。
ぷつりと繋がりが切れたのはすっかり力が入らなくなってからのこと。あんなに苦しかったのに、今でも息を吸うので精一杯なのに、あの感覚が恋しくて仕方ない。
棘くんはまだ私の耳を塞いだまま、一度触れるだけのキスを落とし、溶けそうな表情で唇を動かした。
『す、き』
降ってきたのは音のない、透明な声。でもその二文字は確かな熱を持って、私に注がれたのだった。