市川レノ
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学生カップルがやるような、ささやかでありながらどこか甘酸っぱい日常に憧れた。例えば学校帰りにコンビニに寄って肉まんを半分こしたり、家までの道のりを惜しみながら手を繋いで歩いたり。
やらなかったのかって? それは、まあ。今まで恋人とかいたことないし。女子校ってなかなか出会いないんだよね。防衛隊に入ってからはそんな余裕なんてなかったし。
学校帰りにコンビニは寄ってたけど、友達と恋人は違うでしょ。経験したことないからあくまで想像だけど。
「で、なんで俺なんですか?」
基地から一番近いコンビニまでのんびりと歩いていると、並んで歩いていた市川くんが訊ねてきた。
「いま話した通りだよ」
十二月に入り、日に日に寒さが増してきた今日この頃。不意に肉まんが食べたいなと思いつき、同時に若かりし頃の憧れを思い出したのだ。
そしてそこに偶然且つ不運にも居合わせたのが新人隊員の市川レノくんだった。
「ちょうどいいところにちょうどいい子がいるなって」
「先輩にとって俺は都合のいい男だったってことですね」
「っ、言い方悪いな! 間違ってないけども」
「……そこは否定してくださいよ」
だって、その通りだから否定のしようもない。
たまたま居合わせた子がたまたま若い隊員で、決して、決して付き合ってはいないし下心も微塵もないけれど、だからこそ当時憧れた雰囲気くらいは味わえるかななんて。
「それで、これが先輩のしたかったことですか?」
コンビニでお目当てのものを買ってホクホク顔でビニール袋を覗く私に、市川くんが呆れたように言った。
「うん!」
元気な返事に彼は大きく肩を落とした。ビニール袋の中には肉まん、ピザまん、あんまん、期間限定のチャーシューまんに変わり種の焼き芋まんなどなど。
「はいこれ、市川くんの分ね」
私は手にしていた肉まんを半分に割って市川くんに差し出した。それから先に彼に渡していたピザまんの半分を早く早くと催促する。
「……思ってたのと違う」
「え?」
「肉まんを半分こするって、そもそもこんな大人買いみたいなことするもんじゃないでしょ」
「そうなの!? でも一個や二個じゃ足りなくない?」
今日の訓練は特にハードだったから、たくさん買っても二人ならペロリといけてしまいそうだと思ったのに。市川くんはそうじゃないと言いたげだ。
「よーくわかりました。先輩の憧れた青春とやらは甘酸っぱさより食欲が勝つんですね」
「何でそうなるのよ! ちゃんと青春っぽいでしょ」
寒空の下、男女二人。ほかほかと湯気を立てる中華まんを二人で半分こ。うん、間違いなくあの頃できなかった青春をしている。
自信満々の私に市川くんは今日一大きな溜め息を吐いた。
「あーはいはい、もうそれでいいです。ほら寒いんでとっとと食べてさっさと帰りますよ」
急にお母さんモードに入った市川くんが私からビニール袋を奪い、タイミングを見計らっては中華まんを半分こにして渡してくる。
美味しいけどなんか違う、と思いつつ色んな中華まんを堪能した私はそれなりに満足した。
けれどまさか、帰りに「したかったんじゃないんですか?」と市川くんに手を繋がれ、そのまま基地近くまで離してもらえなくなるとは夢にも思わなかったのだった。
やらなかったのかって? それは、まあ。今まで恋人とかいたことないし。女子校ってなかなか出会いないんだよね。防衛隊に入ってからはそんな余裕なんてなかったし。
学校帰りにコンビニは寄ってたけど、友達と恋人は違うでしょ。経験したことないからあくまで想像だけど。
「で、なんで俺なんですか?」
基地から一番近いコンビニまでのんびりと歩いていると、並んで歩いていた市川くんが訊ねてきた。
「いま話した通りだよ」
十二月に入り、日に日に寒さが増してきた今日この頃。不意に肉まんが食べたいなと思いつき、同時に若かりし頃の憧れを思い出したのだ。
そしてそこに偶然且つ不運にも居合わせたのが新人隊員の市川レノくんだった。
「ちょうどいいところにちょうどいい子がいるなって」
「先輩にとって俺は都合のいい男だったってことですね」
「っ、言い方悪いな! 間違ってないけども」
「……そこは否定してくださいよ」
だって、その通りだから否定のしようもない。
たまたま居合わせた子がたまたま若い隊員で、決して、決して付き合ってはいないし下心も微塵もないけれど、だからこそ当時憧れた雰囲気くらいは味わえるかななんて。
「それで、これが先輩のしたかったことですか?」
コンビニでお目当てのものを買ってホクホク顔でビニール袋を覗く私に、市川くんが呆れたように言った。
「うん!」
元気な返事に彼は大きく肩を落とした。ビニール袋の中には肉まん、ピザまん、あんまん、期間限定のチャーシューまんに変わり種の焼き芋まんなどなど。
「はいこれ、市川くんの分ね」
私は手にしていた肉まんを半分に割って市川くんに差し出した。それから先に彼に渡していたピザまんの半分を早く早くと催促する。
「……思ってたのと違う」
「え?」
「肉まんを半分こするって、そもそもこんな大人買いみたいなことするもんじゃないでしょ」
「そうなの!? でも一個や二個じゃ足りなくない?」
今日の訓練は特にハードだったから、たくさん買っても二人ならペロリといけてしまいそうだと思ったのに。市川くんはそうじゃないと言いたげだ。
「よーくわかりました。先輩の憧れた青春とやらは甘酸っぱさより食欲が勝つんですね」
「何でそうなるのよ! ちゃんと青春っぽいでしょ」
寒空の下、男女二人。ほかほかと湯気を立てる中華まんを二人で半分こ。うん、間違いなくあの頃できなかった青春をしている。
自信満々の私に市川くんは今日一大きな溜め息を吐いた。
「あーはいはい、もうそれでいいです。ほら寒いんでとっとと食べてさっさと帰りますよ」
急にお母さんモードに入った市川くんが私からビニール袋を奪い、タイミングを見計らっては中華まんを半分こにして渡してくる。
美味しいけどなんか違う、と思いつつ色んな中華まんを堪能した私はそれなりに満足した。
けれどまさか、帰りに「したかったんじゃないんですか?」と市川くんに手を繋がれ、そのまま基地近くまで離してもらえなくなるとは夢にも思わなかったのだった。
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