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前の席の国見くんは塩キャラメルが好きらしい。それもすっごく好きらしい。直接聞いたことはないけれど、多分そう。
だって、クラスの子が「ひとつくれ」って言っても断るし、同じバレー部の子が言っても「やだ」って一刀両断だったし。よっぽど好きなんだろうなあ。私も好きなお菓子は独り占めしたくなるから気持ちはわかる。
休憩時間になると国見くんはよく塩キャラメルを食べている。後ろの席だとそれがよく見えて、片方の頬っぺたが少し膨らんで、ころりと口の中で転がしたり、もきゅもきゅと味わっていたり。それがなんだか可愛くて、私の密かな楽しみになってたりするのである。後ろの席万歳!
今日も国見くんは塩キャラメルを食べていた。ちょうど二限目終わりで、小腹が空いたのかもしれない。左の頬っぺたが僅かにふっくらしていて、昨日観たハムスターの動画もあんな感じだったなぁと一人思い出し笑いしていると、突然「ねえ」と声をかけられた。
「ひゃい⁈」
びっくりしすぎて声が裏返った。前を向いていたはずの国見くんが、いつの間にか後ろを、私のほうを見ている。
「あ、聞こえてた。てか、大丈夫? 今思い切り足ぶつけてなかった?」
気づいてないといいな、という淡い期待は一瞬で砕かれた。驚いた拍子に机に足をぶつけたの、やっぱりバレてたか。恥ずかしい。
「だ、大丈夫。何だった?」
「うん。手」
「手?」
「手、出して」
国見くんに促されるまま手を差し出す。何だろうと思っていると、彼はポケットから小さな箱を取り出して数回上下に振った。見覚えのあるパッケージ。後ろの席から何度も見た、国見くんの大好きな塩キャラメルの箱だ。そこからころり、ころりと四角の粒がいくつか零れ落ちる。
「え、わわっ」
「あげる」
「えっ⁈」
これは国見くんの大好きな塩キャラメルでは⁈ そんな大事なもの貰えない。いいよ、と返そうとすれば「俺があげたいの」と押し返されてしまった。
「今日、誕生日なんでしょ」
「何で知って……」
「だって朝友達にプレゼント貰ってたじゃん」
それはそうだけど。今まであまり話したことなかったし、国見くんいつも朝寝てるから、会話なんて聞こえてないと思ってた。でも、たまたま聞こえただけだろうけど、こうして国見くんがプレゼントをくれようとしてくれたことが、すごく嬉しい。
「ありがとう。でもこんなには貰えないよ。国見くんの分、なくなっちゃう」
私は一粒で充分。残りは国見くんが食べてくれれば、また後ろからそれを眺められる。私は国見くんが美味しそうに食べている後ろ姿を見るのが好きなんだ。
しかし返そうと差し出した手はまたも押し戻されてしまった。しかも今度はぎゅっと国見くんに握り込まれて。
「あげるって言ってんじゃん。貰ってくれるまでこのままだけどいいの?」
念押しするように、より強く握られる。思っていた以上にあたたかくて、少しかさついた、大きな手。男の人の手だ。私なんかと全然違うそれを意識せずにはいられなくて、一気に顔に熱が集まってくる。
「あ、わ、わかったから! ありがたく頂戴します!」
何とか絞り出したその一言に、国見くんは納得してくれたようだった。ふ、と微かに笑ってから身を翻していく。
固く閉じたままの自身の手にひやりと秋の空気が触れて、自分がどれほど熱を持っているのか実感する。さっきまで国見くんが触れていた場所。思い出すとまた熱が上がったような気がして、私は慌てて、溶けないようにと塩キャラメルをポケットに突っ込んだ。
だって、クラスの子が「ひとつくれ」って言っても断るし、同じバレー部の子が言っても「やだ」って一刀両断だったし。よっぽど好きなんだろうなあ。私も好きなお菓子は独り占めしたくなるから気持ちはわかる。
休憩時間になると国見くんはよく塩キャラメルを食べている。後ろの席だとそれがよく見えて、片方の頬っぺたが少し膨らんで、ころりと口の中で転がしたり、もきゅもきゅと味わっていたり。それがなんだか可愛くて、私の密かな楽しみになってたりするのである。後ろの席万歳!
今日も国見くんは塩キャラメルを食べていた。ちょうど二限目終わりで、小腹が空いたのかもしれない。左の頬っぺたが僅かにふっくらしていて、昨日観たハムスターの動画もあんな感じだったなぁと一人思い出し笑いしていると、突然「ねえ」と声をかけられた。
「ひゃい⁈」
びっくりしすぎて声が裏返った。前を向いていたはずの国見くんが、いつの間にか後ろを、私のほうを見ている。
「あ、聞こえてた。てか、大丈夫? 今思い切り足ぶつけてなかった?」
気づいてないといいな、という淡い期待は一瞬で砕かれた。驚いた拍子に机に足をぶつけたの、やっぱりバレてたか。恥ずかしい。
「だ、大丈夫。何だった?」
「うん。手」
「手?」
「手、出して」
国見くんに促されるまま手を差し出す。何だろうと思っていると、彼はポケットから小さな箱を取り出して数回上下に振った。見覚えのあるパッケージ。後ろの席から何度も見た、国見くんの大好きな塩キャラメルの箱だ。そこからころり、ころりと四角の粒がいくつか零れ落ちる。
「え、わわっ」
「あげる」
「えっ⁈」
これは国見くんの大好きな塩キャラメルでは⁈ そんな大事なもの貰えない。いいよ、と返そうとすれば「俺があげたいの」と押し返されてしまった。
「今日、誕生日なんでしょ」
「何で知って……」
「だって朝友達にプレゼント貰ってたじゃん」
それはそうだけど。今まであまり話したことなかったし、国見くんいつも朝寝てるから、会話なんて聞こえてないと思ってた。でも、たまたま聞こえただけだろうけど、こうして国見くんがプレゼントをくれようとしてくれたことが、すごく嬉しい。
「ありがとう。でもこんなには貰えないよ。国見くんの分、なくなっちゃう」
私は一粒で充分。残りは国見くんが食べてくれれば、また後ろからそれを眺められる。私は国見くんが美味しそうに食べている後ろ姿を見るのが好きなんだ。
しかし返そうと差し出した手はまたも押し戻されてしまった。しかも今度はぎゅっと国見くんに握り込まれて。
「あげるって言ってんじゃん。貰ってくれるまでこのままだけどいいの?」
念押しするように、より強く握られる。思っていた以上にあたたかくて、少しかさついた、大きな手。男の人の手だ。私なんかと全然違うそれを意識せずにはいられなくて、一気に顔に熱が集まってくる。
「あ、わ、わかったから! ありがたく頂戴します!」
何とか絞り出したその一言に、国見くんは納得してくれたようだった。ふ、と微かに笑ってから身を翻していく。
固く閉じたままの自身の手にひやりと秋の空気が触れて、自分がどれほど熱を持っているのか実感する。さっきまで国見くんが触れていた場所。思い出すとまた熱が上がったような気がして、私は慌てて、溶けないようにと塩キャラメルをポケットに突っ込んだ。
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