優一郎黒野
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名前を呼ばれて振り向いたら、いつも以上に黒野先輩の顔が近くにあった。先輩は珍しく驚いているようで、爬虫類みたいな目がぱちくりと瞬く。
ああ、これは。いわゆる事故チューとかいうやつだ。
遅れてきた思考に私は慌てて顔を背ける。
「すみません、今のは犬に噛まれたと思って忘れてください」
これは不注意やら不運やらが重なった不慮の事故。付き合っているわけではないのだし、なかったことにするのが一番だ。
聞いたことはないけれど、黒野先輩にも恋人や好きな人がいるかもしれないし、私とするのは不本意だろう。
「お前は忘れるのか?」
簡単に、とは言えない。でも時間が経てば、そんなこともあったなくらいに思える日が来るはずだ。
「そう、ですね。事故みたいなものですし」
私の返事を聞いて黒野先輩は少しばかり考えるような素振りを見せて、
「事故でなければいいんだな」
「へ?」
先輩が私を挟むようにデスクに両手をついた。急にどうしたのかと見上げると、金色の瞳が揺らいで、呼吸を奪われる。
やけに大きく聞こえたリップ音にじわじわと熱が上がるのを感じた。
「ちょ、何するんですか、先ぱ……」
「事故でなければ忘れないんだろう?」
「何言って……んぅっ」
私の言葉は再び黒野先輩に飲み込まれた。触れるだけの口付けが噛みつくようなものに変わる。抵抗するもオフィスチェアがガタガタと虚しい音を立てるだけで、何の意味もなさない。
ようやく解放されたころには呼吸もままならなくて、私は先輩に縋るように体を預けていた。言いたいことも聞きたいことも山ほどあるのに、ぼーっとして頭が回らない。
「これでもまだ忘れるか?」
降ってきた声に肩で息をしながら反論する。
「っ、忘れられるわけないじゃないですか!」
「ならいい」
思い切り睨めつけたのに、黒野先輩は何故か満足げで、濡れる私の眦にキスを落としたのだった。
ああ、これは。いわゆる事故チューとかいうやつだ。
遅れてきた思考に私は慌てて顔を背ける。
「すみません、今のは犬に噛まれたと思って忘れてください」
これは不注意やら不運やらが重なった不慮の事故。付き合っているわけではないのだし、なかったことにするのが一番だ。
聞いたことはないけれど、黒野先輩にも恋人や好きな人がいるかもしれないし、私とするのは不本意だろう。
「お前は忘れるのか?」
簡単に、とは言えない。でも時間が経てば、そんなこともあったなくらいに思える日が来るはずだ。
「そう、ですね。事故みたいなものですし」
私の返事を聞いて黒野先輩は少しばかり考えるような素振りを見せて、
「事故でなければいいんだな」
「へ?」
先輩が私を挟むようにデスクに両手をついた。急にどうしたのかと見上げると、金色の瞳が揺らいで、呼吸を奪われる。
やけに大きく聞こえたリップ音にじわじわと熱が上がるのを感じた。
「ちょ、何するんですか、先ぱ……」
「事故でなければ忘れないんだろう?」
「何言って……んぅっ」
私の言葉は再び黒野先輩に飲み込まれた。触れるだけの口付けが噛みつくようなものに変わる。抵抗するもオフィスチェアがガタガタと虚しい音を立てるだけで、何の意味もなさない。
ようやく解放されたころには呼吸もままならなくて、私は先輩に縋るように体を預けていた。言いたいことも聞きたいことも山ほどあるのに、ぼーっとして頭が回らない。
「これでもまだ忘れるか?」
降ってきた声に肩で息をしながら反論する。
「っ、忘れられるわけないじゃないですか!」
「ならいい」
思い切り睨めつけたのに、黒野先輩は何故か満足げで、濡れる私の眦にキスを落としたのだった。