火鱗佐々木
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
毎年二月は女子に話しかけられる率が上がる。
「ねぇ佐々木」
「あの、佐々木くん」
捕まるのは大抵俺が一人の時。中には初めて話すようなやつもいて、揃いも揃って甘い声で話しかけてくるのがうざったい。お前ら普段そんな風に喋んねえだろ。
「何?」
俺に話しかける理由なんてわかりきっているが、一応訊く。以前つっけんどんに返したら女子多数を敵に回して大変なことになったのだ。
「これ」
女子が差し出してきたのはピンクのリボンのついた箱。
「オグンくんに渡してほしくて」
はい来たビンゴ。このやりとりも本日四回目。
自分で渡せよ、と喉まで出かかったのを何とか飲み込みそれを受け取ると、女子は嬉しそうにその場を後にした。俺は配達係じゃないっての。
別に羨ましい訳ではないが、いいように使われているようで腹が立つ。羨ましい訳ではない。決して。
「火鱗!」
ふいに名前を呼ばれて振り返ると、同じクラスの女子がいた。
「どした?」
「火鱗を探してて」
どうやら走ってきたらしい。顔が真っ赤だ。
何の用かと思っていると「これ」と四角い箱を押し付けられた。それが何かなんて訊かなくてもわかる。ちくりと胸が痛んだのは、心のどこかでこいつだけは違うだろうと思っていたからだ。
「あー、オグンに?」
「は?違うし。火鱗にだよ」
「はいはい了解……って、俺⁈」
「ねぇ佐々木」
「あの、佐々木くん」
捕まるのは大抵俺が一人の時。中には初めて話すようなやつもいて、揃いも揃って甘い声で話しかけてくるのがうざったい。お前ら普段そんな風に喋んねえだろ。
「何?」
俺に話しかける理由なんてわかりきっているが、一応訊く。以前つっけんどんに返したら女子多数を敵に回して大変なことになったのだ。
「これ」
女子が差し出してきたのはピンクのリボンのついた箱。
「オグンくんに渡してほしくて」
はい来たビンゴ。このやりとりも本日四回目。
自分で渡せよ、と喉まで出かかったのを何とか飲み込みそれを受け取ると、女子は嬉しそうにその場を後にした。俺は配達係じゃないっての。
別に羨ましい訳ではないが、いいように使われているようで腹が立つ。羨ましい訳ではない。決して。
「火鱗!」
ふいに名前を呼ばれて振り返ると、同じクラスの女子がいた。
「どした?」
「火鱗を探してて」
どうやら走ってきたらしい。顔が真っ赤だ。
何の用かと思っていると「これ」と四角い箱を押し付けられた。それが何かなんて訊かなくてもわかる。ちくりと胸が痛んだのは、心のどこかでこいつだけは違うだろうと思っていたからだ。
「あー、オグンに?」
「は?違うし。火鱗にだよ」
「はいはい了解……って、俺⁈」