蘇枋隼飛
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「そういえば、蘇枋くんって日本語以外も喋れるんだよね?」
愛らしい瞳をキラキラさせて俺を見つめる彼女は、絶賛試験勉強中だ。教科は英語。彼女の苦手科目らしく、わかる範囲で教えていたのだが、どうやら集中力が切れてしまったらしい。完全に手が止まってしまっている。
「話せないことはないけど……」
この話を彼女にした覚えはないから、多分にれ君にでも聞いたんだろう。でもいつ聞いたのかな? 俺、知らないんだけど。と、一瞬心がもやっとしたがそれは一旦置いておく。
今はぷつりと切れてしまった彼女の集中力をどう取り戻すかのほうが肝心だ。彼女は今度の試験結果によっては塾に通うことになるらしい。そうなると今よりも会える時間が減ってしまう。できるならそれは避けたい。
ちらりと様子を窺うと、彼女はいまだ俺に尊敬と羨望の眼差しを向けていた。その中には僅かな期待も見てとれた。
「聞きたいの?」
「うん、聞きたい!」
「じゃあ少しだけ」
そっと手を伸ばして、彼女の手に自分のを重ねる。すり、と滑らかな甲を撫でるとくすぐったさに彼女が微かに身体を震わせた。
「す、蘇枋く……」
「我爱你」
短く告げたその言葉を、恐らく彼女は何ひとつ理解していない。
そのはずなのに、みるみる内に彼女が赤く染まっていくものだから、俺は思わず吹き出してしまった。
「可爱」
「え、なに?」
「好可爱」
「もー、わかんないよー」
「わからないのに、そんなに真っ赤なんだ」
「わかんないけど、蘇枋くんがこっちが照れるようなこと言ってるのはわかる」
「えー、俺そんなこと言ってないよ」
「うそ! そういう時の顔してた」
ぱたぱたと火照る顔を手で扇ぎながら、彼女はむぅと不満げに頬を膨らませていた。それがやっぱり可愛くて、もっといじめたくなって。
「ねえ。さっきの、日本語で言おうか」
そう訊けば、彼女は全力で首を横に振り、
「い、いい! 勉強するから邪魔しないで」
「それは残念」
さっきまで俺に向けられていた熱い視線は、英語の問題集が独り占めすることとなった。彼女はうーんと唸りながら、こちらには目もくれず問題集と睨めっこしている。勉強に集中させたかったのは本当だが、正直面白くない。
次に彼女の集中力が途切れたら、あの言葉を、今度は日本語で言ってみようか。
きっとさっきよりも顔を赤くしてーー。いや、やっぱり試験が終わってからにしよう。
じゃないと多分、俺の歯止めがきかなくなる。
愛らしい瞳をキラキラさせて俺を見つめる彼女は、絶賛試験勉強中だ。教科は英語。彼女の苦手科目らしく、わかる範囲で教えていたのだが、どうやら集中力が切れてしまったらしい。完全に手が止まってしまっている。
「話せないことはないけど……」
この話を彼女にした覚えはないから、多分にれ君にでも聞いたんだろう。でもいつ聞いたのかな? 俺、知らないんだけど。と、一瞬心がもやっとしたがそれは一旦置いておく。
今はぷつりと切れてしまった彼女の集中力をどう取り戻すかのほうが肝心だ。彼女は今度の試験結果によっては塾に通うことになるらしい。そうなると今よりも会える時間が減ってしまう。できるならそれは避けたい。
ちらりと様子を窺うと、彼女はいまだ俺に尊敬と羨望の眼差しを向けていた。その中には僅かな期待も見てとれた。
「聞きたいの?」
「うん、聞きたい!」
「じゃあ少しだけ」
そっと手を伸ばして、彼女の手に自分のを重ねる。すり、と滑らかな甲を撫でるとくすぐったさに彼女が微かに身体を震わせた。
「す、蘇枋く……」
「我爱你」
短く告げたその言葉を、恐らく彼女は何ひとつ理解していない。
そのはずなのに、みるみる内に彼女が赤く染まっていくものだから、俺は思わず吹き出してしまった。
「可爱」
「え、なに?」
「好可爱」
「もー、わかんないよー」
「わからないのに、そんなに真っ赤なんだ」
「わかんないけど、蘇枋くんがこっちが照れるようなこと言ってるのはわかる」
「えー、俺そんなこと言ってないよ」
「うそ! そういう時の顔してた」
ぱたぱたと火照る顔を手で扇ぎながら、彼女はむぅと不満げに頬を膨らませていた。それがやっぱり可愛くて、もっといじめたくなって。
「ねえ。さっきの、日本語で言おうか」
そう訊けば、彼女は全力で首を横に振り、
「い、いい! 勉強するから邪魔しないで」
「それは残念」
さっきまで俺に向けられていた熱い視線は、英語の問題集が独り占めすることとなった。彼女はうーんと唸りながら、こちらには目もくれず問題集と睨めっこしている。勉強に集中させたかったのは本当だが、正直面白くない。
次に彼女の集中力が途切れたら、あの言葉を、今度は日本語で言ってみようか。
きっとさっきよりも顔を赤くしてーー。いや、やっぱり試験が終わってからにしよう。
じゃないと多分、俺の歯止めがきかなくなる。