狗巻棘
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「とり五目」
「えー、なになに全然わかんない」
「オムライス」
「ヒント! ヒントちょーだい!」
一年の教室、その真ん中あたり。机を四つくっつけて、座るのは俺と虎杖、釘崎、そして狗巻先輩だ。
「炒飯」
「わかった。今日はいい天気! だ」
虎杖の言葉に狗巻先輩はふるふると首を横に振る。そして「エビマヨ」と答えるのだった。
「先輩が壊れた!」と虎杖が狗巻先輩を抱えて教室に飛び込んできたのが、五分程前のこと。自販機に行く途中にばったり会って「焼きつくね」と挨拶されたらしい。その後も普段聞かない語彙で話しかけられて、困惑した虎杖はどうしていいのかわからず、そのまま一年の教室に連れ帰ってきた、と。
「元いたところに戻してきなさい!」
釘崎の意見も最もだが、狗巻先輩は犬猫じゃない。それにこの人は壊れた訳でもない。
「今日がエイプリルフールだからですよね」
俺がそう言うと、狗巻先輩が「鮭ハラミ」とピースサインをして見せた。
「「はあ〜⁈」」
基本的に良い先輩だが、ふざける時はとことんふざけるのがこの人だ。狗巻先輩は釘崎に襟を掴まれてガクガクと前後揺すられていたが、相変わらず楽しそうにしていた。
「てか伏黒は狗巻先輩が何言ってんのかわかるの?」
「まあ、大体は」
「すっげー。俺おにぎりの具が変わっただけで全然わかんねーのに」
「なんか気に入らないわね。よっし虎杖、私たちも先輩が何言ったかわかるようになってやりましょ!」
「お、いいね! どうせなら勝負しようぜ」
そうして始まったクイズ大会。虎杖も釘崎も狗巻先輩の言葉を理解し始めたばかりだからか、普段と違う語彙というだけで苦戦しているようだった。「焼きカレー」「赤飯」「半熟煮玉子」狗巻先輩はおにぎりの具だけで一体いくつ語彙を持っているのか。
なかなか勝敗がつかない中、両者の沈黙を破ったのは狗巻先輩と同じ二年の先輩だった。
「あ、棘くんこんなとこにいたんだね。次の任務の打ち合わせ始まるよ」
「塩昆布、ベーコンエッグ」
「えっ」
「明太チーズドリア!」
「ちょ、ちょっと、棘くん⁈」
狗巻先輩を迎えにきた先輩の顔がみるみる真っ赤に染まっていく。色々な具を語り続ける狗巻先輩の口元を必死に抑え、「ストップ、ストップ棘くん!」と言い聞かせ。しかしそれでも狗巻先輩は止まらず、話し続けようとするものだから、先輩が慌てて教室の外へと引っ張っていった。
「ごめんね、棘くんから聞いたことは全部忘れて!」
「梅ゆかり〜」
ピシャリと教室の扉が閉まり、虎杖と釘崎がハッと我に返る。
「結局狗巻先輩が何を言ってたのかわからなかったわね」
「何だったんだろうな。伏黒はわかんだろ?」
「あー……」
俺はどうするべきか迷って「わからなかった」と答えた。虎杖と釘崎は不満そうだったが、先輩にも忘れるように言われていたから仕方ない。何より俺たちが狗巻先輩に聞かされていたのは全部あの先輩への惚気だと、今の二人に正直に伝える勇気はなかった。
「えー、なになに全然わかんない」
「オムライス」
「ヒント! ヒントちょーだい!」
一年の教室、その真ん中あたり。机を四つくっつけて、座るのは俺と虎杖、釘崎、そして狗巻先輩だ。
「炒飯」
「わかった。今日はいい天気! だ」
虎杖の言葉に狗巻先輩はふるふると首を横に振る。そして「エビマヨ」と答えるのだった。
「先輩が壊れた!」と虎杖が狗巻先輩を抱えて教室に飛び込んできたのが、五分程前のこと。自販機に行く途中にばったり会って「焼きつくね」と挨拶されたらしい。その後も普段聞かない語彙で話しかけられて、困惑した虎杖はどうしていいのかわからず、そのまま一年の教室に連れ帰ってきた、と。
「元いたところに戻してきなさい!」
釘崎の意見も最もだが、狗巻先輩は犬猫じゃない。それにこの人は壊れた訳でもない。
「今日がエイプリルフールだからですよね」
俺がそう言うと、狗巻先輩が「鮭ハラミ」とピースサインをして見せた。
「「はあ〜⁈」」
基本的に良い先輩だが、ふざける時はとことんふざけるのがこの人だ。狗巻先輩は釘崎に襟を掴まれてガクガクと前後揺すられていたが、相変わらず楽しそうにしていた。
「てか伏黒は狗巻先輩が何言ってんのかわかるの?」
「まあ、大体は」
「すっげー。俺おにぎりの具が変わっただけで全然わかんねーのに」
「なんか気に入らないわね。よっし虎杖、私たちも先輩が何言ったかわかるようになってやりましょ!」
「お、いいね! どうせなら勝負しようぜ」
そうして始まったクイズ大会。虎杖も釘崎も狗巻先輩の言葉を理解し始めたばかりだからか、普段と違う語彙というだけで苦戦しているようだった。「焼きカレー」「赤飯」「半熟煮玉子」狗巻先輩はおにぎりの具だけで一体いくつ語彙を持っているのか。
なかなか勝敗がつかない中、両者の沈黙を破ったのは狗巻先輩と同じ二年の先輩だった。
「あ、棘くんこんなとこにいたんだね。次の任務の打ち合わせ始まるよ」
「塩昆布、ベーコンエッグ」
「えっ」
「明太チーズドリア!」
「ちょ、ちょっと、棘くん⁈」
狗巻先輩を迎えにきた先輩の顔がみるみる真っ赤に染まっていく。色々な具を語り続ける狗巻先輩の口元を必死に抑え、「ストップ、ストップ棘くん!」と言い聞かせ。しかしそれでも狗巻先輩は止まらず、話し続けようとするものだから、先輩が慌てて教室の外へと引っ張っていった。
「ごめんね、棘くんから聞いたことは全部忘れて!」
「梅ゆかり〜」
ピシャリと教室の扉が閉まり、虎杖と釘崎がハッと我に返る。
「結局狗巻先輩が何を言ってたのかわからなかったわね」
「何だったんだろうな。伏黒はわかんだろ?」
「あー……」
俺はどうするべきか迷って「わからなかった」と答えた。虎杖と釘崎は不満そうだったが、先輩にも忘れるように言われていたから仕方ない。何より俺たちが狗巻先輩に聞かされていたのは全部あの先輩への惚気だと、今の二人に正直に伝える勇気はなかった。