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「ただいまーって、寝てるん?」
真っ暗な寝室に差し込む一筋の光と、一週間振りに聞く恋人の声。それに気づいていながら私は頑なに眠っている振りをした。
別に意地悪をしたかったわけじゃない。ただ、たかだか出張で一週間会えなかったくらいでどうしようもなく寂しくなってしまったと悟られたくなかっただけだ。
同じ職場で働いているのだから、チリが忙しいことはよく知っている。出張帰りで疲れてもいるだろう。だからゆっくり休んでほしい、そう思うのに、今チリを見てしまったら私はきっと彼女に寂しかったと縋ってしまう。もういい大人なのに、彼女に甘えたくなってしまう。
チリのことだからそんな私の我儘さえも笑って受け止めてくれるだろうけど、甘えてばかりの私は果たして彼女の恋人にふさわしいと言えるだろうか。対等な関係だと胸を張って言えるだろうか。
せめて手のかからない恋人でありたい。そんなことを考えているとベッドの片側がギシリと沈み込んだ。どうやらチリが腰掛けたらしい。それから髪に、頬に、ひやりと冷たい指先が触れていく。最後に唇に触れたかと思うと、チリが私の名前を呼んだ。微かに熱を含んだ囁きに目を開けてしまいそうになる。
でも、だめ。我慢しなきゃ。このまま眠った振りをしておけばチリもそのうち私から離れていくはずだ。
そう、思ってたのに。突然ちゅっと額に柔らかいものが触れた。熱い吐息が肌にかかる。そしてそれはリップ音とともに次第に下へと降りてきて、とうとう私の唇を塞いだ。触れるだけの優しいキス。けれどそれも最初だけですぐに啄むようなものへと変わり、寝返りを打つ振りをして身を捩れば、逃げるなと言わんばかりに顔を掴まれて唇のあわいに舌を差し込まれた。そのまま両耳を塞がれ、わざとらしく音を立てて執拗に口内を犯される。
「んぅ……はぁ、チリ……」
彼女の名前を呼ぶと、繋がっていた銀糸がぷつりと切れた。滲む視界の先にいるチリは心なしかムッとしているように見える。
「なんや、やっぱ起きとるやん」
「ご、ごめん」
「何で寝たふりなんてしとったん? そんなんされたらチリちゃん寂しいやんか」
「だって……」
チリに甘えるだけの恋人でいたくない。ちゃんと独り立ちして、並んで歩いても恥ずかしくないような恋人でいたい。そんな思いをぽつぽつと伝えると、チリはわしわしと頭を掻いて大きな溜息をついた。
「ほんまアホやなぁ。ぜーんぶチリちゃんがしたくてしとるだけやのに」
「でも、私いつも甘えてばかりで」
「ええ言うとるやん。何ならもっと甘えてほしいし、どろっどろに甘やかしたい」
「えっ」
今、何やら不穏なワードが聞こえたような。けれどチリはそんな私を無視して、いいことを思いついたとばかりに手を叩いた。
「せや、甘えんのが申し訳ないって思うんやったら、今日はチリちゃんの我儘聞いてくれへん?」
そう言ってチリが自身のネクタイに手を掛けた。しゅるりと衣擦れの音がする。これは、今からそういうことをする合図だ。
「待ってチリ、出張帰りで疲れてるでしょ」
制止しようと伸ばした両手はチリに絡め取られ、そのままシーツに縫い止められてしまった。こうなると体格差でもう私にはどうにもできなくなる。
チリはぐっと私にのしかかって、熱のこもった赤い瞳を細めた。
「んー、ヘトヘト。せやから、いーっぱい充電させてな」
何が我儘聞いて、よ。甘やかす気満々の目をして。
私は唇を尖らせながらも、結局はチリの気が済むまで一方的に甘やかされたのだった。
真っ暗な寝室に差し込む一筋の光と、一週間振りに聞く恋人の声。それに気づいていながら私は頑なに眠っている振りをした。
別に意地悪をしたかったわけじゃない。ただ、たかだか出張で一週間会えなかったくらいでどうしようもなく寂しくなってしまったと悟られたくなかっただけだ。
同じ職場で働いているのだから、チリが忙しいことはよく知っている。出張帰りで疲れてもいるだろう。だからゆっくり休んでほしい、そう思うのに、今チリを見てしまったら私はきっと彼女に寂しかったと縋ってしまう。もういい大人なのに、彼女に甘えたくなってしまう。
チリのことだからそんな私の我儘さえも笑って受け止めてくれるだろうけど、甘えてばかりの私は果たして彼女の恋人にふさわしいと言えるだろうか。対等な関係だと胸を張って言えるだろうか。
せめて手のかからない恋人でありたい。そんなことを考えているとベッドの片側がギシリと沈み込んだ。どうやらチリが腰掛けたらしい。それから髪に、頬に、ひやりと冷たい指先が触れていく。最後に唇に触れたかと思うと、チリが私の名前を呼んだ。微かに熱を含んだ囁きに目を開けてしまいそうになる。
でも、だめ。我慢しなきゃ。このまま眠った振りをしておけばチリもそのうち私から離れていくはずだ。
そう、思ってたのに。突然ちゅっと額に柔らかいものが触れた。熱い吐息が肌にかかる。そしてそれはリップ音とともに次第に下へと降りてきて、とうとう私の唇を塞いだ。触れるだけの優しいキス。けれどそれも最初だけですぐに啄むようなものへと変わり、寝返りを打つ振りをして身を捩れば、逃げるなと言わんばかりに顔を掴まれて唇のあわいに舌を差し込まれた。そのまま両耳を塞がれ、わざとらしく音を立てて執拗に口内を犯される。
「んぅ……はぁ、チリ……」
彼女の名前を呼ぶと、繋がっていた銀糸がぷつりと切れた。滲む視界の先にいるチリは心なしかムッとしているように見える。
「なんや、やっぱ起きとるやん」
「ご、ごめん」
「何で寝たふりなんてしとったん? そんなんされたらチリちゃん寂しいやんか」
「だって……」
チリに甘えるだけの恋人でいたくない。ちゃんと独り立ちして、並んで歩いても恥ずかしくないような恋人でいたい。そんな思いをぽつぽつと伝えると、チリはわしわしと頭を掻いて大きな溜息をついた。
「ほんまアホやなぁ。ぜーんぶチリちゃんがしたくてしとるだけやのに」
「でも、私いつも甘えてばかりで」
「ええ言うとるやん。何ならもっと甘えてほしいし、どろっどろに甘やかしたい」
「えっ」
今、何やら不穏なワードが聞こえたような。けれどチリはそんな私を無視して、いいことを思いついたとばかりに手を叩いた。
「せや、甘えんのが申し訳ないって思うんやったら、今日はチリちゃんの我儘聞いてくれへん?」
そう言ってチリが自身のネクタイに手を掛けた。しゅるりと衣擦れの音がする。これは、今からそういうことをする合図だ。
「待ってチリ、出張帰りで疲れてるでしょ」
制止しようと伸ばした両手はチリに絡め取られ、そのままシーツに縫い止められてしまった。こうなると体格差でもう私にはどうにもできなくなる。
チリはぐっと私にのしかかって、熱のこもった赤い瞳を細めた。
「んー、ヘトヘト。せやから、いーっぱい充電させてな」
何が我儘聞いて、よ。甘やかす気満々の目をして。
私は唇を尖らせながらも、結局はチリの気が済むまで一方的に甘やかされたのだった。