薫る花は凛と咲く
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私には彼氏がいる。それもすごくかわいい彼氏が。
名前は依田絢斗くん。お嬢様学校で有名なあの桔梗学園に隣立つ千鳥高校の生徒だ。千鳥高校といえば偏差値が底辺でガラの悪い人が多い印象だったけれど、彼はどちらかといえば正反対。小柄で女の私から見ても可愛らしい容姿に、人を惹きつける朗らかな笑顔。本人も「僕、平和主義なんだよね」とのたまうほどで、正直千鳥でやっていけているのか不安だ。いじめられたりしてない? と訊いたら「ないない!」と笑っていたので多分大丈夫なんだろうけど。
「どうかした?」
ついじっと見つめすぎていたらしい。んあ、と大きな口を開けてハンバーガーを食べようとしていた依田くんの手が止まる。
「かわいいなって思ってただけ」
「えー、かっこいいって言ってよ」
見た目の割によく食べるところとか、意外と大きな口だとか。そういうところはやっぱり男の子だなって感じるけれど、どうしてもかわいいが勝る。拗ねるところも、子どもっぽくてかわいい。
付き合って数か月経つけれど、どうして私がこんなかわいい男の子と恋人になったのか今でも不思議に思う。出会いはバイト先。私はバーガーショップの店員で、依田くんはお客さんだった。「このクーポン使えますか?」と目をキラキラさせながらポテト半額券を持ってくる男の子。一目でポテトが好きなんだなとわかるその子は、ちょっと見た目の怖い男の子たちとともに毎回山ほどポテトを食べていた。たまにハンバーガーも食べていたけれど、注文には必ずポテトが入っていて、いつしか「いつものですか?」「はい、いつもので」とレジで言い合う関係になり、ある時「バイト何時に終わりますか?」と訊ねられ……。あの時の告白はかっこよかったなと思い出し、私は照れを隠すようにポテトを口に運んだ。
「僕もポテト欲しいな」
「はい、どうぞ」
「あ!」
「え、なに?」
「ケチャップ付いてる」
依田くんがここ、と自身の口元を指差した。「取れた?」「取れてない」「ええ……」いまいちどこかわからず苦戦していると、向かいからスッと依田くんの手が伸びてきて私の唇に触れる。
「ここ」
依田くんが僅かに目を細め、低く落ち着いた声が耳に届いた。紙ナプキン越しだったけれど、ふに、と唇に彼の指先が触れる感触がしてドギマギする。「あ、ありがとう」お礼は見事に裏返り、依田くんはくすくすと笑っていた。
「そんなんでこの先どうするの」
「えっ⁈」
依田くんの言うこの先を想像してしまい、真っ赤になる私に彼は今度はお腹を抱えて笑っていた。
「僕より君のほうがずっとかわいいと思うよ」
涙目になりながらそう言う依田くんはやっぱりかわいかった。けれどそれだけじゃないと知ったのはつい最近。
私の彼氏はかわいくて、たまにずるくてかっこいい。
名前は依田絢斗くん。お嬢様学校で有名なあの桔梗学園に隣立つ千鳥高校の生徒だ。千鳥高校といえば偏差値が底辺でガラの悪い人が多い印象だったけれど、彼はどちらかといえば正反対。小柄で女の私から見ても可愛らしい容姿に、人を惹きつける朗らかな笑顔。本人も「僕、平和主義なんだよね」とのたまうほどで、正直千鳥でやっていけているのか不安だ。いじめられたりしてない? と訊いたら「ないない!」と笑っていたので多分大丈夫なんだろうけど。
「どうかした?」
ついじっと見つめすぎていたらしい。んあ、と大きな口を開けてハンバーガーを食べようとしていた依田くんの手が止まる。
「かわいいなって思ってただけ」
「えー、かっこいいって言ってよ」
見た目の割によく食べるところとか、意外と大きな口だとか。そういうところはやっぱり男の子だなって感じるけれど、どうしてもかわいいが勝る。拗ねるところも、子どもっぽくてかわいい。
付き合って数か月経つけれど、どうして私がこんなかわいい男の子と恋人になったのか今でも不思議に思う。出会いはバイト先。私はバーガーショップの店員で、依田くんはお客さんだった。「このクーポン使えますか?」と目をキラキラさせながらポテト半額券を持ってくる男の子。一目でポテトが好きなんだなとわかるその子は、ちょっと見た目の怖い男の子たちとともに毎回山ほどポテトを食べていた。たまにハンバーガーも食べていたけれど、注文には必ずポテトが入っていて、いつしか「いつものですか?」「はい、いつもので」とレジで言い合う関係になり、ある時「バイト何時に終わりますか?」と訊ねられ……。あの時の告白はかっこよかったなと思い出し、私は照れを隠すようにポテトを口に運んだ。
「僕もポテト欲しいな」
「はい、どうぞ」
「あ!」
「え、なに?」
「ケチャップ付いてる」
依田くんがここ、と自身の口元を指差した。「取れた?」「取れてない」「ええ……」いまいちどこかわからず苦戦していると、向かいからスッと依田くんの手が伸びてきて私の唇に触れる。
「ここ」
依田くんが僅かに目を細め、低く落ち着いた声が耳に届いた。紙ナプキン越しだったけれど、ふに、と唇に彼の指先が触れる感触がしてドギマギする。「あ、ありがとう」お礼は見事に裏返り、依田くんはくすくすと笑っていた。
「そんなんでこの先どうするの」
「えっ⁈」
依田くんの言うこの先を想像してしまい、真っ赤になる私に彼は今度はお腹を抱えて笑っていた。
「僕より君のほうがずっとかわいいと思うよ」
涙目になりながらそう言う依田くんはやっぱりかわいかった。けれどそれだけじゃないと知ったのはつい最近。
私の彼氏はかわいくて、たまにずるくてかっこいい。
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