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「杉浦くん、聞いて聞いて!」
神室町にお使いに行っていた彼女が、九十九課に帰ってくるなり興奮気味に言った。
何が良いことでもあったのだろうか。ソファに座るように指示され、大人しく従う。
「私ね、もっと九十九さんと杉浦くんの力になれないかなって考えてたの。事務仕事だけじゃ全然足りないなって」
決してそんなことはない。彼女が事務仕事や雑務をしてくれているからこそ、僕らは自分たちの仕事に集中できている。
でも、彼女はそうは思っていなかったらしい。
ーー何かできないか。そう考え、悩み、お使い先で出会った海藤さんと東さんに相談を持ち掛けたとか。相談相手が八神さんじゃないことに、一瞬不安が過ぎる。
「でね、海藤さんと東さんに教えてもらって私はついに手に入れてしまったんだよ。二人の役に立てるとっておきの技を……!」
ああ、もう不安しかない! けれど誇らしげな彼女に水を差すようなこともできなかった。「いくよ、見ててね」と咳払いする彼女を、固唾を飲んで見守る。
「にゃー」
可愛らしい声が事務所に響いた。彼女はその後も色んな猫の鳴き真似を繰り出す。
「これがお腹すいた時の声で、これがメンチ切ってる猫の声! 東さんに教えてもらったの」
一体何を教えてるの、東さん。そう言いたいのを堪え、僕は真剣な顔で彼女に言った。
「ごめん。ちゃんと見てなかったからもう一回、最初からやってもらってもいいかな?」
「えー」
そう言いつつもちゃんとやってくれるのが彼女の良いところだ。そしてもちろん、その様子をこっそり動画に撮るのも忘れない。
「どう? 似てた?」
「うん、そっくり過ぎてびっくりした」
「よかった。これで迷い猫探しの時に役に立てるね! 特訓した甲斐があるよ」
その技を使う時が来るかどうかは置いておいて。
「その特訓、海藤さんたちの前でやったの?」
「うん、師匠たちに及第点をもらってきたよ」
「ふぅん」
あの二人は僕より先に可愛らしい猫の真似をする彼女を見たんだ。特訓っていうくらいだから、きっと今披露してくれたのよりたくさん。
「それ、もう人前でやっちゃダメだよ。もちろん九十九君の前でも」
「えっ、なんで!?」
「とっておきの技なんでしょ。だったらその時まで隠しておかないと。ほら、ヒーローだって必殺技は最後まで取っておくし」
「そう、かなあ……?」
「そうそう! だからこれからは、僕がお願いした時だけやってね」
約束、と小指を差し出せば彼女はせっかく練習したのにと嘆きながらも、素直に小指を絡めてきた。
神室町にお使いに行っていた彼女が、九十九課に帰ってくるなり興奮気味に言った。
何が良いことでもあったのだろうか。ソファに座るように指示され、大人しく従う。
「私ね、もっと九十九さんと杉浦くんの力になれないかなって考えてたの。事務仕事だけじゃ全然足りないなって」
決してそんなことはない。彼女が事務仕事や雑務をしてくれているからこそ、僕らは自分たちの仕事に集中できている。
でも、彼女はそうは思っていなかったらしい。
ーー何かできないか。そう考え、悩み、お使い先で出会った海藤さんと東さんに相談を持ち掛けたとか。相談相手が八神さんじゃないことに、一瞬不安が過ぎる。
「でね、海藤さんと東さんに教えてもらって私はついに手に入れてしまったんだよ。二人の役に立てるとっておきの技を……!」
ああ、もう不安しかない! けれど誇らしげな彼女に水を差すようなこともできなかった。「いくよ、見ててね」と咳払いする彼女を、固唾を飲んで見守る。
「にゃー」
可愛らしい声が事務所に響いた。彼女はその後も色んな猫の鳴き真似を繰り出す。
「これがお腹すいた時の声で、これがメンチ切ってる猫の声! 東さんに教えてもらったの」
一体何を教えてるの、東さん。そう言いたいのを堪え、僕は真剣な顔で彼女に言った。
「ごめん。ちゃんと見てなかったからもう一回、最初からやってもらってもいいかな?」
「えー」
そう言いつつもちゃんとやってくれるのが彼女の良いところだ。そしてもちろん、その様子をこっそり動画に撮るのも忘れない。
「どう? 似てた?」
「うん、そっくり過ぎてびっくりした」
「よかった。これで迷い猫探しの時に役に立てるね! 特訓した甲斐があるよ」
その技を使う時が来るかどうかは置いておいて。
「その特訓、海藤さんたちの前でやったの?」
「うん、師匠たちに及第点をもらってきたよ」
「ふぅん」
あの二人は僕より先に可愛らしい猫の真似をする彼女を見たんだ。特訓っていうくらいだから、きっと今披露してくれたのよりたくさん。
「それ、もう人前でやっちゃダメだよ。もちろん九十九君の前でも」
「えっ、なんで!?」
「とっておきの技なんでしょ。だったらその時まで隠しておかないと。ほら、ヒーローだって必殺技は最後まで取っておくし」
「そう、かなあ……?」
「そうそう! だからこれからは、僕がお願いした時だけやってね」
約束、と小指を差し出せば彼女はせっかく練習したのにと嘆きながらも、素直に小指を絡めてきた。
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