辻新之助
夢小説設定
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女の人が苦手だ。でも、平気な人もいる。ひゃみさんや鳩原先輩なんかは大丈夫。あと目の前ですやすやと気持ちよさそうに眠る、幼馴染みも。
「んん……」
ごろりと幼馴染みが寝返りを打った。その拍子に床に着いていた俺の手と彼女の指先が触れて思わずびくりと肩を震わせる。それからゆっくりと距離を取って、ようやく詰めていた息を吐いた。よかった、幼馴染みに起きる気配はない。
ドキドキと鳴る心臓を宥めながら、ぐっすりと眠る幼馴染みの顔を見る。夏休みの宿題をしに来たくせに、おやつを食べたらすぐこれだ。むにゃむにゃと口元を動かして、時折ふへっと笑って。全くどんな夢を見ているのやら。
「……しん、ちゃん」
くすりと笑ったのがバレたのだろうか。不意に彼女の唇が俺の名前を紡ぐ。「それ、私のシュークリーム……」「さっき食べたでしょ」呆れたように言えば、彼女はまたふへっと笑った。顔にかかった髪がむにゃむにゃと動く口に入りそうで、払おうと手を伸ばす。けれど、できなかった。正確には、少し前までは平気だったのに、できなくなってしまった。触れるだけで壊れそうになる心臓、見つめられれば逸らしてしまう視線。他の女の人みたいに幼馴染みのことを苦手になったのかと問われれば、それは違う。だって、そうでなければ逃げ出したいのに傍にいたいだなんて、相反する感情を抱いたりしないはずだ。そしてこの感情が何なのか、わからないほど俺は鈍くはない。俺は、彼女のことをーー。
「んー……」
もそりと彼女が動いて咄嗟に後ずさる。目が覚めたのか彼女はゆっくりと起き上がり、無言のまま数度瞬きを繰り返していた。ぼーっとしている。覚醒には至っていないらしい。そのまま行く末を見守っていると、彼女はタオルケットを身に纏い、再び横になった。もうひと眠りするつもりだろうか。そう思った矢先、「あ、ちょ……!」突然彼女がゴロゴロとこちらに向かって転がり始めた。そのまま止める間もなく、俺の膝に彼女がぶつかる。
「いっ?!」
「だ、大丈夫?!」
返事はない。代わりにすやすやと寝息が聞こえてきた。本当によく寝れるな。
恐る恐る手を伸ばし、気持ちよさそうに眠る彼女の髪に触れた。さらりとした髪は触り心地が良い。ずっと触れていたかったけれど、やっぱり心臓が堪えらなくて、数秒で手を引いた。バクバクと心音が煩くて、彼女が起きてしまうんじゃないかと心配になる。そんな心配は無用とばかりに彼女は寝息を立てているのだけど。
「さすがに無防備すぎ」
きゅっと体育座りをして、眠る彼女に小言を言う。きっと彼女にとって俺はただの幼馴染みなんだろう。でなければ、こんなにも堂々と異性の前で眠れるはずがない。信頼してくれているのは嬉しいけれど、自分の気持ちに気づいた今となっては正直複雑だ。
ーーもし俺が想いを伝えたら、少しは異性として見てくれるだろうか。
触れただけで心臓が壊れそうなのだから、想いを伝えられるのはきっと、当分先のこと。
でもその時は彼女の目を見て、伝えられたらいいと思う。
「んん……」
ごろりと幼馴染みが寝返りを打った。その拍子に床に着いていた俺の手と彼女の指先が触れて思わずびくりと肩を震わせる。それからゆっくりと距離を取って、ようやく詰めていた息を吐いた。よかった、幼馴染みに起きる気配はない。
ドキドキと鳴る心臓を宥めながら、ぐっすりと眠る幼馴染みの顔を見る。夏休みの宿題をしに来たくせに、おやつを食べたらすぐこれだ。むにゃむにゃと口元を動かして、時折ふへっと笑って。全くどんな夢を見ているのやら。
「……しん、ちゃん」
くすりと笑ったのがバレたのだろうか。不意に彼女の唇が俺の名前を紡ぐ。「それ、私のシュークリーム……」「さっき食べたでしょ」呆れたように言えば、彼女はまたふへっと笑った。顔にかかった髪がむにゃむにゃと動く口に入りそうで、払おうと手を伸ばす。けれど、できなかった。正確には、少し前までは平気だったのに、できなくなってしまった。触れるだけで壊れそうになる心臓、見つめられれば逸らしてしまう視線。他の女の人みたいに幼馴染みのことを苦手になったのかと問われれば、それは違う。だって、そうでなければ逃げ出したいのに傍にいたいだなんて、相反する感情を抱いたりしないはずだ。そしてこの感情が何なのか、わからないほど俺は鈍くはない。俺は、彼女のことをーー。
「んー……」
もそりと彼女が動いて咄嗟に後ずさる。目が覚めたのか彼女はゆっくりと起き上がり、無言のまま数度瞬きを繰り返していた。ぼーっとしている。覚醒には至っていないらしい。そのまま行く末を見守っていると、彼女はタオルケットを身に纏い、再び横になった。もうひと眠りするつもりだろうか。そう思った矢先、「あ、ちょ……!」突然彼女がゴロゴロとこちらに向かって転がり始めた。そのまま止める間もなく、俺の膝に彼女がぶつかる。
「いっ?!」
「だ、大丈夫?!」
返事はない。代わりにすやすやと寝息が聞こえてきた。本当によく寝れるな。
恐る恐る手を伸ばし、気持ちよさそうに眠る彼女の髪に触れた。さらりとした髪は触り心地が良い。ずっと触れていたかったけれど、やっぱり心臓が堪えらなくて、数秒で手を引いた。バクバクと心音が煩くて、彼女が起きてしまうんじゃないかと心配になる。そんな心配は無用とばかりに彼女は寝息を立てているのだけど。
「さすがに無防備すぎ」
きゅっと体育座りをして、眠る彼女に小言を言う。きっと彼女にとって俺はただの幼馴染みなんだろう。でなければ、こんなにも堂々と異性の前で眠れるはずがない。信頼してくれているのは嬉しいけれど、自分の気持ちに気づいた今となっては正直複雑だ。
ーーもし俺が想いを伝えたら、少しは異性として見てくれるだろうか。
触れただけで心臓が壊れそうなのだから、想いを伝えられるのはきっと、当分先のこと。
でもその時は彼女の目を見て、伝えられたらいいと思う。
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