優一郎黒野
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赤いリボンにポニーテール。「私とお揃いね」なんて、結ってくれた先輩の言葉に一瞬でも喜んだ私がばかだった。気づけばドミニオンズに取り押さえられ、動けないよう、逃げられないようロープで縛られて。
「黒野くん、今日機嫌悪いのよね。この後仕事が一緒なんだけど、こっちに八つ当たりされたら困るでしょう? だからお願い」と天使の笑顔を貼り付けた先輩は、容赦なく私を最狂の死神の前に放り投げた。最悪だ。意味がわからない。
最狂の死神こと黒野先輩は一瞬眉を顰めてから、自由を奪われ床に転がるしかできない私の元へとやって来た。機嫌が悪いのは本当らしく、当然のように足蹴にされる。
「何をしている」
「こっちが聞きたいです」
とはいえこの事態を引き起こした張本人である先輩はドミニオンズとともにさっさとどこかに行ってしまった。追いかけて問い詰めるにもこの状態ではーー。
「黒野先輩、ロープ解いてもらってもいいですか?」
「それは……できない相談だな」
どうしてと問うより先に、目の前に一枚の紙を突きつけられる。名刺サイズのそれはよくよく見ればケーキやプレゼントの絵の描かれたメッセージカードのようで。
「はっぴーばーすでー? ぷれぜんとふぉーゆー?」
書かれた英語をそのまま読めば黒野先輩が三日月に似た目を細め「そういうことだ」と転がる私を担ぎ上げた。
「ちょ、何なんですか急に!?」
「今日は俺の誕生日だ」
「はぁ、それはおめでとうございます」
「そしてお前にこのメッセージカードが貼られていた」
「……はぁ!?」
赤いリボンに誕生日のメッセージカード。なんとなくそんな予感はしていたけれど、私は黒野先輩のご機嫌取り用の誕生日プレゼントとして捧げられたらしい。いや、犠牲になったが正しいだろうか。
それが功を奏したのかどうかわからないけれど、私を担ぎながらどこかへと移動する黒野先輩の足取りは心なしか軽いように見える。
ーーああ、太陽神様ホトケ様。
私はこの先どうなってしまうのだろう。誰でもいいから助けてくれないだろうか。
そう心の中で祈ろうとして、代わりに諦めたように息を吐く。
この世には太陽神様も原国のホトケ様とやらもいやしない。いるとすれば目の前にいる『死神』くらいなもので、だからこそ、私が助かるはずもないのだ。
「黒野くん、今日機嫌悪いのよね。この後仕事が一緒なんだけど、こっちに八つ当たりされたら困るでしょう? だからお願い」と天使の笑顔を貼り付けた先輩は、容赦なく私を最狂の死神の前に放り投げた。最悪だ。意味がわからない。
最狂の死神こと黒野先輩は一瞬眉を顰めてから、自由を奪われ床に転がるしかできない私の元へとやって来た。機嫌が悪いのは本当らしく、当然のように足蹴にされる。
「何をしている」
「こっちが聞きたいです」
とはいえこの事態を引き起こした張本人である先輩はドミニオンズとともにさっさとどこかに行ってしまった。追いかけて問い詰めるにもこの状態ではーー。
「黒野先輩、ロープ解いてもらってもいいですか?」
「それは……できない相談だな」
どうしてと問うより先に、目の前に一枚の紙を突きつけられる。名刺サイズのそれはよくよく見ればケーキやプレゼントの絵の描かれたメッセージカードのようで。
「はっぴーばーすでー? ぷれぜんとふぉーゆー?」
書かれた英語をそのまま読めば黒野先輩が三日月に似た目を細め「そういうことだ」と転がる私を担ぎ上げた。
「ちょ、何なんですか急に!?」
「今日は俺の誕生日だ」
「はぁ、それはおめでとうございます」
「そしてお前にこのメッセージカードが貼られていた」
「……はぁ!?」
赤いリボンに誕生日のメッセージカード。なんとなくそんな予感はしていたけれど、私は黒野先輩のご機嫌取り用の誕生日プレゼントとして捧げられたらしい。いや、犠牲になったが正しいだろうか。
それが功を奏したのかどうかわからないけれど、私を担ぎながらどこかへと移動する黒野先輩の足取りは心なしか軽いように見える。
ーーああ、太陽神様ホトケ様。
私はこの先どうなってしまうのだろう。誰でもいいから助けてくれないだろうか。
そう心の中で祈ろうとして、代わりに諦めたように息を吐く。
この世には太陽神様も原国のホトケ様とやらもいやしない。いるとすれば目の前にいる『死神』くらいなもので、だからこそ、私が助かるはずもないのだ。
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