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人生何があるかわからないものだ、と目の前でティーカップを傾ける男性を眺めながら思う。
転職を機に上京したものの慣れない環境に長い間友達一人作れずにいた私に、茶飲み友達ができる日が来ようとは。それも私よりずっと歳上の男性。あの頃の私が聞いたらびっくりして腰を抜かすに違いない。
「どうしたの?」
私の視線に気づいた彼が不思議そうに首を傾げた。ソーサーにティーカップを置く所作すら上品で思わず見惚れてしまう。
「富入さんと久々にお茶できて嬉しいなって」
「あら嬉しい」
正直に伝えると目の前に座る男性、富入さんが「私もよ」とゆるりと眦を下げた。
茶飲み友達である富入さんとは一年ほど前、とあるカフェで出会った。そのカフェは小さいながらも取り扱う茶葉の多さに定評があり、紅茶好きの私の行きつけで、富入さんもそこの常連だった。
寡黙なマスターとぽつぽつ紅茶の話をしていたら富入さんも会話に参加してきて盛り上がったっけ。そうして私たちはいつしかお互いの都合が合えばお茶をする、茶飲み友達になったのだ。
「ん、ここのスコーンおいしいですね」
「でしょう。あなたにぜひ食べてもらいたかったの」
今日訪れたのは富入さんおすすめのカフェだった。さっくりと焼き上げられたスコーンにクロテッドクリームをたっぷりと付けて食べるのが堪らない。紅茶との相性もバッチリだ。
富入さんはスコーンを食べる私を見ながら満足げに目を細めた。
「あなた、本当に美味しそうに食べるわね」
「だって本当においしいんですもん」
「ふふ、あなたのそういうところ好きよ」
そう言ってから富入さんがすっと私の頬へと手を伸ばしてきた。きょとんとしていると呆れた様子で「付いてる」と紙ナプキンで頬に付いていたらしいクリームを拭ってくれる。ありがとうございますとへらりと笑えば、富入さんが眉を顰めた。
「……あなたって誰にでもそうなの?」
「え?」
「私だって男なんだから。ちょっとは警戒なさい」
それはそうなのかもしれない。元々男性は苦手だ。他の男の人だったら、二人で出かけることすら避けるだろう。
「でも、富入さんだし……」
「ふぅん」
さっきまで和やかだった空気が一瞬でぴしりと固まる。あれ、私何か怒らせるようなこと言った?
「確かにまずはお友達からと思っていたけれど、ここまで意識されていないとはね」
はぁ、と息を吐いた富入さんが真っ直ぐに私を見つめてくる。
「回りくどいのはあまり得意じゃないからやり方を変えるわ。私、あなたのことを恋愛対象として好きなの」
「……え、えっ!?」
「それとも、こんなおじさん嫌かしら?」
富入さんの指先がするりと私の手の甲を撫でた。触れたのはさっきと同じくらいの時間なのに、変に意識してしまって顔が熱い。
「えっと、私……」
「ああ、返事は今じゃなくていいの。でも早いほうがありがたいわね」
優雅に紅茶を飲んだ富入さんの唇が綺麗に弧を描く。
「じゃないと私、止まれそうにないから」
その言葉に、微笑みに思わずぞくりとしてしまう。
それからしばらく答えに悩んだ私が返事を先延ばしにしてしまい、富入さんの言葉通り、止まれなくなった大人の本気を見せられるのはもう少し後のお話。
転職を機に上京したものの慣れない環境に長い間友達一人作れずにいた私に、茶飲み友達ができる日が来ようとは。それも私よりずっと歳上の男性。あの頃の私が聞いたらびっくりして腰を抜かすに違いない。
「どうしたの?」
私の視線に気づいた彼が不思議そうに首を傾げた。ソーサーにティーカップを置く所作すら上品で思わず見惚れてしまう。
「富入さんと久々にお茶できて嬉しいなって」
「あら嬉しい」
正直に伝えると目の前に座る男性、富入さんが「私もよ」とゆるりと眦を下げた。
茶飲み友達である富入さんとは一年ほど前、とあるカフェで出会った。そのカフェは小さいながらも取り扱う茶葉の多さに定評があり、紅茶好きの私の行きつけで、富入さんもそこの常連だった。
寡黙なマスターとぽつぽつ紅茶の話をしていたら富入さんも会話に参加してきて盛り上がったっけ。そうして私たちはいつしかお互いの都合が合えばお茶をする、茶飲み友達になったのだ。
「ん、ここのスコーンおいしいですね」
「でしょう。あなたにぜひ食べてもらいたかったの」
今日訪れたのは富入さんおすすめのカフェだった。さっくりと焼き上げられたスコーンにクロテッドクリームをたっぷりと付けて食べるのが堪らない。紅茶との相性もバッチリだ。
富入さんはスコーンを食べる私を見ながら満足げに目を細めた。
「あなた、本当に美味しそうに食べるわね」
「だって本当においしいんですもん」
「ふふ、あなたのそういうところ好きよ」
そう言ってから富入さんがすっと私の頬へと手を伸ばしてきた。きょとんとしていると呆れた様子で「付いてる」と紙ナプキンで頬に付いていたらしいクリームを拭ってくれる。ありがとうございますとへらりと笑えば、富入さんが眉を顰めた。
「……あなたって誰にでもそうなの?」
「え?」
「私だって男なんだから。ちょっとは警戒なさい」
それはそうなのかもしれない。元々男性は苦手だ。他の男の人だったら、二人で出かけることすら避けるだろう。
「でも、富入さんだし……」
「ふぅん」
さっきまで和やかだった空気が一瞬でぴしりと固まる。あれ、私何か怒らせるようなこと言った?
「確かにまずはお友達からと思っていたけれど、ここまで意識されていないとはね」
はぁ、と息を吐いた富入さんが真っ直ぐに私を見つめてくる。
「回りくどいのはあまり得意じゃないからやり方を変えるわ。私、あなたのことを恋愛対象として好きなの」
「……え、えっ!?」
「それとも、こんなおじさん嫌かしら?」
富入さんの指先がするりと私の手の甲を撫でた。触れたのはさっきと同じくらいの時間なのに、変に意識してしまって顔が熱い。
「えっと、私……」
「ああ、返事は今じゃなくていいの。でも早いほうがありがたいわね」
優雅に紅茶を飲んだ富入さんの唇が綺麗に弧を描く。
「じゃないと私、止まれそうにないから」
その言葉に、微笑みに思わずぞくりとしてしまう。
それからしばらく答えに悩んだ私が返事を先延ばしにしてしまい、富入さんの言葉通り、止まれなくなった大人の本気を見せられるのはもう少し後のお話。
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