優一郎黒野
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「はあ」
椅子の背もたれにこれでもかと体重を掛け、黒野先輩が天井を仰ぐ。無防備な喉仏を見るとつい悪戯したくなるのだが、そんなことをしたら今日が私の命日になるので妄想だけで我慢しておく。
「お疲れ様です。ナタク君も無事回収できたみたいですね」
「ああ、やる気が出なくて大変だった。それにしてもいいなお前は。俺が強いのと戦っている間にぬくぬくとデスクワークか」
「私は無能力者なので。戦場に出たら一番に死にますよ」
「それは、駄目だ。いじめる奴がいなくなるのは困る」
「私も死ぬより先輩にいじめられる方がまだマシですね」
「両思いだな」
「ははっ、バカなこと言ってないで早く報告書書いちゃってください」
乾ききった私の笑いに先輩がちろりと視線を寄越す。何か言いたげな顔をして、一際大きな溜め息を零すのだから失礼極まりない。
「俺はバカか?」
「は?」
「今日社長にもバカと言われた。しかも二度もだ。俺は弱い奴を最優先にと行動しただけなのに」
現場にいた訳ではないけれど、黒野先輩が一目散に弱者に突進していく姿が容易に想像できてしまって苦笑する。この人は、そういう人だ。
「社長の命令はナタク孫のすみやかな回収だったのでは?」
先輩が本気になればもっと早く片付いて、社長にバカと言われることもなかっただろうに。
「俺の仕事は弱い奴をいたぶることだ」
正確にはここにいる子どもたちの実験相手、だけども。相変わらずブレない人だ。
黒野先輩はその後も「労働条件違反だ」だとか「給料に見合ってない」だとかぶつくさ言っていて、まだまだ終わりそうになかったので、とりあえず私は二人分の珈琲を淹れに行くことにした。
椅子の背もたれにこれでもかと体重を掛け、黒野先輩が天井を仰ぐ。無防備な喉仏を見るとつい悪戯したくなるのだが、そんなことをしたら今日が私の命日になるので妄想だけで我慢しておく。
「お疲れ様です。ナタク君も無事回収できたみたいですね」
「ああ、やる気が出なくて大変だった。それにしてもいいなお前は。俺が強いのと戦っている間にぬくぬくとデスクワークか」
「私は無能力者なので。戦場に出たら一番に死にますよ」
「それは、駄目だ。いじめる奴がいなくなるのは困る」
「私も死ぬより先輩にいじめられる方がまだマシですね」
「両思いだな」
「ははっ、バカなこと言ってないで早く報告書書いちゃってください」
乾ききった私の笑いに先輩がちろりと視線を寄越す。何か言いたげな顔をして、一際大きな溜め息を零すのだから失礼極まりない。
「俺はバカか?」
「は?」
「今日社長にもバカと言われた。しかも二度もだ。俺は弱い奴を最優先にと行動しただけなのに」
現場にいた訳ではないけれど、黒野先輩が一目散に弱者に突進していく姿が容易に想像できてしまって苦笑する。この人は、そういう人だ。
「社長の命令はナタク孫のすみやかな回収だったのでは?」
先輩が本気になればもっと早く片付いて、社長にバカと言われることもなかっただろうに。
「俺の仕事は弱い奴をいたぶることだ」
正確にはここにいる子どもたちの実験相手、だけども。相変わらずブレない人だ。
黒野先輩はその後も「労働条件違反だ」だとか「給料に見合ってない」だとかぶつくさ言っていて、まだまだ終わりそうになかったので、とりあえず私は二人分の珈琲を淹れに行くことにした。